3分間 Networking を見ていて忘れてしまいそうな単語などを備忘録としてまとめました。
内容的にはレイヤ2です。
レイヤ2
レイヤ2はデータリンク層であり、近くの機器とのデータの伝送制御を行う。
レイヤ2で伝送するデータはフレームと呼ばれ、フレームはレイヤ3のネットワーク層のパケットをレイヤ2でカプセル化してレイヤ2の制御情報を付け加えたデータ。
IEEEのOSI参照モデルの解釈
OSI参照モデル | IEEE |
---|---|
レイヤ2 | 論理リンク制御副層(LLC副層) |
レイヤ2 | メディアアクセス制御副層(MAC副層) |
レイヤ1 | 物理層 |
LLC: Logical Link Control
MAC: Media Access Control
表のようにレイヤ2を2つに分けて解釈している。
LLC副層は実際の機器に依存していない部分を取り決める。(エラー制御、上位サービスの指定)
MAC副層はメディアへの接続を取り決める。(メディアアクセス制御: どのように共有メディアでデータを送信するか、誰が送信を行うかなど)
LLC副層でデータをどのように扱うか、MAC副層でどのように送るかを決めている。
LANの仕様
レイヤ | LAN規格 | |||
---|---|---|---|---|
レイヤ2(LLC副層) | イーサネット | IEEE802.2 | ||
レイヤ2(MAC副層) | IEEE802.3 | IEEE802.5 | FDDI | |
レイヤ1 |
上記表のイーサネット、IEEE802.3、IEEE802.5、FDDIの4つが物理的なLANの仕様。
IEEE802.2はイーサネット以外の3つで使用されるLLC副層の規格。
イーサネット以外の3つはLLC副層の部分が共通だが、MAC副層で決められているメディア・アクセス制御方式が異なる。
LAN規格
規格 | メディア | メディア・アクセス制御方式 | 物理トポロジ |
---|---|---|---|
イーサネット | 同軸・UTP・光ファイバ | CSMA/CD | バス・スター |
IEEE802.3 | 同軸・UTP・光ファイバ | CSMA/CD | バス・スター |
IEEE802.5 | 同軸・UTP | トークンパッシング | リング・スター |
FDDI | 光ファイバ | トークンパッシング | 二重リング |
FDDI: Fiber Distributed Data Interface
イーサネットとIEEE802.3はほぼ同一で相互に互換性がある。
イーサネットという呼ばれ方はTCP/IPでよく使われる。
IEEE802.3はNetware, NetBIOSなどその他プロトコルで使われることが多いらしい。
イーサネットはLLC副層の役割を担う部分を独自で持っている。
IEEE802.3はIEEE802.2が使用される。
アドレス
アドレスはネットワーク上でデバイスを識別する記号。
各デバイスにつけることで誰にデータを送るかを考えることができるようになる。
少なくとも通信が可能な範囲で同じアドレスを持つデバイスが存在していてはいけない。
論理アドレスと物理アドレスが存在する。
論理アドレスはレイヤ3に関係しており、どのネットワークに届けるかを識別する。
物理アドレスはレイヤ2に関係しており、メディアに直接接続されている誰に届けるかを識別する。
MACアドレス
物理アドレスのこと。
MACアドレスはNICのROMに焼き付けられている。
ROM: Read Only Memory
アダプタアドレス = 物理アドレス = MACアドレス
(NIC = イーサネットアダプタと表現されることもある)
MACアドレスは48ビットで表現される。
16進数12桁を2桁ずつハイフンで区切って表現される。
先頭の24ビットまでをベンダコードと呼ぶ。
後ろの24ビットまでをベンダ割り当てコードと呼ぶ。
ベンダコードは、NICを作ったベンダの番号であり、IEEEが決定したコードである。
ベンダ割り当てコードは、各ベンダーでNICごとに割り当てたコードであり、重複することがない。
その為MACアドレスは世界でユニークなアドレスとなっている。
MACアドレスの欠点
アドレスと実際の機器の場所が無関係な為、誰?は識別できるが、どこ?までは識別できない。
LANなどの限られた範囲では可能だが、WANだと数が多すぎて探しきれない。
その欠点をフォローするのがレイヤ3の論理アドレス。
ニュアンスとしては、MACアドレスが山田太郎という人を表すとして(同じ名前の人物は存在しない想定)、その人が東京都(LANのイメージ)にいるとすれば区役所などで本人を特定することが可能かもしれないが、どこに住んでいるかわからない場合(WANのイメージ)、そもそもどの国にいるかもわからないので探しようがない(探せたとしてとても時間と労力がかかる)。という感じ。
イーサネットとIEEE802.3
1970年代にXeroxがイーサネットを開発。
1980年にXerox, intel, DECの3社が共同で規格をまとめた。
規格の名前は3社の頭文字を取ってDIX-Ethernetという。
この規格をIEEEが標準化したものがIEEE802.3である。
イーサネットのLAN規格
イーサネットはLAN規格として、同軸ケーブル(10Mbps)、CDMA/CDアクセス制御方式、バス・スター型物理トポロジを使用する。
同軸ケーブルはイーサネットができた当時では主流というか基本だった為、規格はこのようになっているらしい。
フレーム
レイヤ2はレイヤ3で作られたパケットに制御情報を付加してカプセル化することでフレームにする。
| | プリアンブル | 宛先MACアドレス | 送信元MACアドレス | フレームタイプ | FCS |
| ---- | ---- | ---- | ---- | ---- | ---- | ---- |
| サイズ | 8バイト | 6バイト | 6バイト | 2バイト | 4バイト |
| 場所 | ヘッダ | ヘッダ | ヘッダ | ヘッダ | トレーラ |
ヘッダ: パケットの頭
トレーラ: パケットの後ろ
プリアンブルは、これは「フレームです。プリアンブルが終わるとデータが始まりますよ」という前触れ。
フレームタイプは、使用されるレイヤ3以上のプロトコルを16進数で表す。IPv4なら0800, ARPなら0806のように。
IEEE802.3はほとんど同じ構造だが、上記フレームのタイプのところに「長さ/タイプ」が入る。
また、パケットの最大値が1500から1497へ変更され、少なくなった3バイト分にIEEE802.2で決められたLLC副層の情報が入る。
これがイーサネットとの違い。
作成されたイーサネットのフレームはNICを通してメディア上を流れる。
イーサネットで送信されたフレームは、メディアを通り全てのノードに到達する。(ブロードキャスト型)
CSMA/CDアクセス制御方式
同軸ケーブルは伝送路が1本しかないので衝突が発生する。
その為1つずつしか送信できない。
同軸ケーブルは同線一本でベースバンド方式だから信号が1つしか通らない。
ベースバンド方式
デジタル信号を変調せずそのまま送信する方式。
1つのメディアに1つのチャンネル(通信権)しか供給できない。
1つの端末が通信権を確保した後に通信可能になる。
またイーサネットはブロードキャストする為にケーブル上の全帯域を使用する。
CSMA/CD
Carrier Sense Multiple Access / Collision Detection
初期イーサネットの制御方式
CS: 他のノードが送信を行なっていないか確かめる。送信していたら終わるまで待つ。
MA: 他のノードが送信していなければ、順番なしで自由に送信を行なって良い。
CD: 同時に送信してしまった場合、送信を中止して少し待つ。
フレーム送信手順
-
イーサネットフレームを作成、衝突カウンタを0にする。
-
キャリア信号を検知する。無ければ一定時間待った後、送信開始。
フレームを連続して送るノードがあった場合、1つのノードがメディアを占有してしまう為 -
送信中に衝突したか検出。していなければ送信完了。
衝突を検出した場合、フレームの送信を一時中止して、JAM信号を送信する。その後4に進む。
JAM信号
他ノードへ衝突が発生したことを伝え、受け取ったフレームを破棄するように伝える。
- 衝突カウンタを+1する。衝突カウンタが16であれば作成したフレームを破棄して送信を中止する。
衝突カウンタが16未満であれば、ランダムな時間(バックオフタイム)待機後に2に戻る。(バックオフ)
フレームを破棄して送信を中止する
連続して衝突が発生する場合、ネットワーク障害やネットワークの混雑などが原因と考えられる為、 送信が中止される。
フレーム受信側の対応
イーサネットではフレームが全てのノードに届く。
受信した時点でフレームヘッダの宛先MACアドレスと自身のMACアドレスを比較し、自分宛でなければその場で破棄する。
フレームの配送
イーサネットはベストエフォート型配送となっており、確実に配送できるように努力はするが、それ以上の保証はしないという配送方法。
イーサネットでは各ノードは送信のみか受信のみのどちらか一方しか行うことができない。
このような通信方式を半二重通信方式と呼ぶ。
また送信専用、受信専用で通信を行う方式を単向通信(simplex)という。(トランシーバーのようなイメージ)
ツイストペアケーブルを使用すると、2本4組のうちの2組を使用して送信と受信を同時に行うことができる。このような通信方式を全二重通信方式と呼ぶ。
だが、データリンク層においてはリピーターハブなどを使用してLANを形成するが、リピーターハブの内部は送信受信で別れていないので、ツイストペアケーブルを使用しても衝突が発生する可能性がある。
その為全二重通信方式はノードが1:1の時のみ行われる。
トークンパッシングアクセス制御
IEEE802.5とFDDIはリング型トポロジ。
信号の流れが各デバイスに順序よく回っていく、トークンパッシングアクセス制御が使われている。
トークンパッシングアクセス制御
トークンが来たノードだけ送信する権利がある。
トークンは1つしか存在しないので衝突が発生しない。
トークンはデータを渡さない限り次のデータを受け取らないので、相手がデータを受け取ったかどうかが確実にわかる。
上記特徴により堅固なアクセス制御方式とされている。
トークンパッシングにも注意しなければいけない点があり、送信元がビジートークン(データを渡したトークン)を送り出した後に故障すると永久にフリートークンに戻らない状態になる。
それを防止する為に監視するノードを置いたりする。(アクティブモニタ)
トークンリングのLAN仕様
IEEE802.5はIBMのトークンリングが元になっている。
トークンリング/IEEE802.5はLANの仕様として、トークンパッシングアクセス制御方式、同軸またはツイストペアケーブル、リング・スター型トポロジが使用される。
トークンリング用のハブ(MSAU)が存在しており、それを使用するとトークンリングでスター型トポロジを実現することができる。
MASU
Multi Station Access Unit
参照: URL
イーサネットの方が、CSMA/CDで制御が簡単な為値段が安い。
データ転送速度も速い。(トークンリングは4Mbps or 16Mbps)
その為イーサネットの方が普及している。
FDDIのLAN仕様
二重リング型トポロジで光ファイバを使用する。
100Mbpsで最長20kmのLAN。
二重なのは冗長性確保の為なので同時に使用はしない。
普段使う方をプライマリリング、予備をセカンダリリングと呼ぶ。
それぞれ信号は逆向き。
これらのリングにはDAS、SASが接続されている。
DAS
Dual Attachment System
クラスAステーション
プライマリ、セカンダリそれぞれの IN/OUTとの接続点を持ち、障害を検知、セカンダリの使用を決定したりする。コンピューターでも良い。
SAS
Single Attachment System
クラスBステーション
コンセントレーター(集線装置)に接続される。
プライマリだけに接続される。
参考: URL
まとめ
量が多いので2つに分けます。
次はネットワーキングデバイスに関してまとめます。