#概要
パワーMOSFETの故障モードについて調べてみたので記録として本ページに残す。
故障モードは5つに分けられる。各モードについての説明、原因、対策についてまとめた。一部情報不足している箇所はご留意ください。
1アバランシェ破壊
2ASO破壊
3ダイオード破壊
4寄生発振破壊
5静電気破壊
#アバランシェ破壊
##説明
アバランシェ破壊とはドレインソース間電圧Vds(青矢印)が耐圧を超え、FET等価回路のダイオ―ドに逆方向の電流(下図の赤矢印)が流れることで破壊に至るモード
##対策
ドレインソース間電圧にかかる電圧がVdsの耐圧を超えないFETを選定する
FET AON2060のデータシートを参考にするとVdsの耐圧(絶対最大定格)は60Vと記載されてある
#ASO破壊
##説明
FETを安全動作領域(Safe Operation Area)外で使用することで破壊に至るモード
環境温度25℃のときのAON2060のSOAを示す。横軸がドレインソース間電圧Vds、縦軸がドレイン電流Idである。IdとVdsの上限は絶対最大定格で決まり、Vdsの上限を上げると、Idの上限が下がるのは許容損失Pdが1.8~2.8W(下図の赤線)の範囲だからである。またFETがONする時間によっても動作領域が変化する。FETON時間が少ないほど動作領域は広がる。
##対策
安全動作領域外で使用しない
#ダイオード破壊
##説明
FETターンoff時にCdsに充電されていた電流がRbに流れ(下図の青線)、Vbe(オレンジ)が発生することで寄生バイポーラトランジスタが誤ってONしてしまい破壊に至るモード。ソース・ドレイン間電圧の立ち上がりが急だと破壊になりやすい
##対策
ゲート抵抗を入れターンOFF時のドレインソース間電圧の立ち上がりをなまらせる。
#寄生発振破壊
##説明
ゲートにかかる電圧が発振し耐圧以上の電圧がゲートにかかり破壊に至る
##対策
ゲート抵抗をいれる
#静電気破壊
##説明
人体や実験設備からの静電気により破壊に至るモード
##対策
電荷を地面に逃がすためにアースする
#参考
TOSHIBA
https://toshiba.semicon-storage.com/info/docget.jsp?did=63590
FET datasheet
http://www.aosmd.com/res/data_sheets/AON2260.pdf