技術者のための計算問題(ハードウェア編)
システムはハードウェアとソフトウェアに大別できる。
新製品(新システム)は、ハードウェアもソフトウェアも新しい。
ハードウェア(実機や試作機)ができてから、
それを使ってソフトウェアのテストが可能となる。
ハードウェアも新しいので、不具合が潜在している可能性もある。
順番からいって、ソフトウェア技術者がハードウェアの不具合を
指摘することになる。
ハードウェアの不具合を指摘できないと、ソフトウェアのテストが
ストップしてしまう。
ソフトウェア技術者は、ハードウェアの設計ができなくてもいいが、
ハードの不具合を指摘できる程度にハードウェアの知識が必要になる。
ということで、個人的にハードウェア系の計算問題をまとめた。
複素数
交流回路は2次元のベクトルで考えるので、通常複素数を用いる。
次の式について、分母の有理化をしなさい。
25 / (3 - j 4)
<答え>
3 + j4
<解説>
分子、分母に共役な複素数をかければよい。
直流回路(直列接続)
直流の電気回路がある。
次の部品が直列接続されているとする。
(1) 8 kΩの抵抗と+14 Vの電源
(2) 4 kΩの抵抗
(3) 2 kΩの抵抗と-7 Vの電源
回路全体に流れる電流は、何mAか。
<答え>
0.5 mA
<解説>
(1)直列接続と並列接続は双対の関係になっている。
直列接続 並列接続
電圧V <--> 電流I
抵抗R <--> コンダクタンスG
インピーダンスZ <--> アドミッタンスY
コイルL <--> コンデンサC
(2)直列接続だから、流れる電流Iは I=ΣV / ΣR で計算できる。
(3)今回は直列接続だから、双対の関係を利用して、I = ΣV / ΣR で計算できる。
I = ΣV / ΣR = (14 - 7) / ( (8 + 4 + 2) × $10^3$)
= 0.5 × $10^{-3}$ [A] = 0.5 mA
直流回路(並列接続)
直流の電気回路がある。
次の部品が並列接続されているとする。
(1) 8 kΩの抵抗と+14 Vの電源
(2) 4 kΩの抵抗
(3) 2 kΩの抵抗と-7 Vの電源
4 kΩに流れる電流を求めよ。
<答え>
1.5 mA
<解説>
(1)直列接続と並列接続は双対の関係になっている。
直列接続 並列接続
電圧V <--> 電流I
抵抗R <--> コンダクタンスG
インピーダンスZ <--> アドミッタンスY
コイルL <--> コンデンサC
(2)今回は並列接続だから、双対の関係を利用して、V=ΣI / ΣG で計算できる。
V = ΣI / ΣG = (14/8 + 0 + 7/2) / (1/8 + 1/4 + 1/2) = 6 V
(3)4 kΩに流れる電流$I_1$を求める
$I_1$ = V / $R_2$ = 6 / (4 × $10^3$) = 1.5 mA
交流回路(直列接続)
回路全体の電流が12 Aの交流回路がある。
次の部品が直列接続されているとする。
(1) コンデンサのリアクタンス$X_C$が3 Ω
(2) コイルのリアクタンス$X_L$が2 Ω
(3) 抵抗Rが$\sqrt3$ Ω
交流電源の電圧は何Vか。
電源電圧の位相は、電流と比べてどうか。
<答え>
24 V
電源電圧は、電流より位相が -30度遅れている。
<解説>
(1) 直列接続は、同じ電流、分圧される。
(2) 電流が同じなので、基準とする。
(3) 交流なので、2次元のベクトルで考え、最初にZを求めればよい。
Zは2 Ωになる。
(4) 電圧はV = I × Z = 12 × 2 = 24 Vになる。
交流回路(並列接続)
交流電源が12 Vの電気回路がある。
次の部品が並列接続されているとする。
(1) コンデンサのリアクタンス$X_C$が3 Ω
(2) コイルのリアクタンス$X_L$が2 Ω
(3) 抵抗Rが$6/\sqrt3$ Ω
回路全体に流れる電流は何Aか。
回路全体に流れる電流の位相は、電圧と比べてどうか。
<答え>
4 A
回路全体に流れる電流は、電圧より位相が -30度遅れている。
<解説>
(1) 並列接続は、同じ電圧、分流される。
(2) 電圧が同じなので、基準とする。
(3) 交流なので、2次元のベクトルで考え、Yを求めればよい。
Y = 2/6 = 1/3 Sとなる。
(4) I = V × Y = 12 × (1/3) = 4 Aとなる。
電波、波長、周波数、周期
周期が2 psの電波の周波数と波長は、
それぞれ何THzと何mmか。
<答え>
0.5 THz, 0.6 mm
<解説>
(1)周波数fを求める
f = 1 / T [Hz]
= $1 / (2 × 10^{-12})$
= 0.5 THz
(2)波長λを求める
λ = c / f [m]
= ($3 × 10^8$) / ($0.5× 10^{12}$)
= 0.6 mm
dB
-1 dBの減衰器がある。
入力電力が100 mWのとき、出力電力$P_2$は何mWか。
ただし、$log_{10}2=0.3$ とする。
<答え>
80 mW
<解説>
(1)
$log_{10}2=0.3$ より、$10^{0.3} = 2$ である。
(2)
$10 × log_{10}(P_2/P_1)$ = -1 [dB]
$log_{10}(P_2/P_1)$ = (-1) / 10
$log_{10}(P_2/P_1)$ = -0.1
$(P_2/P_1) = 10^{-0.1} = 10^{(0.3+0.3+0.3) - 1}$
= $10^{(0.3+0.3+0.3)}/ 10^{1}$
= $(10^{0.3}×10^{0.3}×10^{0.3})/ 10^{1}$
= $( 2 × 2 × 2 ) / 10 = 0.8$
∴ $(P_2/P_1) = 0.8$
(3) $P_1 = 100$ mWより、
$(P_2/100) = 0.8$
$P_2 = 0.8 ×100= 80$ mW