2
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

相加・相乗平均のグラフ化

Last updated at Posted at 2024-03-01

はじめに

相加・相乗平均は、不等式の証明などに多用される。証明方法としては、左辺-右辺が0以上になることを示すのだが、それには、実数の2乗は0以上であるという条件を使用する。そこで今回は、3パターンの証明方法で相加・相乗平均を証明した後に、Pythonを用いてグラフ化することで、視覚的に不等式が成立することを体感することを目的とする。 

導入

以下に相加・相乗平均の定義を述べる。

まず、$a>0,b>0$としたとき以下の式が成立する。

\frac{a+b}{2}\ge \sqrt{ab}

ただし$a=b$のとき等号が成立する。

この式では、分数がややこしいので、以下の形に変形したものが多用される。

a+b\ge 2 \sqrt{ab}

証明

今回は、以下の3パターンで考えた。ただし、いずれの証明も実数の2乗は0以上であるという原則を用いる。

2変数関数

左辺から右辺を引くことにより証明することができる。ただし、a,bは正なので、$\sqrt{a},\sqrt{b}$は実数の領域に存在する。

(a+b)-2\sqrt{ab}=\sqrt{a}^2+\sqrt{b}^2-2\sqrt{ab}= (\sqrt{a}-\sqrt{b})^2\ge 0

1つの変数

左辺から右辺を引いたものをaで除する。これによって、$\sqrt{\frac{b}{a}}$という一つの変数によって$f(a,b)$の正負が決定される。($a>0$より)
したがって、以下のようになる。

f(a,b)=(a+b)-2\sqrt{ab}=a(1+\frac{b}{a}-2\sqrt{\frac{b}{a}})=a(1-\sqrt{\frac{b}{a}})^2\ge 0

ただし、等号成立は$a=b$のとき

微分法

$b$を定数とし$a$を変数として$f(a,b)$を$a$で微分する。

\frac{df}{da}=1-\sqrt{\frac{b}{a}}

ここで、以下の場合について考える。

$0<a<b$のとき

\frac{df}{da}<0

$a\ge b$のとき


\frac{df}{da}\ge 0

したがって、$a=b$のときこの関数は最小値を取ることが分かる。したがって、

f(a,b)\ge f(a=b,b)=0

グラフ化

さて、今度は$f(a,b)=(a+b)-\sqrt{ab}$を$a,b,f$空間に描写してみよう。

 python souka_soujou.py
import matplotlib.pyplot as plt
import math 
import numpy as np
import japanize_matplotlib

n=100
a=np.linspace(0,10,n)
b=np.linspace(0,10,n)

a,b= np.meshgrid(a,b)

plt.contourf(a,b,(a+b)/2-(a*b)**0.5)
plt.colorbar()
plt.show()

これを実行すると以下のようなグラフが出力される。
souka_soujou.png

$f(a,b)$ は$a,b$に関して対称なので、$a=b$に関して対称である。また、そのとき最小値0を取ることも分かる。

一方で、3次元のグラフを描くプログラムは以下の通りである。

python souka_soujou_3d.py
import matplotlib.pyplot as plt
import math 
import numpy as np
import japanize_matplotlib
from mpl_toolkits.mplot3d import Axes3D
fig = plt.figure(figsize=(6, 6))
ax = fig.add_subplot(111, projection='3d')

n=100
a=np.linspace(0,10,n)
b=np.linspace(0,10,n)

a,b= np.meshgrid(a,b)

c=(a+b)/2-(a*b)**0.5

surface = ax.plot_surface(a,b,c, rstride=1, cstride=10, cmap='jet', alpha=0.4)
# カラーバーを設定
fig.colorbar(surface, ax=ax, shrink=0.5)
plt.show()

これを実行すると以下のようなグラフが作成される。
souka_soujou_3d.png

これは、ある意味で放物線に似ている。ということを考えると、相加・相乗平均はある意味で、$y=x^2$の最小値が(0,0)であるということを3次元に拡張したモデルであると考えることができるかもしれない。

まとめ

今回は、相加・相乗平均を理解するために公式の証明をした後、グラフ化することを試みた。結果、左辺引く右辺を描写した場合、$a=b$で対称のグラフが描けた。また、最小値は0以上であることも分かった。ただし、相加・相乗平均は、$a>0,b>0$という前提の上でしか議論できないことに注意したい。

2
0
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
2
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?