今となっては存在価値の無いハックだが、面白かったのでメモに残す。

TL;DR

アイデアの肝の部分のみ載せるとこうなる。（実際はこれだけだと動かない）

document.createElement("iframe").contentWindow.Object.prototype

完全版のコード

function getNoProtoObject() {
  var iframe = document.createElement("iframe");
  document.body.appendChild(iframe);
  var obj = iframe.contentWindow.Object.prototype;
  document.body.removeChild(iframe);

  // for-inで列挙可能なプロパティを削除する
  for (var name in obj) {
    delete obj[name];
  }

  // for-inで列挙不可能な既知のプロパティを削除する
  delete obj["constructor"];
  delete obj["hasOwnProperty"];
  delete obj["isPrototypeOf"];
  delete obj["propertyIsEnumerable"];
  delete obj["toLocaleString"];
  delete obj["toString"];
  delete obj["toSource"];
  delete obj["valueOf"];
  delete obj["watch"];
  delete obj["unwatch"];
  delete obj["__defineGetter__"];
  delete obj["__defineSetter__"];
  delete obj["__lookupGetter__"];
  delete obj["__lookupSetter__"];
  delete obj["__proto__"];

  return obj;
}

説明

ECMAScript 3環境において[[Prototype]]内部プロパティがnullであるオブジェクトはObject.prototypeだけであるから、これをObject.create(null)相当のオブジェクトとして扱うほかない。
ところが、Object.prototypeは一つのページにただ一つしか存在しないオブジェクトであるから、Object.create(null)のように量産することができない。
この問題をいかに解決するかが課題となる。

上記の方法は、iframeでページ自体を新しく作ってしまって、そこからObject.prototypeを持ってくることで課題を解決している。
Object.prototypeには組み込みのプロパティがいくつか生えているので、最後の仕上げとしてそれらを削除すれば、まっさらなオブジェクトを得ることができる。

参考リンク

Was there a way to create an object without a prototype prior to ES5?

ところで

言わずもがな、このテクニックはもはや歴史的な意味合いしか持たない。
ECMAScript 3環境のブラウザには、IE 5.5〜8、Netscape 6、Firefox 3.0以前などがあるが、いずれも死んだブラウザである。
IE8ですら、日本標準時で2016年1月13日にサポートが打ち切られている。