こんにちは。
freee 裏アドベントカレンダー ラストのaomeganeです。
freeeではプロダクトマネージャーとして働き、会社設立freeeをプロデュースしたり、プロフェッショナルプランを作ったりしておりました。
2018年、たくさんのサービスが生まれ、改善されてきました。惜しくもクローズを決めたサービスもありました。
幾つかのサービスは、そういうプロダクトの区切りに、メッセージを発信しています。
今日は、2018年に投稿されたそのようなメッセージから、エモさを感じた物を独断と偏見で選ばせていただきました。
実はランキング形式にしたかったんですが、エモにランクをつけるのもやだなぁと思い、淡々と紹介させていただきます。笑
プロダクトリリース部門
やはり、プロダクトをリリースする時は、エモい気分になりますね。
むしろ作り手のエモさをどれだけ伝搬できるかが、プロダクト成功の第一歩でもあると思います。
では行ってみましょー!
Cocoda!
サービスURL: https://cocoda-design.com/#1
エモメッセージURL: https://note.mu/co_co_d3/n/nda7dcb0c1058?magazine_key=m872762c2b167
Cocoda!は、今年9月に正式リリースされた、UIデザイナーになりたい人のためのサービスです。
上記のブログの中で、
今のままではどちらも満たしきれず、課題を解決し切ることは出来ない。そう考え、そこから、そもそもなぜCocoda!が生まれたのか?という問いに立ち返りました。もともと、Cocoda!は、デザイナーが今後求められていく社会の中で、デザイナーに実際になろうと思った人がデザイナーへの道を踏み出す環境が無い、という課題を解決するために作られました。
という記載があります。
βでサービスをリリースして、たくさんのフィードバックを得て、このサービスが一体どこへ向かうべきか。という新たな決意が感じられます。
デザイナーさん向けのサービスということで、作り手の方の熱い想いが伝わってきます。特に、デザイナーが今後求められる社会の中でという表現が、
プロダクトによって社会課題をとくぞという勢いが感じられて、私はすごくエモい気分になりました。
GLAY (アプリ)
サービスURL: https://app-glay.jp/
エモインタビュー: https://trendnews.yahoo.co.jp/archives/556362/
GLAYは今年GLAYファンのためのサブスクリプションサービスを立ち上げています。
このアプリでは、GLAYの音源が聴き放題なのですが、そのアプリの責任者、GLAYのリーダーであり所属事務所「ラバーソウル」の代表取締役でもあるTAKURO氏のインタビューが上記のインタビューです。
レコードというものが発明されてからアーティストは皆コンテンツとして扱われてきたけど、アーティストがコンテンツホルダーになってもいいのではないか。Amazon Music Unlimited、Apple Music、Google Play Musicなどプラットフォームができていくなかで、やっぱりいつまでたってもアーティストは一コンテンツでしかない。でも、GLAYはGLAYのファンの気持ちをよく知っているし、GLAYのファンもGLAYの気持ちをよく知ってる。だから、巨大な企業がやっているプラットフォームを僕ら町のまんじゅう屋がやったっていいんじゃないかという発想で、自分たちのすべてのライセンスを一本化しようと思ったんです。
上記の考え方の元、GLAYはGLAYに関わる全ての権利を買取り、このサービスを運営しています。
ビジョンに対して、市場のルールがおかしいと思うなら、自分たちで変えればいい。この考えを地で行き、それを実現させているのは非常にエモいですね。
機能リリース部門
機能をリリースすると、そのプロダクトが持っていた世界観が変わったり、ユーザーへの印象が変わったりすることもあるでしょう。
そういう時に、製品を代表する人からのエモいメッセージを出すことで、何を目指しているのかということがわかりやすく提示されます。
Mirrativ
サービスURL: https://www.mirrativ.com/
Mirrativはゲーム配信プラットフォームです。
今年、視聴者さんが配信を盛り上げるためのギフト機能をリリースしました。その時のブログが上記のブログです。
Mirrativの代表が35歳でドラクエ世代なので、「ドラクエ」という例がつかわれていますが、友達の家であつまってゲームをやったことは誰もがあるかなと思うので、その時のことをイメージしてもらえればなと思います。テレビやゲーム機をかこんで、ワイワイと友達の輪ができるような雰囲気です。その楽しい雰囲気を、すべての配信者さんのスマートフォンの上で再現することが、Mirrativの目指している世界観です。そして今回、ギフトアイテムと収益化をはじめることで目指すのは、「友達の家におやつを持っていく感じ」です。
ギフト機能の世界観をコンシューマーゲームの体験に例えて説明しています。
作りたい世界を、自分の言葉で、ユーザーにわかる言葉で、ユーザーに説明する。これは非常にエモいですね。
そして、「(有名YouTuberのように〇億円とか〇百万円とかではないかもしれないけれども)配信をしていた方が、ひとりでゲームをしたり過ごしているよりも、よいことがあった」と、一部の人気配信者さんだけではなく、たくさんの配信者さんが感じられることをMirrativでは目指していきます。
このように、他のプラットフォームサービスと何が異なるのかということを交えながら、自分たちのサービスの世界観を示していくのも非常にエモさが感じられます。
freee
freeeのアドベントカレンダーということで、freeeに触れないわけにはいけません。
サービスURL: https://www.freee.co.jp/
エモメッセージ: https://go.freee.co.jp/newplan_migration_2018.html
freeeは2018年、いくつかのプランの価格を改定させていただきました。その時に公開したのが上記の文章です。
freeeは、2013年より「スモールビジネスに携わる全ての人が創造的な活動にフォーカスできるよう」をミッションに掲げ、会計・経理や人事労務領域でのサービス提供を行ってまいりました。freee をお使い頂くことで、お客様の日々の経理業務の効率化はもちろんのこと、資金状態のリアルタイム可視化による黒字倒産の防止、財務データのご活用による収益性の改善が実現する事を目指しております。
と、ミッション・ビジョンに立ち戻り、そこから目指したい世界を表現しているあたりがエモいですね。
ミッションビジョンに立ち返るのは、Cocoda!さんもそうでしたね。やはり、プロダクトのミッション、ビジョンは人を強く惹きつけるものですね。
プロダクトクローズ部門
では最後、惜しくもプロダクトがクローズされる時のエモを紹介します。
プロダクトがクローズする決定に至ったことをユーザーに説明するのは、辛いエモさがありますね。
Balto
エモメッセージ https://goodpatch.com/blog/balto-close/
淡々とした文章になっていて、それが逆にエモさを感じます。
端的に説明されているからこそ感じるエモさ。ギターでいうと、メカニカルなフレーズをジャストで弾いてるのに、その弾きざまから後ノリのグルーヴを感じるような。
しかし、Baltoの失敗からは多くを学ぶことができました。0→1フェーズのプロダクトを扱うことが多いGoodpatchは、今後自社プロダクトだけでなく、クライアントワークにもこの学びを活かし、確実にサービスをProduct Market Fitまで導ける存在になりたいと思います。
この文章は非常にエモいです。私もいくつかのサービスのクローズに関わったことがありますが、そこでのある意味ネガティブな感情を上記のようなポジティブな感情にしたためるエモさに尊敬します。「悔しかった」などの安易なエモワードに逃げずに、淡々と事実を見つめる姿勢から感じるエモさがありました。
関わった皆様、お疲れ様でした。
ページャー(ポケベル)
エモメッセージ http://www.teleme.co.jp/service/magicmail/index.html
まずは文字がBlinkしている時点で、ノスタルジックなエモさを感じます。
無線呼出サービスは、文字を伝える通信でした。1996年には契約数が120万を超えたことがありました。しかし、それをピークに、携帯電話などの「音声通信」に取って代わられ、急速に衰退したものです。「音声通信」により凌駕された「文字通信」ではありましたが、弊社は今、「文字通信」であるがゆえに受信力という強みが最大限に発揮できる分野として地方自治体向け情報配信サービスに注力しております。特に、防災無線においては受信力が生命線でありますから、まさしく無線呼出の強味が求められる分野であります。
と、提供してきたサービスの歴史を振り返りながら、今後の進むべき道をはっきりを伝え、さらに畳み掛ける。
防災無線のための通信というのは失敗の許されない分野であり、弊社の経営資源をこれに集中するためにも個人様向けの無線呼出サービスを終了するという意味もございます。
失敗の許されない分野に特化していくという決意表明。すごく、すごくエモいです。ここまでくると、もう、かっこいい。さらに、
最後に、皆様が長きにわたりご利用くださいましたおかげで、弊社は無線呼出事業から撤退することもなく、そして新たな分野での役割を見つけることができたものと感謝いたしております。
と、利用者への感謝で締める。2018年にクローズしたサービスの中でも随一のエモさを感じます。
実際、この文章はTwitterのトレンドに乗っていた記憶があります。
私は直接使用したことはありませんが、サービスを開発・維持してくださった皆様、お疲れ様でした。
新たなチャレンジも期待しております。
まとめ
「2019年は、エモ元年になる」といってはや3ヶ月がたちます。
プロダクトマネージャーは、なんてったって人を動かす仕事です。つまり、人を動かしてなんぼの世界です。
自分一人では、商用のコードもかけないし、商用のデザインも、求められるレベルのQAも、ユーザーサポートもできない。
※自分の得意分野はできるでしょうが、すべてを一人でできる人は非常に稀だと思います。
人を動かすのは、エモさだと思っています。
「同じ船に乗って自分のスペシャリティを発揮したい!」という熱量をどれだけ生み出せるか、というのがPMの大きなスキルなのではないでしょうか。
仕様書を淡々とエンジニアに渡すのではなく、「なぜそれを作るのか」・「誰がその機能でHappyになるのか」を伝える、そして開発チームのエモの中心になるのがやはりPMという存在なんじゃないかと思います。
今年は慌てて今年のエモメッセージをまとめて振り返りましたが、来年は折に触れてPickしていこうと思います。
では皆様良いお年を。