はじめに
Web開発を学んでいると、「ステートフル」と「ステートレス」という言葉に出会うことがあると思います。
でも、いきなり 「HTTPは基本的にステートレスだから~」 なんて言われてもピンとこないですよね?
「そもそもステートって何?」「ステートレスとステートフルって何が違うの?」
そんな疑問を ざっくりと 理解できるように
具体例を交えて解説していきます!
前提知識として以下の記事を読むとより理解できます。
▼「Cookie」と「セッション」って?
▼「リクエスト」と「レスポンス」って?
1. そもそも「ステート」とは?
「ステート(state)」は 「状態」 を意味します。
突然ですが、こんな場面を想像してみてください。
例①:メモ帳アプリ
- メモ帳を開いて「買い物リスト」と書く
- メモ帳を閉じる
- もう一度開いたら、さっきの「買い物リスト」が残っている
これは 「ステートを保持している」 状態ですね。メモ帳が「買い物リスト」を記憶してくれているからです。
例②:銀行のATM
- ATMにカードを入れて暗証番号を入力
- 「残高確認」を押して、残高をチェック
- 「引き出し」ボタンを押してお金を引き出す
このとき、ATMは 「この人は認証済み」 という状態を保持し、引き出し操作を可能にしています。
もし毎回認証が必要なら、かなり面倒ですよね。
このように、システムやアプリが「状態」を持つかどうか が、ステートフル・ステートレスの違いを生みます。
2. ステートフルとステートレスの違い
ステートフル(Stateful)とは?
「ステート(状態)を持つ」システムのこと。
リクエストごとに過去のやり取りを覚えており、継続的なやりとりができる。
✅ ステートフルの具体例
-
ログイン後のWebサービス
- 例: AmazonやNetflix
- 一度ログインすれば、次のページに移動してもログイン状態が続く
-
オンラインゲーム
- 例: FPSゲーム、MMORPG
- プレイヤーのレベルや装備情報をサーバーが記憶している
- チャットアプリ(LINE・Slackなど)
- メッセージ履歴や未読状態を保持し、リアルタイムで更新される
ステートレス(Stateless)とは?
「ステート(状態)を持たない」システムのこと。
リクエストごとに 「すべてが初めての通信」 のように扱われる。
✅ ステートレスの具体例
-
普通のWebページのアクセス
- 例: Google検索
- 毎回「どんな人が検索したか」は気にせず、新しい検索結果を返す
(Googleアカウントにログインや、広告最適化とかは今は気にしないでください🙇)
-
REST API
- 例: Twitter API(ツイート取得など)
- 毎回、独立したリクエストとして処理される
-
駅の券売機
- 切符を買うとき、「前の人の購入履歴」は関係ない
- 毎回、新規の利用者として扱われる
3. Webの世界でのステートフル vs ステートレス
特徴 | ステートフル | ステートレス |
---|---|---|
状態の保持 | する(記憶する) | しない(毎回リセット) |
リクエストごとの独立性 | 依存する(前のリクエストと関連あり) | 独立している(毎回新しい処理) |
例 | ログインセッション、チャットアプリ、オンラインゲーム | 検索エンジン、REST API、駅の券売機 |
メリット | 連続性がある、ユーザー体験が良い | スケールしやすい、サーバー負荷が少ない |
デメリット | サーバー側の管理が大変、負荷がかかる | 毎回同じ処理が必要、ユーザーの識別が難しい |
4. どちらを使うべき?
🟢 ステートフルが向いている場面
- ユーザーのログイン状態を維持したい(例: ECサイト)
- 継続的なデータ管理が必要(例: ゲームのセーブデータ)
- リアルタイム更新が求められる(例: チャットアプリ)
🔵 ステートレスが向いている場面
- 負荷を抑えてスケールしやすくしたい(例: 検索エンジン)
- ユーザーの状態を保持する必要がない(例: ログインのいらない画像配信サービス)
5. まとめ
- ステートフル:状態を保持する → ログインセッション、チャット、ゲーム
- ステートレス:状態を保持しない → 検索エンジン、REST API、駅の券売機
どちらにも適材適所があります。
「このシステムのこの機能は、状態を保持するべきか?」を考えることで、より良い設計の第一歩になります。
6. 参考資料
- 『プロになるためのWeb技術入門』
- MDN Web Docs(https://developer.mozilla.org/)
ここまで読んでいただきありがとうございました!🙌
Web開発の全体像を広く理解するうえで、「ステートフルとステートレス」は大事な概念です。
実際のサービスを見ながら、
「これはどっちかな?」と考えてみも面白いのでぜひ!!