9
1

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

はじめに

こんにちは!istyleのデータ戦略推進部に所属している やす です!
この記事は、アイスタイル Advent Calendar2024 5日目の記事になります。
アイスタイルが運営する化粧品クチコミメディアの@￰cosmeなどの事業は、表面的にはメディアやリテール事業としての側面に注目されがちですが、その裏では全て「データ」を中心にしたプロダクト開発、事業展開がされています。

この記事では「@￰cosme = データ のイメージがない方」やデータビジネスに携わる様々な職種の方に、データの拡張の面から@￰cosmeを紹介したいと思います。

アイスタイルが築いた独自のビジネスモデル

アイスタイルのビジネスモデルは、「@￰cosme」という美容情報メディア・店舗・ECのプラットフォームに集まる多種多様なユーザーデータを核とし、化粧品ブランドへ向けたマーケティングソリューションを提供することで、会社ビジョンである「生活者中心の市場創造」の実現を目指しています。

このプラットフォームの根幹を支えているのが、25年以上にわたって蓄積されてきた膨大なユーザーデータであり、徹底した顧客目線での事業・サービス展開を支えています。

1.png

  • メディア事業:広告掲載やタイアップ記事、パーソナライズ配信
  • リテール事業:ECサイト「@￰cosme SHOPPING」と実店舗「@￰cosme STORE」の運営
  • グローバル事業:中国越境EC、香港の実店舗、アジア圏での美容メディア展開
  • マーケティング支援事業:化粧品ブランド向けのデータドリブンソリューション

etc.

データが集まる理由は「信頼」にある

データ戦略の観点から@￰cosmeのビジネスモデルを紐解くとき、その本質は「信頼」にあります。ユーザーの方々からプラットフォームへの信頼を積み重ねることで、安心してデータを提供いただく関係性を築き、プラットフォームとしての中立性を保つことで、化粧品ブランドからは確かなマスターデータを提供いただいています。

特にプラットフォームとして中立の維持や信頼性を高めるために、創業時から以下の3つの施策を徹底することで、高品質なデータの収集と蓄積を実現してきました。

  1. 24時間365日体制でのクチコミチェック体制
  2. 独自アルゴリズムによる公正なランキングシステム
  3. ランキングロジックの厳格な管理

プラットフォームとデータ拡充の変遷

Web1.0時代:ユーザーデータの蓄積開始(1999年~)

化粧品業界では広告での情報発信がメインで、生活者の意見や本当の商品の評価はメーカーやユーザ同士にも届かず、広告費は少ないが良い商品などはユーザーに届きにくい市場構造となっていました。1999年、インターネット黎明期に「ユーザーの声 = クチコミ」というデータの価値に着目し、ユーザーの行動やデモグラ情報のデータベースを軸とした、ビジネスモデルとして前述の市場課題を解決するために創業されました。

ECの誕生:ユーザーデータの多角化(2007年~)

2007年 ECサイト「@￰cosme SHOPPING」開設により、プラットフォームの中で購買データがユーザーに紐づくことで、これまでのメディアの行動データからユーザーの商品認知の状態だけでなく、その後の購買行動まで網羅する1歩を踏み出しました。

オムニチャネル期:リアルとデジタルの融合へ(2012年~)

2012年からの実店舗「@￰cosme STORE」展開し、オンラインとオフラインのデータ統合という新たな挑戦が始まりました。メディアと店舗の融合を掲げ、店舗目線でのお店作りではなく、メディアのデータを活用したユーザー目線でのお店作りがスタートします。

マーケティングツールの提供(2018年~)

蓄積されたオンラインとオフラインのデータを活用したマーケティングプラットフォームであるブランドオフィシャルの提供を開始しました。SaaSとして、化粧品ブランドへのユーザーのファン度合いを可視化する機能や、ブランドからユーザーへの商品情報の配信機能など、プラットフォームの中で化粧品ブランド自身が商品体験を設計することができるサービスです。

ブランドオフィシャルのようなデータを活用したサービスを展開する中で見えてきた課題として、新商品や新ブランドが立ち上がった際、データベースにユーザー行動データがなくマーケティング支援を行えないコールドスタート問題への対応が必要でした。

そこで、マーケティングにおいて重要視されるユーザーの購買データが一気に溜まる仕掛けとして、2018年に1日限定でのEC・店舗のセールイベント「@￰cosme BEAUTYDAY」を開催。現在も継続しており、ライブコマースなど新しい取り組みも行なっています。

レガシー課題への対応(2022年~)

2022年から、「Tech Reborn」プロジェクトを通じて、データ基盤の刷新に取り組んでいます。統合データ基盤というプラットフォームを横断し、これまで蓄積されたユーザーデータや商品のマスターデータを平易化し、抽出・分析できる環境を実現することで、よりデータドリブンなカルチャーの醸成をデータアナリスト・データエンジニアチームが実現しようとしています。

次世代データ活用への挑戦(2023年~)

最新の取り組みとして、新たなデータビジネスの創出やSNS上でのソリューション提供のためにトレンダーズ株式会社との資本業務提携、米国Amazonとの業務資本提携におけるソリューション連携などを行なっています。

  • 新たなデータドリブンソリューションの強化
  • SNSデータとの統合による包括的分析

@￰cosmeに蓄積されているデータの一例

上記のようにユーザーのデモグラフィック情報や行動データを拡充していきつつ、サービス間のユーザーIDや商品IDが連携されている状態を作り続けています。以下はその一例です。

属性情報の体系的収集

美容関連プロフィール

  • 肌質(乾燥肌、脂性肌、混合肌、敏感肌など)
    • 簡易的かつ精度の高い肌診断により、自己申告でない肌状態のデータ拡充を検討(リンク
  • 興味のあるカテゴリ(スキンケア、メイクアップなど)

行動履歴データの多面的収集

オンライン行動

  • サイト・アプリの閲覧履歴(Google Analytics 4 & Firebase Analytics)
  • 検索キーワード履歴
  • クチコミ投稿・評価履歴
  • 「いいね!」やフォロー履歴
  • プレゼント・サンプル応募履歴
    • 販促手法の一つであるサンプル商品は従来はランダムな配布でユーザーが受け取った履歴は残らなかったが、自販機型のソリューション開発し、データの蓄積からマーケティング支援を実現(リンク

購買データ

ECサイトデータ

  • 商品購入履歴、購入金額、カートイン履歴

実店舗データ

  • POSデータ
  • 接客履歴
    • 従来市場では紙で記録していたカウンセリングサービスをいち早く電子化し、接客時の提案商品情報などデータベース化を実現(リンク

etc.

まとめ

1. プラットフォームとしての信頼あっての価値あるデータが蓄積できる

Web1.0時代から守り続けてきた「24時間365日のクチコミチェック体制」は一見、非効率に見えるこの施策ですが、実は最も効果的なデータ戦略の一つだったと考えています。なぜなら、クチコミを細部までチェックする姿勢が、中立なプラットフォームとしての信頼性に繋がり、ユーザー・化粧品ブランドの信頼構築ができたからです。そしてその細部までこだわる姿勢が、他のデータ拡充にも成功体験とつながり、データの事業的な価値を追求する文化につながっています。

2. 新たな価値創造の循環を担うデータ活用

オンラインとオフラインの統合、単なるチャネル戦略ではなく、データを介して新しい価値を継続的に届けるための仕組みでした。ユーザーの行動がデータとなり、そのデータが新しい体験を生み出す。この循環が、プラットフォームの進化を支えています。

3. 進化の原動力としての生活者中心の市場創造というビジョン

統合データ基盤(CDP)の構築や、生成AI技術などの技術革新も、常に「ユーザーにとっての価値は何か」という問いを起点としています。技術はあくまでも手段であり、目的はユーザー体験の向上にあるという事業目線を持ったデータアナリスト、データエンジニア、アナリティクスエンジニアがアイスタイルでは働いています。

ぜひ@￰cosmeやアイスタイルに興味を持った方は、カジュアル面談しましょう!

9
1
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
9
1

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?