FlutterFlowからFirebase Functionsを呼び出す際にレスポンスが遅い時の対策

Cloud Functionsはコールドスタート問題が発生することがあり、特に初回実行時に5-15秒程度の遅延が生じることがあります(メモリのサイズによって異なります)。ウォームアップ対策を試してみました。

ウォームアップ対策の手順

1. Cloud Schedulerを使用した定期的なウォームアップ

GCPコンソールで「Cloud Scheduler」にアクセス
「ジョブを作成」をクリック
ウォームアップ用ジョブの設定:
- 名前: function-warmup
- 説明: 「Function warm-up job」
- 頻度: */10 * * * *（10分ごとに実行）
- タイムゾーン: 適切なタイムゾーンを選択
- ターゲットタイプ: HTTP
- URL: 対象のCloud Function URL
- HTTPメソッド: GET
- ヘッダー: {"Content-Type": "application/json"}
- 認証ヘッダー: 必要に応じて設定
「作成」をクリック

2. 最小インスタンス数の設定

GCPコンソールで「Cloud Functions」にアクセス
対象の関数を選択
「編集」をクリック
「ランタイム、ビルド、接続設定」を展開
「ランタイム」タブを選択
「最小インスタンス数」を1以上に設定（例: 1〜3）
「次へ」→「デプロイ」をクリック

3. 関数コードの最適化

関数のパフォーマンスを向上させるコード最適化:

// グローバル変数を活用（関数外で初期化）
const admin = require('firebase-admin');
if (!admin.apps.length) {
  admin.initializeApp();
}
const db = admin.firestore();

// 実際の関数
exports.myFunction = async (req, res) => {
  try {
    // ビジネスロジック
    const result = await someProcess();
    res.status(200).send({ success: true, data: result });
  } catch (error) {
    res.status(500).send({ success: false, error: error.message });
  }
};

4. FlutterFlow側での対応

FlutterFlowプロジェクトを開く
バックエンドアクションを設定：
- 「Backend」→「Actions」を選択
- ウォームアップ用のアクションを作成(必要に応じて並列処理)

アプリ起動時にウォームアップリクエストを送信:

// アプリ初期化時に実行するコード
Future initializeApp() async {
  // 他の初期化コード
  
  // Cloud Functionsのウォームアップ
  try {
    await http.get(Uri.parse('https://your-region-your-project.cloudfunctions.net/yourFunction'));
    print('Function warmed up');
  } catch (e) {
    print('Warm-up request sent (error ignored)');
  }
}

FlutterFlowのカスタムコードセクションに上記コードを追加
アプリの初期画面の「On Page Load」アクションでウォームアップを実行するよう設定

5. Firebase Functionsで直接設定する場合（Blaze計画が必要）

firebase.jsonファイルを編集:

{
  "functions": {
    "source": "functions",
    "runtime": "nodejs16",
    "minInstances": 1
  }
}

デプロイコマンドを実行:
```
firebase deploy --only functions
```

6. リクエストのバッチ処理

可能な場合、複数のリクエストをバッチ処理:
- 個別の関数呼び出しをまとめる
- バルク操作を実装する

FlutterFlowのカスタムコードで一括処理を実装:

// 複数のアイテムを一度に処理
Future processBatch(List<String> itemIds) async {
  final response = await http.post(
    Uri.parse('https://your-region-your-project.cloudfunctions.net/batchProcessor'),
    headers: {'Content-Type': 'application/json'},
    body: jsonEncode({'items': itemIds}),
  );
  return jsonDecode(response.body);
}

注意点

最小インスタンス数の設定はコスト増加につながります
ウォームアップ戦略はユースケースに合わせて調整してください
Sparkプランでは最小インスタンス数の設定ができないためBlazeプランへのアップグレードが必要です

以上の対策+メモリサイズを1GBにしたら2〜3秒くらいになりました。