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交流地中ケーブルの送電可能距離と有効電力について

Last updated at Posted at 2025-08-31

はじめに

交流地中ケーブルを用いた送電を行う際に気をつけるべき点の一つに、地中ケーブルの誘電体損が挙げられる。これは、地中ケーブルの静電容量分に対して充電電流が余計に流れることに起因している。そこで、今回は交流地中ケーブルの送電可能距離について66kV送電の場合と275kV送電の場合とで比較する。

交流送電におけるケーブルの長さと送電可能な有効電力について.png

問題設定

地中ケーブルを用いて需要家に電力を供給することを考える。地中ケーブルの長さを$L$[km]としたときその地点で供給可能な電力$P$[MW]を求め、グラフ化したい。
ただし、単位長さ当たりの静電容量$C_m=0.30$[μF/km]とし、線間電圧$V=66,275$[kV]としケーブルの許容電流を$I_{max}=700$[A]とする。

ただし、問題設定は2024年度の電験1種2次試験の電力・管理の問3を題材にした。

定式化

力率1の負荷に有効電力$P$[MW]の電力を供給することを考える。このときの、皮相電力$S$[MVA],無効電力Q[kVar]とする。

P=\sqrt{S^2-Q^2}

ここで、$Q$は、送電ケーブルの静電容量分に起因する無効電力であると仮定すると、

Q=Q_C=\sqrt{3}VI_C

とあらわせる。ただし、$I_C$はケーブルに流れる充電電流で以下のように表すことができる。

I_C=\frac{(\frac{V}{\sqrt{3}})}{\frac{1}{2\pi f C}}

ただし、$C$は1相あたりのケーブル全長の静電容量であるとすると、

C=C_m L

である。

ところで、$S=\sqrt{3}VI_{max}$の皮相電力容量で送電端から電力を送ると考えると、上記までの考察により、

P=f(L)

という関係性を導出することができる。ただし、今回はあくまでプログラミングにより数値計算を行うため代入して詳細な関数$f$を求めることはしない。

参考までに、現象の説明をする。
交流なので、送電する皮相電力には、有効電力と無効電力を含んでいる。しかし、ケーブルの静電容量の分が消費する無効電力は膨大なので、皮相電力を一定とすると無効電力分を減らす必要性が出てくる。したがって、送電距離を長くすれば、必要な無効電力も増加するので送電可能な有効電力も低下する。

プログラミング

線間電圧$V=66,275$[kV]の場合における、送電可能な有効電力とケーブル長の関係性をグラフ化する。
そこで、いかのようなプログラムを作成した。

python cable_AC.py
import numpy as np
import matplotlib.pyplot as plt
import japanize_matplotlib
import math

n=1000

#周波数
f=50
#単位長さあたりのケーブルの静電容量0.3uF/km
C_km=0.30*1e-6
#ケーブル長さの最大値
L_max=200
#許容送電電流
I_max=700

def cable_P_L(V,L):
    S=(3**0.5)*V*I_max
    C=C_km*L
    X_C=1/(2*math.pi*f*C)
    I_C=(V/(3**0.5))/X_C
    Q_C=(3**0.5)*V*I_C
    Q=Q_C
    P=(S**2-Q**2)**0.5
    P_Mw=P/10**6
    return P_Mw

L_ary=np.linspace(0,L_max,n)
P_66_ary=np.zeros((n))
P_275_ary=np.zeros((n))
for i in range(n):
    L=L_ary[i]
    P_66_ary[i]=cable_P_L(66*10**3,L)
    P_275_ary[i]=cable_P_L(275*10**3,L)
plt.title("ケーブル長さと送電可能な有効電力の関係性")
plt.plot(L_ary,P_66_ary,color="blue",label="66kV")
plt.plot(L_ary,P_275_ary,color="red",label="275kV")
plt.xlabel("送電距離[km]")
plt.ylabel("送電可能な有効電力[MW]")
plt.legend()
plt.savefig("交流送電におけるケーブルの長さと送電可能な有効電力について.png")
plt.show()

結果

以下、結果のグラフを示す。

交流送電におけるケーブルの長さと送電可能な有効電力について.png

このように、楕円状のグラフになるのだが、電圧が高いと送電可能な有効電力はケーブル長が長くなるに従い急激に低下する。なので、一般的には送電ケーブルのジュール熱による損失は電圧が大きいほど低下するが、今回のような場合もあるので、適切な電圧階級を選択して送電をする必要性がある。

まとめ

今回は、3相交流の地中ケーブル送電について送電可能距離と送電可能な有効電力についてグラフ化した。結果、充電電流に起因する無効電力分を考慮する必要性が出てくるため、長距離および高電圧になるほど不利となること分かった。したがって、電力を送電する場合は、ケーブルの許容電流だけでなく電圧階級も考慮する必要性がある。

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