1.この記事の狙い、対象の方と完成品
1-1 この記事の狙い
この記事は、IT、物流、外国語対応と多様な専門知識やスキルが求められる物流業界の効率化をデジタルの力を借りて新人たちが対応していきます。
今回は身近な困ったことを解決するつもりが、意外と根が深くどうするか?決めていく回となりました。
新人たち(私含む)へ暖かいご声援をお願いいたします。
1-2 この記事の対象の方
- DXが大好きで非エンジニアから情報システム部へ異動された初心者の方
- 物流業界へ入りたての方
- 学生の頃、「将来はAIが翻訳してくれるから英語は勉強しなくて大丈夫」と強気の一点張りをしていた方
- 新人教育が暗黙知中心でお悩みの方
- 今、物流業界の教育を受けているが、教え方や会社が変わるのを期待するより、教えられる自分たちの方をDXした方が早いんじゃね?と思っている方
私も新人ですがアイデアを形にしようと思いノーコード開発へ挑戦しました。よろしくお願いいたします。
1-3 完成品と機能(第一期)
「外国語音声対応可能!期待の電脳大型新人 「アレッピー」」
想定使用シーン
・新人しかいない時間帯に難解な問い合わせが・・・・
・問い合わせがきたけど外国語でよくわからない
こんな時に「アレッピー」
*音声付については1-4 Twitterリンク先へ投稿してあります。こちらもクリックお願いいたします。(せっかく作ったので・・)
実際の稼働画面↓
- 顔と名前、ベテラン勢の属人的な専門領域がわからない新人たちに代わり、音声対応システム「アレッピー」(通称)が在社問い合わせを対応
- フリーアドレス、テレワークと世の流れに沿った施策の結果、「どこにいるかわからない」外国人従業員たちのシフトを代わりに即レス
- 物流現場に多い日本語がわからない従業員のためにそれぞれの母国語にて対応可能(今回は英語)
1-4 Twitterリンク先(音声付きリンク)
下記リンクは勤務シフトの問い合わせを的確にさばき、外国語対応までこなすアレッピー」の雄姿です。(音声付き動画を見たい方はこちらからお願いいたします。せっかく作ったので)
1-5 使用したツール
- Voiceflow
- Notion(次回 第二期)
- palanAR(次々回 第三期)
2.どうしよう。何言ってるかわからん
2-1 多様な問い合わせ
「どうしよう・・・・。何言ってるかわからん」
さて、私(Andy)が物流会社の後方・システム部門で働き始めてから2か月がたちました。
職場の雰囲気は暖かく、以前の職場で見聞きした「新人だろうと仕事できないやつには何をしてよい」「新人には「俺に役立つことのみ教える」」といった事は一切ありません。
聞けば友好的に教えてくれるし、本当にありがたいです。
しかし、後方・技術系部門あるあるですが
「問い合わせ内容や依頼が多種にわたりすぎてカバーしきれない]
という問題があります。
この二か月を振り返ってみると、歴史のある物流会社な分「教育」が徒弟制度をベースとしたOJTになってしまい、教えてくれた人やメンターの得意分野に偏った内容になっていました。
結果として、教えられた内容がぶつ切りであったり、一部間違っていたり。
ただ、これは「会社や先輩が積み上げてきた歴史」や「こうなってきた経緯」が背景にあり、工夫できるのは我々新人側の「吸収する方法」であると途中から感じていました。
なので!問い合わせ対応の種類の多さや困りごとについて同時期に入社した新人3人(私、システム 1名、後方総務 1名)で自分たちでできる解決策を探ることにしてみました。
直近の問い合わせ事例
・Hi,I want to make an appointment with the CEO。OK?
(英語 横のフロアが外資系企業のため。偉い人に会いたいと言っている)
・哪个部门为新的软件许可证付费?
(中国語 新しいソフトの経費負担に関連した問い合わせ)
・Ga Funabashi ở đâu?
(ベトナム語 物流の現場には日本語が苦手な人も多いので。内容は「船橋駅への帰り方」)
・要冷の幹線について、データ送信どうするか?NAT変換が必要ではないか?
(日本語だけど専門用語多すぎて、内容と問い合わせ先がそれぞれ不明)
2-2 新人3人「文殊の知恵」はでるか?(フィードバック1回目)
そんな訳で新人3人が集まり緊急MTを開始。
ただ、扱っている課題が大きすぎてどうしてよいのか3人ともわかりません。
ですので出してみました。
「モック」(*モックとはガワだけの簡単な見本の事)
内容は、Voiceflowというソフトを利用した「困ったことを聞いてくれる」だけの音声対応プログラム。
ただ、他の二人も興味津々で触ってみたり、聞いてれる内容をいじったりして楽しんでます。
やがて出てきたアイデアは
・問い合わせ業務が減りそう
・問い合わせだけでなく新人が困っていることも聞いてほしい。
・習っている内容が幅広く、ぶつ切りだからQ&Aにまとめられないか
・外国語対応はできないの?
・私はそもそも日本語が苦手
・壊れた備品とか教えてくれると楽だよね
・問い合わせを転送するときに、その人がどこにいるかわからない
・この辺まとめられた良いよね。
あ、これ課題が大きすぎて交通整理が必要な奴だ。
雑感とマメ知識「知識創造企業」 野中 郁次郎 他
日本企業は今回のような「現場の困りごと」や「現場の知恵」を創発(イノベーションや各種改善)につなげるのが本当は得意だったはずなんですよね。
この本は米国流のITやデジタル改善ではなく、日本企業がモノづくりで世界を席巻した時代に書かれた名著です。(今回も実はこのノウハウを使ってたりします。ご興味のある方は難解ですが一度、読んでみてくださいませ)
2-3 やることと順序を決める(フィードバック2回目)
さて、初回ミーティングを経て出た内容を整理してみました。
沢山出た内容を交通整理するとこんな感じ
*第一期対応可能(「MVP」という考えでコア機能を優先して実装) Voiceflow使用
・音声問い合わせ対応システムには外国語も必要(音声問い合わせ対応システム関連)
・在社かどうかなど業務上困ったことを代わりに答えてほしい
*第二期 Notion使用を想定
・新人専用のホームページみたいなのを作成し、そこにまとめる
*第三期 palanAR使用とVoiceflow機能拡充を想定
・なくした物とか故障したパソコンなど聞かなきゃわからない内容を視覚で解決するシステムが必要
・私が困っていることも教えて
フィードバック2回目 外国語対応できたはずができず・・・・(ここでトラブル発生)
さて、二回目も「試作品を出して意見をもらいながら改良」と思っていたら思わぬトラブルが発生
構成上、
・最初にIF文に「locale」という変数で、「何語で問い合わせ来ている」か「判別し振り分け」
を想定していたのですがどうもうまく動きません。
旧verのVoiceflowではこの変数も表示されていたようなのですが、新verではそこに表示されているかもわかりません。
それともう一つ仮説が。
これAlexaの仕組みだから最初にAlexaで外国語の発話がないとだめじゃね??
うちAlexaないし・・・。
ちょっと原因わからないけど、「IF」機能でなく「Choice」機能を使うように変更。
フィードバック自体は外国語機能を飛ばして実施。
・勤務シフトの問い合わせはどのように返すと誤解が無いか
・試作品でどのチームまでカバーするか。どのように使えるか
について意見を収集。
3.ついに爆誕!令和の大型新人 遅れてきたルーキー 第4の男「アレッピー」
3-1 バイリンガル大型新人「アレッピー」
Hさん 「Alexaの仕組みを使ってるから「アレッピー」でいいんじゃないですか?」
こんな感じで命名された新人お助け音声対応システム「アレッピー」
oさん 「中国語はないんですか?」
ゴメン、まだ実装されてなかったです。
これが第三期まで行くと
・数か国語で問い合わせ可能
・新人3人が習った知識が集約されている
・在社確認などもその場で即答
・各新人別に専門分野を分けて呼び出し可能
凄いスーパー新人じゃないですか!?
我々はなんて恐ろしいものを生み出してしまったんだ・・・・
注 まだ在社確認しかできません。
前回問題となった外国語への切り替え部分。もっとスマートなやり方がある気が・・・・
3-2 第一期完成 フィードバック
さっそく他の新人二人に見せそうと動かしていると他の人も寄ってきました。
いいよなぁ、雰囲気が良い職場って。気軽に話せるしフィードバックももらえる。
・何これ、面白いものを作ってるね。私も自分の専門分野以外わからなくて困っていたんだ。他の知識は実装できないの?(50代 システム部員)
・このホームページみたいなやつ(後述)にまとめて表示できないの?簡単に誰でも触れるの?(30代 総務)
・音声は変だなぁ。(注 日本語モードで外国語を読み上げる部分があり、そこを指摘されました)(40代システム部員)
・質疑応答はまだまだ練りこむ必要があるね。ただ、この場ですぐ追加して見せてくれるからすごいなぁ、って思う。(40代 財務経理)
・現場の倉庫には日本語がわからない外国の人は沢山いる。いろいろ使い道がある思う。(物流実務 50代)
皆、システム自体が新しいうえに内製開発を見たことがないので「その場ですぐ直せる」ことに興味が行っていました。
4.まとめ
ただの音声チャットボットを入れる話が壮大な方へいってしまいました。
ニーズがありそうなら第二期を、やる?(かもしれない)
5.(おまけ)ホームページみたいなやつ
実は新人三人で第二期予定の新人専用ホームページ検討も進めてました。(Notion使用 まだ未完成)