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みんなも溺れようキーボード沼

Last updated at Posted at 2020-02-27

その1:キーボード沼とは

 言うまでもなくキーボードとは楽器ではなく、PCの入力装置です。
 まぁ使っていない人はいないと思いますが、一口にキーボードと申しても色や形、機能など実は大変たくさんの種類がございます。
 PC(最近はタブレットなんかも入ってくるとは思いますが)を恒常的に使う人間にとっては手足のようなもので、こだわる人は徹底的にこだわる。そしてはまったら抜け出せない(=キーボード沼の誕生)。
 これはそんなキーボード沼にハマった何百番煎じかわからない体験談と知識のひけらかしです。

その2:キーボードを選ぶポイント

 ではキーボードを選ぶにあたってどんな点を注意すればよいのでしょうか。個人的には以下の項目を用途に合わせて考えればいいのではないかと思います。(クリックで展開します。)

構造

 キーボード自体の機械的な構造。大きく分けると次の4つ。これがキーボードの99%だと行っても過言ではないでしょう。沼の発生源その1。

  1. メンブレン
     よく見るやつその1。メンブレンと呼ばれるラバーカップを利用した構造でペコっとした感覚が特徴。デスクトップPCのキーボードに多いタイプ。

  2. パンタグラフ
     よく見るやつその2。電車の上にある給電装置と同じ名前・形状をしているのが由来(たぶん)。
     キー全体が薄くなるのでノートPCによく採用されているタイプ。キートップを外して掃除をしようとするとよくツメが折れて取り返しがつかない。

  3. メカニカル
     日本語で言えば機械式。キーがスイッチになっていて、バネの硬さや押し心地が大きく異なる。独立してキーを交換できるため故障に強い。近年の高級志向キーボードの主流。
     バリエーションが多く持ち主の個性や好みが顕著に現れ、ツウになるとキーボード全体でキーの種類を統一せず一部だけを変えたりもする。要するに沼の入り口。

  4. 静電容量無接点
     キースイッチを容量可変のコンデンサとすることで押下を認識するタイプ。
     理論上物理的な接触なしに押下を認識できるので耐久性が高い(らしい)。値段も高い。


配列

 キーボード上でキーがどのように配置されているか。
 普段気にすることはありませんが実は沢山の種類があります。特にノートPCなんかでは限られたスペースに無理くりキーを配置する必要があるのでマイナーバリエーションが無数に発生します。沼の発生源その2。

  1. 日本語配列(JIS配列) 
     日本で一番流通していると思われるタイプ(当然か)。Enterキー(Returnキー)が大きいのが特徴。ひらがなが書いてあるのもあります。

  2. US配列
     海外仕様。Enterキーが小さい。また記号の配置が日本語配列とは違うのでなれるまで注意が必要。ひらがなが印字されることは(たぶん)ありません。

  3. その他配列
     現在主流なタイプのキーボード配列はQWERTY配列と呼ばれています(キーの上段が左からQ,W,E,R,T,Yなので)。
     QWERTYはタイプライター時代から続く伝統的な配列で、機械的な紙送りやハンマーの動きを人間の指が超えてしまわないように敢えて打ちにくく作られています(諸説あり)。
     そのため現在では人間工学的に、語学的により効率的なキータイプを求めて様々なキー配列が考案されています。
     難点は移行にかかる学習コスト、ハードウェアのコストが高いこと。


キー数
 キーボードに配置されているキーの数。
 市販のもので一番大きいやつだと109個あるものが主流です。ここから小型化するためにInsert不要なキーが削られて、テンキーがなくなったりします。
 足らないキーはFnとの同時押しなどで代用しますが、割当がない場合そのキーが押せないまたは割り当ててある場合も配列の関係で押しにくいという問題が発生するため、ソフトウェアでコントロールしたりノートパソコンに外付けのテンキーをつけたりなど本末転倒なことが起こりうる。

キーキャップ

 キーボードの触る部分。見た目に大きく影響するため、ある意味一番のアピールポイント。沼の発生源その3

  1. 形状
     界隈ではプロファイルと呼ばれています。大きく分けると、ノートPCのように全て同じ形のものと、デスクトップPCのように角度がついているものがあります。キーキャップにだけ角度がついていても打ちにくかったりするので、その場合はさらにキーボード自体を傾けたりする必要があります。


  2.  大体黒か白。あとはグレー。白いと汚れが目立つので、黒をよく見る気がしなくもないですが、ものによれば選択肢がない。クリアパーツが使われていてLEDで光らせるタイプはゲーマーを中心に人気。

  3. 素材
     樹脂や金属などが選択肢にあります。触り心地が変わりますが、触ってみないと感覚がわからないのでなかなか選ぶのに苦慮する部分。

  4. 印字方式
     安いキーボードは表面に色を付けただけなので、長く使うと印字がハゲます。元から何も印字されていないタイプや横に印字されているもの、印字部分を別に作って二重形成(ダブルショット)するなど工夫がされています。


接続方式

 有線か無線か。あまり言うことはありません。

  1. 有線
     USB(タイプA)によるものが圧倒的に多い。最近ではTYPE-Cのものもある。PS/2接続があるともしものときに安心。基本的には挿せば使えるので転ばぬ先の杖として有線を選ぶのも考え方の1つ。

  2. 無線
     圧倒的にBluetooth。接続のための設定が必要なことはもちろん、接続する機器側にもBluetoothの受信能力が必要だったり、バッテリーの問題があったり、混線の問題があったり、遅延の問題があったり、課題は多い。しかし、線がないというメリットが全てを超越することもままある(技術の進化とともに課題についてはほとんど解決されています)。

その3:市販品を見ていこう

 見るべきポイントが分かったところで早速探しに行くわけですが、結局自分のこだわりを100%叶えてくれる商品はなく、どうしても欲しいものは作るしかありません。私も自作のキーボードを使用しています
 が、いきなり自作はハードルが高すぎる気もするので、市販品の中からいくつかおすすめを紹介します。

パンタグラフ

 SANWA SUPPLY SKB-SL09W
 PC周辺機器といえばここ。低価格ながらギークにはたまらないニッチな商品を提供するサンワサプライからこの商品。
 コンパクトな設計をウリにしていて、コードを抜かなくてもコードをしまえる構造になっており、立てて自立する変態。USBポートが2つ付いているため、どれだけつないでもお釣りが来る。USBメモリなど、ちょっとだけつなぎたいときも全て手元で完結できるのは便利。
 ※残念ながら終売していました。まぁテンキーないし、Bluetoothで接続すればポートもふさがないし、線の取り回しも気にしなくていいし、時代の流れ。

メンブレン

 Logicool WASHABLE KEYBOARD K310
 ちょっと高級志向のPC周辺機器を提供するLogicool。話はそれるけどM570tのトラックボールマウスは名器中の名器(いつか書く)。
 キーボードは常に触る存在なので、存外汚い。一節によればトイレの便器よりも汚いとか。
 そんな不浄なキーボード業界における革命児がこいつ。特徴は洗える(!)
 あと、キーボードってだいたいガワとキーが同系色ですが、黒字に白のデザインがおしゃれ。
 洗える(洗えるとは言ってない)という口コミも見かけますが、動画ではジャバジャバ洗ってます(というか水に浸けてる)。流石にここまで豪快に水没させたことはありませんが、洗っても普通に動作しました(よく乾燥させたほうがいいかも)。

メカニカル

 DIATEC Majestouch BLACK
 パンタグラフやメンブレンは高くても5,000円程度ですが、メカニカルを求めだすとそれだけで1万オーバーしてしまいます。そんな高級品のメカニカルキーボードの入門におすすめなのがこちら。
 有線キーボードですが、テンキー付きのフルキーボードでCherry MXスイッチというメカニカルでは(おそらく)トップシェアのキーを使っています。印字が全くないわけではなく、手前についている点もオサレポイントが高い。DIATECはとにかくメカニカルキーボードのバリエーションを多く販売している会社です。サイトを眺めるだけでも結構楽しい(BTOもあります)。多分ここで選び出すとキーボードをカスタマイズする楽しみが伝わります。
 似たような製品を扱っているところだとARCHISSなんかはいろんな海外の会社の販売代理店になっていいて、変わった商品も扱っています。

キーについて

 メカニカル構造を語るためにはキーによる特性を語らねばなりません。ドイツのCherry社製のものが有名で、現在は特許切れのため、いろんな会社がたくさんの種類を生産しています。
 Cherry MXスイッチは押し心地によって色を変えており、その色からメカニカルスイッチの場合○○軸という呼称を使うことが多いです。代表的な軸色とタッチ感は次の通り。(というかここ見たほうが早いんじゃ?

  • 黒軸 ・・・・・・重めの打鍵間。クリック感(ボタン押下時にちょっとひっかかる感覚)はない。
  • 赤軸 ・・・・・・黒軸を軽くした打鍵間。
  • 茶軸 ・・・・・・赤軸にクリック感を加えたもの(タクタイルスイッチ)。
  • 青軸 ・・・・・・茶軸にクリックを加えたもの。タイピングしてる感は出るがうるさい

 私の好みは軽くて疲れない赤軸ですが、世の中的には赤以外にも青が人気です。
 この他にも緑軸や銀軸やらいろんなものが出ています。他社も同じような感じで作っていますが、当然全く同じではないのでできれば試打できる環境があるといいですね。こういう商品もあります。
 またCherry MX互換のキーはキーキャップが共通なので、キーキャップだけ買ってきて自由にデコレーションできるところも魅力的です。ゲーミングキーボードではよく使うASWDキーだけ別色にしているものもありますね。
 Logicoolなんかは同じメカニカルですがオリジナルの構造のものを作っています。このタイプは他のキーキャップとの気軽な交換ができないかすごく限定的なので注意が必要。

静電容量無接点

 東プレ Real Force かPFU Happy Hacking Keyboard のほぼ二択。メカニカルキーボードは高くても2万円くらいですが、静電容量無接点になると安くて3万円というやばい世界。ラバードームを使って押下をコントロールするのでメンブレンの感覚っぽくなる。

その他気になるやつ

 Kinesis Advantage2
のっけから意味不明なデザイン。最近はやりのエルゴノミクス(人間工学)に基づいたらしいキーボード。要するに人間の掌の構造に沿った形にキーが配置してあるので長時間使っていても疲れないというのが特徴です。
 これに限らずエルゴノミクスを意識した商品は、ほとんど姿勢を変えることなくタイピングできるので確かに良いのですが、タイピングするためのホームポジションをしっかり守った上での運用が求められるため、タッチタイピングができないと却って操作性が下がってしまいます。

 Vortex Core
 結局ファンクションキーやテンキーなんて常に使わないのでは? とのコンセプトからいらないキーをどんどん削ってコンパクトにしたキーボード。キー数は47でフルキーボードの40%程度しかありません。足りないキーはレイヤキーと呼ばれるボタンを押しながら押下して実現します(イメージは「Shift」 +「1」 で「!」を打つイメージ)。
 レイヤのカスタマイズやマクロ登録もできるのでいろいろ面白い使い方ができそうなのも◎。軸もいろいろ選択肢があるので多少は好みを出せる。

 Mistel MD650L Barocco
 KINESISのような分割キーボードはたまに誰かにPCを触ってもらうときに大変不便します。そんな孤独を解消した商品。基本的には左右分割型のキーボードとしても使用できるが、分断面の枠が薄いため、繋げて普通のキーボードのように使うこともできる。配置も普通のキーボードに近いため、移行コストが小さいというメリットもあります。

 AKEEYO NiZ
 え? 静電容量無接点方式の有線無線両対応のプログラマブルキーボードをこの値段で? できらぁ!!
 界隈で話題のキーボード。カタログスペックだけ見ると市販品の欲しい要素が全部入ってる割にめちゃくちゃ安いという化け物。ちょっと前は海外の通販サイトでしか買えなかったが、最近はAmazonでも入荷が再開した。誰か買ってみてほしい。

結論

 結局既存の内容をまとめただけで新しい情報は何もないような気がします。こんなことが書きたいんじゃないんだ!
 というわけで次回「自作キーボードを作る」に続きます。

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