Qiita記事で気になるのは、データサイエンティストに必要なスキルとして書いてあるものが、狭義のデータサイエンスとデータエンジニアリングに偏りすぎていること。
データサイエンティスト協会の定義では、
- ビジネス力
- データサイエンス力
- データエンジニア力
の三本柱になっているにも関わらず。
ビジネス力にも色々ありますがざっくり分けると
- ユーザーの困りごとをデータ分析まで落とし込むスキル
- ロジカルシンキングやその業務の専門知識であるドメイン知識
- 出て来た結果をユーザーにわかりやすく説明するスキル
- その結果がビジネスにどれだけインパクトがあるのかわかり、説明するスキル
行動経済学。はどちらにも関わる。
ざっくりと言うと
- (通常の)経済学
- 人は合理的な行動をすると想定
- 行動経済学
- 人は必ずしも合理的な行動をしない可能性がある
- ではどういう行動をするかの経済学
であるから、人が関与しないデータ分析であればほとんど影響しないですが、マーケティングやら人事など人が関与するデータ分析なら本当は必須なはず。データサイエンスの本を読んでもほとんど書いてないけれど。
やっと出ました、データ分析にも行動経済学が必要だという本が。
分析者のための行動経済学入門 プロスペクト理論からナッジまで、人間行動を深く網羅的に解明する
さすがソシムさんはわかっている!
そして行政の人もわかっている。
もちろん学生さんを集めるのが難しく特色を出そうと頑張ってらっしゃる大学でもわかってる。
わかってないのはQiitaの記事を書いている皆さんと、私の所属している会社のみかも!
ということでQiitaの機械学習、データ分析の良心である私が書きます。そして弊社にも発信するので、次はこれを読んだあなたが所属組織で発信して。
ガチでやるならば
行動経済学 室岡
大学や大学院向けに書かれたテキストとしては稀な、
や週刊ダイヤモンド2023ベスト経済書1位など本格派かつベストセラー。
概要
ChatGPTに書かせたところこんな感じです。
人の行動の理解と、人の行動を促す理論です。マーケティングや人事でデータ分析した結果から行動を促すことや、そもそも特徴量として何が正しいかなどに必須だということがわかるでしょう。
代表的な概念
プロスペクト理論
- 質問1:あなたの目の前に、以下の二つの選択肢が提示されたものとする。
- 選択肢A:
- 100万円が無条件で手に入る。
- 選択肢B:
- コインを投げ、表が出たら200万円が手に入るが、裏が出たら何も手に入らない。
- 選択肢A:
この質問に多くの人は、Aを選ぶ。ただ期待値を考えると、
- 選択肢A $$100\times1.0=100$$
- 選択肢B $$200\times0.5+0\times0.5=100$$
で全く同じなので、合理的な行動をするならばAとBは同じ価値である。
- 質問2:あなたは200万円の負債を抱えているものとする。そのとき、同様に以下の二つの選択肢が提示されたものとする。
- 選択肢A:
- 無条件で負債が100万円減額され、負債総額が100万円となる。
- 選択肢B:
- コインを投げ、表が出たら支払いが全額免除されるが、裏が出たら負債総額は変わらない。
- 選択肢A:
この質問に多くの人は、Bを選ぶ。ただ期待値を考えると、
- 選択肢A $$100\times1.0=100$$
- 選択肢B $$200\times0.5+0\times0.5=100$$
で全く同じなので、合理的な行動をするならばAとBは同じ価値である。
質問1は利得が増える、質問2は損失が減るであり、どちらも利得が増えることについては同じ質問だが、利得が増える方では確実な方を選び、利得が減る方ではギャンブル的な方を選ぶ。これは従来の経済学の合理的考えでは説明できない。そこでプロスペクト理論。
図で描くと、黒い直線が従来の経済学の合理的な判断(期待効用仮説)であり、行動経済学のプロスペクト理論によるとオレンジの曲線。
- 利得が大きくなると、合理的判断よりも主観的な価値の増え方が少なくなり、
- 不確実に利得がたくさん増えるよりも、確実に利得が少し増える方を選ぶ
- つまり、質問1では選択肢Aを選ぶ
- 損失の方では、合理的判断よりも、
- 少しでも損失があると主観的な価値は大きく下が離、損失が大きくなると価値の減り方が少なくなってくる
- つまり、質問2では確実に100万円損失が減るよりも、不確実でも大きく損失が減る方に賭ける
まとめると、
- 損することは大嫌い
- 得は好き
- 得も損も大きくなると主観的にはあまり違いがなくなってくる