先日最近のブロックチェーンの状況についてお話する機会をいただき、ビットコインの渋滞についてお話させていただきました。今回はその内容の一部からビットコインの渋滞と対策について書き出してみようと思います。
ビットコインの渋滞とは
実際にビットコインが渋滞するわけではありません。そもそも仮想通貨なので、現実の渋滞が起こるわけがありません。ビットコインでは、送金のリクエストがされ、マイナーによる確認作業が行われ、ナンスを見つけることにより、ブロックが確定できるようになり、承認済みとなります。そこで何が混み合うのかというと、送金をリクエストし承認されるまでに時間がかかると言ったことが起こります。
実際何が起きているのか
ビットコインの統計情報を公開している、https://blockchain.info/ というサイトが有ります。ここにあがっている統計情報を元に、今何が起こっているのかを解説していきます。
まずは取引数です。10月から12月にかけてうなぎ登りに増えているのがわかります。
これには、社会情勢が影響していることが考えられます。インドでは高額紙幣の廃止、アメリカではトランプ氏の大統領当選、人民元も対ドルで下がり続きていたりと、自国の通貨に対する不安要素が多く存在しています。自国の通貨に不安がある場合、ビットコインへ資産をシフトさせるため、ビットコインの価格が上がり、取引量も増えるという法則があります。
平均ブロックサイズを見てみましょう。現在のビットコインのブロックサイズは最大1Mバイトです。この1Mバイトというキャパシティに対し、どれだけ取引が詰まっているかということを示しています。12月以降は850Kバイトを超え続けており、取引がどれだけ詰まっているかがよくわかります。これが1Mバイトに張り付くと、入り切らなかった取引は後に回されます。取引が触れるほど後に回る量が増えていきます。
そして、一番の問題である、ブロックの承認時間のグラフです。12月以降のうなぎ登り具合がすごいです。平均して13~14分と、通常10分以内になるとこ1.4~1.5倍程度かかってしまっています。これが渋滞を示す指標になります。
対策は?
ビットコインでは、10分程度で承認作業ができるよう、2週間に1回程度承認の難易度を調整する機能があります。通常はそれで対策されます。Median Confirmation Timeのグラフが上がったとしても定期的に下がるのはこの機能が効いているからです。この難易度ですが、承認の難易度でもありながら、不正の難易度でも有ります。ゆえにセキュア度合いに直結してきます。難易度を下げてしまうと不正が起こる確率も上がってしまい、悩ましいトレードオフが発生します。
これに対し、3種類の対策が現在進行しています。
Segwit
ビットコインのブロックには非効率な部分があります。一つのブロックの中に何度も同じ電子署名が書かれています。取引データの中から電子署名部分を切り出し重複排除をすることで、ブロックに空きスペースができます。この空いたスペースに更に取引データを入れることにより、1ブロックあたりに取り扱える取引の量が増えます。これにより、取引が増えても対応できるようにしています。
サイドチェーン
ビットコインのブロックチェーンの仕様を変えることはとても大変な作業を伴います。そこで、一度取引を取り出して、サイドチェーンと呼ばれる別のブロックチェーンで取引を行い、確定してところでメインのブロックチェーに戻すという方法があります。また、サイドチェーンはブロックチェーンに機能を追加することも可能で、ブロックチェーンそのものの高機能化への期待も持たれています。
秒間7取引程度しか処理できないビットコインのブロックチェーンに対し、VISAの扱っている秒間数千回の取引を処理できるようにすべく、日々開発が続けられています。
ブロックサイズ引き上げ
ブロックサイズの引き上げは、単純な解決手段の一つです。しかし、ブロックチェーンではマイナーはすべてのデータを持ち合っているので、マイナーのコンピューターのストレージへの負担が大きくなっていきます。また、ある時点から、プログラムの互換性がなくなるため、切り替えの難易度も高いという問題も有ります。このように、デメリットが有るため、常に議論が繰り返されているが、なかなか進まないのが現状になっています。
まとめ
ビットコインのスケールの問題は、以前より議論されてきましたが、ここへ来てそのニーズの高まりを感じます。Segwitへの移行、サイドチェーンの開発など進んで、より使いやすいビットコイン、ブロックチェーンとなっていき、もっと世の中に変革を与えていくことに期待しています。
あわせて読みたい
Gaiax Blockchain ガイアックスのブロックチェーンブログです。
世界初の分散型の仮想通貨ビットコイン
2回目の半減期を迎える仮想通貨ビットコイン(bitcoin)