はじめに
現在話題となっているビットコインなど仮想通貨の基礎となるのは、ブロックチェーンという技術です。しかし、仮想通貨は仮想的な通貨の略称であるので、必ずしもブロックチェーンという技術が必要な訳ではありません。
ここでは仮想通貨とブロックチェーン、そしてその関係について知り、なぜ今話題になっているのか順を追って、著者の理解を元に解説していきたいと思います。
なおブロックチェーンの仕組み自体は、様々な書籍で語られているのでここでは言及しません。以下に参考書籍を記します。
- 入門書: 60分でわかる! 仮想通貨 ビットコイン&ブロックチェーン 最前線
- なんとなく大枠をつかむのに良いです
- 技術書: ビットコインとブロックチェーン:暗号通貨を支える技術
- アルゴリズムレベルで説明しており、完全に腑に落とすのに良いです。
通貨とは
通貨とは価値の交換に使われるものです。価値の交換には古くは物々交換(魚と肉を交換するなど)がありますが、価値の交換に融通が効かないので、現在では通貨を仲介させて価値の交換が行われることが多いです(普段みなさんも硬貨や紙幣を使っていることと思います)。
通貨には例えば円やドル、古くは貝なども存在し、そして今ビットコインが生まれています。
仮想通貨とは
では仮想通貨とは何でしょうか。仮想通貨の対義語は法定通貨と言われており、それは各国の法律で定められている通貨のことです。日本であれば日本円、アメリカであればドルです。
言ってしまえば仮想通貨はそれ以外の枠組みで構成される通貨全てであり、国以外の法人や個人、またそれ以外の主体が発行する通貨になります。仮想通貨には例えばウェブマネーやペイモなどのマイクロペイメントにおけるポイント、そしてビットコインもここに含まれます。
ビットコインの新規性
ここで仮想通貨を更に大きく二つ分類します。それは「中央集権的」なものと「非中央集権的」なものです。
これまであったのは中央集権的なものが殆どでした。つまりそれは、特定の会社などが発行しているものです。ウェブマネーやSuicaなどがここに含まれます。
ビットコインは後者の「非中央集権的」なものにあたります。これは特定の会社や個人に依存しません。ここがビットコインの新規性です。
非中央集権的通貨のメリット
非中央集権的な通貨のメリットは大きく2つあります。それは永続性と公平性です。
まず永続性について考えてみましょう。中央集権的通貨であれば発行主体の会社が倒産してしまえば、その通貨の価値は無くなってしまいます。しかし非中央集権的通貨では、そもそも特定の主体が存在しないのでそれは起こらず、通貨の永続性が担保されます。これは国が発行主体となる法定通貨(国がデフォルトしてしまえば通貨の価値は無くなる)にも無かった特性です。
次に公平性について考えてみましょう。仮に特定の会社が発行主体となれば、その会社はいくらでもその通貨を発行することが出来ます。そうなると通貨の価値は安定せず、価値交換に使えることが難しくなってしまいます(いくらでも増やせるお金にどんな価値があるでしょうか)。
最近であればジンバブエが通貨を刷りまくったことで大幅なインフレ(通貨の価値が下がる)が起きました。このようなことが起きるとそもそも通貨として扱えるかどうかも怪しいです。その点、非中央集権的であれば、(その通貨の枠組みの中では)誰かが勝手に発行することはできなくなり、通貨の価値が一定程度担保されます。
なぜこれまでそのような通貨が無かったか
中央集権的な仮想通貨を作るのは比較的簡単です。例えば私たちが、○○ポイントを発行します!と言って、それを各人に付与すればそれは中央集権的な仮想通貨となります。
ただ非中央集権的だとそうはいきません。特定の個人や会社に依存しないとなると、そもそも誰かが一方的に宣言するわけにはいかなくなります。この時困るのが、そのような通貨を発行する方法です。
例えば昔からある非中央集権的な通貨としては金が考えられます。特定の会社が発行したわけではないが、偽造が難しいことから非中央集権的な通貨として用いられています。
ただこういったものを人為的に作るとなると難しいです。いわばデジタルのゴールドというものを、どうやって作ればいいのでしょうか。
ブロックチェーンの価値
そこで生まれたのがブロックチェーン技術です。ブロックチェーン技術を使うことで、非中央集権的でなおかつ偽造が難しい通貨を作ることが出来ました。
ブロックチェーンの価値は「分散合意」が行えることです。この技術を使用することで、国や会社などの中央集権的な主体の介在無しに、何が起きたかを全員で(条件付きですが)合意することが出来ます。
この「分散合意」を活用して、ビットコインは作られています。誰がいくら持っていて、通貨の受け渡しがAさんからBさんへ行われたという記録が全て「分散合意」されて、通貨が成り立っています。全員が全員、この通貨を誰がいくら持っているか、どのように取り引きされているか知っていることで、非中央集権的な通貨であるビットコインが成立しています。
おわりに
この文章はC93で出す同人誌の中の章「仮想通貨に『悪戯』しよう!」から構成の変更で漏れてしまったものを供養したものです。