SQLで【～でない部分を抽出してほしい】という条件を書く際に知っておいてほしいこと

結論　【IS NOT NULL と <> の取り扱いに注意】

• IS NULL / IS NOT NULL は NULL に対してのみ使う。
• <>（不等号）は 値どうしの比較に使い、NULL には使わない（col <> NULL は常に不成立＝抽出されない）。

---

サンプルテーブル

CREATE TABLE members (
  id       INT PRIMARY KEY,
  nickname VARCHAR(20), -- NULL を許容
  age      INT NOT NULL
);

INSERT INTO members (id, nickname, age) VALUES
(1, 'alice', 20),
(2, NULL,    30),
(3, 'guest', 18),
(4, NULL,    40),
(5, 'bob',   25);

出来上がるテーブルは以下の様になる

ここにMD形式のテーブルを簡潔に書く

欲しい結果（例）

「ニックネームが NULL ではなく、かつ 'guest' ではない行」を取りたい。
期待される行：(1, 'alice', 20) と (5, 'bob', 25) の2件。

---

やってはいけない書き方

-- 1) IS の後ろに値（'guest'）を置く：構文エラー
SELECT * FROM members
WHERE nickname IS NOT 'guest';  -- ❌

-- 2) NULL を <> で比較する：常に不成立（UNKNOWN）
SELECT * FROM members
WHERE nickname <> NULL;         -- ❌ （どの行もヒットしない）

• IS ~ / IS NOT ~ は 後ろに NULL（※一部DBでは TRUE/FALSE/UNKNOWN などの論理値）しか置けない。
• NULL は 値ではなく 「不明」 を表すので、=, <> などの通常比較に入れると比較結果は UNKNOWN となり、WHERE では 落ちる（抽出されない）。

※エラーメッセージの文言はDB製品で異なりますが、上記はどの主要RDBMSでも原理は同じです。

---

正しい書き方

-- ニックネームがNULLでなく、かつ 'guest' 以外
SELECT * FROM members
WHERE nickname IS NOT NULL
  AND nickname <> 'guest';

用途別の最小パターン

-- NULL だけ取りたい
WHERE nickname IS NULL;

-- NULL 以外を取りたい
WHERE nickname IS NOT NULL;

-- 'guest' 以外（※NULLは落ちることに注意）
WHERE nickname <> 'guest';

「'guest' 以外 かつ NULL も除外したい」なら
WHERE nickname IS NOT NULL AND nickname <> 'guest' の 二条件にする。

---

初学者がはまるよくある落とし穴（挙動の再確認）

• nickname <> 'guest' だけだと、nickname IS NULL の行は ヒットしない（「'guest' ではない」とは評価されない）。
• col = NULL / col <> NULL は どちらも使わない。必ず IS NULL / IS NOT NULL を使う。

---

参考

• PostgreSQL ドキュメント：比較演算子と三値論理（NULL を含む比較は UNKNOWN） 。 (PostgreSQL)
• MySQL ドキュメント：NULL の扱いと IS NULL / IS NOT NULL の使用。 (MySQL Developer Zone)
• IS [NOT] DISTINCT FROM（NULL セーフな比較）の概要。 (modern-sql.com, Microsoft Learn)

---

まとめ【間違いやすいポイント】

• IS NOT '文字列' のように IS の後ろへ値を置くのは誤り。
• <> NULL は 常に不成立。NULL の有無で絞るときは IS 系、値の比較は <> 等正しく比較演算子を使い分ける。