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トークンを理解すれば、勝手に入力スキップしちゃうScanner.nextXxx()三兄弟と仲良くなれる気がする

Last updated at Posted at 2022-12-14

Javaでコンソールアプリを作ると、ScannerクラスのnextXxx()を使って入力値を得るところがうまく制御できないことがある。なんか知らんけど、勝手に入力をスキップされて、処理が終わってしまったりして。

しれっと入力をスキップしてやり過ごすScannerインスタンスに対して、「お願い、怠惰なScannerクラスさん、もっと働いて!! 1」とか思ったり思わなかったりして……知らんけど!!

そんなくだらないこと言うのはこれくらいにして、さて本題へ。

今回は特に
Scanner.next();
Scanner.nextInt();
Scanner.nextLine();
の違いに関して、トークン2とバッファーというものに注目しながら、挙動をみていきます。

よくあるお悩み: nextInt()next()の直後に、nextLine()を呼ぶと思ったように動きません!

よく目にするのは、こんなコードの例。

private static void tryToNextLineExample() {
    Scanner sc = new Scanner(System.in);

    System.out.println("年齢を入力: ");
    int age = sc.nextInt();
    System.out.println(age + "歳ですね。");

    System.out.println("ついでに名前も入力: ");
    String name = sc.nextLine();
    System.out.println(name + "さん、はじめまして!");

    sc.close();
}

これの実行結果はこんな感じになる。

// 出力結果
年齢を入力: 
200                 // 200と入力後にエンター押下
200歳ですね。        // 結果を表示
ついでに名前も入力:   // って聞いてるのに、入力する暇なく...
さん、はじめまして!  // 完

2つ目の名前の入力がスキップされてしまう。
名前を尋ねておきながら!名前を入力するスキを与えてくれないのだ!!
一応、礼儀として名前は尋ねるけれども、実際には年齢だけしか回答を受け付けないなんて。失礼な奴なんだ、Scannerって奴は!(個人の感想です)。

ちなみに、nextInt()のところをnext()に(& ageの型をvarなどに)書き換えて実行しても、同じような事態が起こる。

// 上記一部抜粋&書き換え
System.out.println("年齢を入力: ");
var age = sc.next();
System.out.println(age + "歳ですね。");

対策

どうしてこんなことが起きるのかという話の前に、まずは簡単に対策を。
sc.nextInt()もしくはsc.next()を呼び出したあと、sc.nextLine()で名前を聞く前に、sc.nextLine()をかます。それだけ。

Scanner sc = new Scanner(System.in);

System.out.println("年齢を入力: ");
var age = sc.next();
System.out.println(age + "歳ですね。");
sc.nextLine(); // ここでかましてやる!!!

System.out.println("ついでに名前も入力: ");
String name = sc.nextLine();
System.out.println(name + "さん、はじめまして!");

sc.close();
// 出力結果
年齢を入力: 
200                // 200と入力してからエンター
200歳ですね。         
ついでに名前も入力:       
名無しの権兵衛    // 名前入力後、エンター
名無しの権兵衛さん、はじめまして!

めでたしめでたし。

理由

さて、ではなんでこんなことが起こるのか。それをちゃんと理解するために、まずはトークンをご紹介する。
ざっくりと言えば、nextInt()(&next())と、nextLine()はの違いは、返す値の違いだ。

nextInt()&next()は、トークンを返す。nextLine()は行を返す。3

じゃあ、トークンとは何か?

トークンと空欄(white space)

トークンは、ひとまとまりの単語/数字を表す。そのトークンの区切りは、空欄(white space)だ。この空欄、スペースだけでなく、\t(タブ)や改行\nも含まれる 4

Scanner.nextXxx() 空欄( )に出くわした時 tab(\t)に出くわした時 enter(\n)に出くわした時 型に関する制約
next() その直前までの入力値取得 (左に同じく) (左に同じく) 特になし
nextInt() その直前までの入力値取得後、Interger.parseInt() (左に同じく) (左に同じく) 入力値がIntegerにcastできないとInputMismatchExceptionを投げる
nextLine() 見過ごす=入力値に含める (左に同じく) その直前までの入力値取得 特になし

ここにあるように、nextLine()はトークンガン無視です。改行まで待ってから、全部バッサリ狩っていうワイルドな奴なんだな!

トークンとバッファー

またScannerを理解するには、バッファーというのも大切だ。バッファーは言わば、読み取った値の一時保管所。
なんと、目に見えない\nまで保管してくれる凄腕なのだ。けれどもこの\nまで保管してしまうというのが、厄介でもある。
あとはScannerクラスのメソッドも、呼び出されたらまずバッファーの残りを見に行く。もし何か残し物があれば、そちらを優先して読み込む。空だったら観念して、新しくユーザーからの入力を待つ=文字入力ができる状態になる。

さて。先ほどの、イケていない例を参考に、このバッファーの挙動を追っていこう。

// うまくいかないver.
Scanner sc = new Scanner(System.in);

System.out.println("年齢を入力: ");
int age = sc.nextInt();
// ユーザーの挙動:             "200"と押したあとに、エンターを押す
// => バッファーに保存された値: "200\n"

// 保存されたバッファーからnextInt()が"200"だけを取得、(内部でIntegerにcast後) ageに代入
// => バッファーに保存された値: "\n"

System.out.println(age + "歳ですね。");

// この時点でバッファーに保存されている値: "\n"
System.out.println("ついでに名前も入力: ");
String name = sc.nextLine();
// まずはバッファーを読み込み、残った文字列を発見するnextLine()
// "\n"を見つけた瞬間、その直前までの値("")を迷わずnameに代入

System.out.println(name + "さん、はじめまして!");

sc.close();
// うまくいくver.
Scanner sc = new Scanner(System.in);

System.out.println("年齢を入力: ");
int age = sc.nextInt();
// この挙動は上記と同様なので割愛

System.out.println(age + "歳ですね。");

// この時点でバッファーに保存されている値: "\n"
sc.nextLine();
// バッファーに残された"\n"を読み込んで、バッファーを空にする

// この時点でバッファーに保存されている値: (なし)
System.out.println("ついでに名前も入力: ");
String name = sc.nextLine();
// バッファーが空だったので、ユーザーからの入力を受け付ける
// エンター直前までの値を読み込み、nameに代入

System.out.println(name + "さん、はじめまして!");

sc.close();

トークンの区切り文字

トークンの区切りは、上記で触れた空欄ならなんでもOK。その結果、いけてないver.だと入力値によっては、こんなことも起こり得る。

年齢を入力:
200                // "200"と入力後、tabキー、エンターキーを順に押下
200歳ですね。      // この時点のバッファーの値: "\t\n"
ついでに名前も入力:
        さん、はじめまして! // バッファー内の"\n"までの文字列="\t"だけnameに代入

理解のための、極端な事例

極端な事例だと、こんなことも可能。

// 極端な事例
Scanner sc = new Scanner(System.in);

System.out.println("年齢 名前の順で入力し、最後にエンターを押してください(年齢と名前の間はスペースを入れてください!) 例:12 名無しの権兵衛");
var age = sc.next();
System.out.println(age + "歳ですね。");

String name = sc.nextLine();
System.out.println(name + "さん、はじめまして!");

sc.close();
// 極端な事例の実行結果
年齢 名前の順で入力し、最後にエンターを押してください(年齢と名前の間はスペースを入れてください
!) 例:12 名無しの権兵衛
200 名無しの権兵衛                 // ユーザーが"200 名無しの権兵衛"と入力
200歳ですね。                     // age = 200
 名無しの権兵衛さん、はじめまして! // name = " 名無しの権兵衛"

さて、本当に怠惰だったのは、一体誰だったのか。そう、こういう細かいことを飛ばして適当にコード書いてた私だ。ごめんねScannerクラスのnextXxx()三兄弟。

ということで、おあとがよろしいようで。

  1. 実際はもっと切羽詰まった感じになりますが、ほら、会社の名前で書いているものだから、それなりにオブラートに包んだつもり。

  2. ドキュメントとかだと出てくるけど、初心者向けの本だとあまり出てこない印象がある用語だなーと思っている(もしくは私がひどく流し読みしているか!?)。つまり、この単語の意味がさっぱりだと、ドキュメント読むにも詰まるんだよね。ということで、抑えておくといいのかなと思っている。

  3. Scanner class

  4. Chapter 11 – Input/Output and Exception Handling (p.17)

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