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アジャイルの始め方~化石エンジニアがアジャイラーを探しに行く~

Last updated at Posted at 2021-12-11

はじめに

注意

  • この記事は投稿者:化石エンジニア・アンモナイトの「個人的な」体験です。
  • WF開発を否定する意図はまったくありません。アンモナイトが過去の記憶を表現するとこのようになった、というだけです。 (視点が偏っているので、表現がおかしい可能性・大です)
  • ご気分を害されそうだと感じられたら、ブラウザバックをお願いします。

前提

  • アンモナイトは、ながらくWFで社畜として働き、言われた通りの仕様で言われた通りに実装することのみを考えて生きてきた。
  • 納期・リソースは考えるが、顧客価値とかあんまり考えたことがなかった。
  • いかにWFを事故なく回すかに全集中。(もちろん、そんなにうまくいくわけないので、たまに地獄絵図)
  • 社内システムPMやPLがメイン業務で、ぬるま湯につかってた感ある。
  • エムティーアイに入る前の話です。

ステップ1:そもそもの始まり

3年前くらいのある日、アンモナイトは上司に「『アジャイルサムライ』って本、読んだことある?」と問われ、
「あります。いい本ですよね、あれ(他人事)」と返答したところ、
部署初のアジャイルPJに放り込まれる。
誰もアジャイルの知見ない。みんなWFしかやったことない。
「俺らがやってるPJってアジャイルになってんの?」
(『アジャサム』のラストでめっちゃ不安になる)
「アジャイラーってホントにこの世に存在してんの?」という疑問がチームにあふれかえる。

ステップ2:調査開始

エンジニアが謎に遭遇したらどうするべきか。
「確かめる」しかない。アジャイラーが存在するかどうかを。
そして存在したら、「ヘルプミー!」と絶叫したい。
どうやら又聞きの又聞きの又聞きくらいの噂では、「アジャイルのイベント」というのがあるらしい。
(「三つ首の白い大蛇が出没する洞窟」レベルの曖昧な情報)
しかし、アジャイル実在調査の話は全然進まない。
「本当に社外にイベントってあるの?」「どうやってイベントへ行くの?」
「アジャイラーって存在すんの?」(2回目)
というくだりを何度も繰り返す。
悩みへの耐性が低いアンモナイトは混乱と我慢の限界に達し、
「そんなん、やってみないとわかんねぇよ! 誰か一緒にイベントに行かない?」(=一人だと怖い)
とキレ気味に調査冒険への同行者を募る。(結果:「行かない」の大合唱)
じゃあもう、アンモナイトが行くしかないじゃん!
某探検隊のよーに(ネタが古い)、その目で確認するしかないじゃん!
よくわからないまま勢いだけで、社外のアジャイルコミュニティのイベントに参加してみることにした。
イベントはあるのかどうかすらわからなかったが、神のごときGoogl●先生のお導きにより、
某イベントサイトにたどりつく。

ステップ3:参加イベント選択

イベントサイトで「アジャイル イベント」と検索してみる。
「マジか……」
ものすごいたくさん(語彙力)ヒットする。
「やはり伝説のアジャイラーは存在するのか……」
しかしイベント説明やコミュニティ説明がまったくわからない。
いや、日本語は読めるが、どういう意味かよくわからない。
わかるのは「初心者歓迎」「初心者OK」の文字のみである。
いやもう、この際、それだけわかればいいや。あとは行ってみないとわかんないよ。
申し込もうとして「アカウント登録」が必要だと表示される。
だよねー、ですよねー、アカウント作った記憶がないよ。ここからか。
どういうレベルで個人情報をさらされるのか、さらしていいのか、まったくわからない。
とりあえず適当なハンドルネームを作り、アカウントを開設、イベントを申し込んだ。

ステップ4:イベント当日

アンモナイトは地図音痴である。
偉大なるGo●gle先生のお導きがあっても、反対方向に進むことが可能な特殊能力保持者。
このビルで本当に合ってる?
開始時間の15分前くらいにビルの前に着いたが、スマホを握る手は手汗まみれ。
なぜなら、このビルが会場でなければ(いつものように反対方向なら)イベント遅刻確定であり、
かつ、もし本当にこのビルが開催地であれば「アジャイラー」がたくさん集うはずなのだ。
どんなひとたち? 大丈夫か、このエレベーターに乗って?
挙動不審になりながら、エレベーターが下りてくるのを待つ。
すると、なにやらスマホ片手にキョロキョロと挙動不審な方々2名がやってくる。
エレベーターが来たので、コンタクトしてみる。
「●階ですか?」「あ、はい、そうです」
よかったー、ビル合ってるっぽい。そして緊張してるの、アンモナイトだけじゃないっぽい。

オシャレな受付で申し込み時のハンドルネームを訊かれる。あ、このタイミングでチェックする名前だったのか。
あー、しくった。めっちゃ読みづらいし、発声するのが恥ずかしい名前にしてしまった…。
人生、過ぎてしまったことは仕方ないので(社畜は諦めが早い)、リストを指さし、「こ、これ……」と伝える。
名前をチェックした受付の方はやさしく付箋の山を示す。
はい、この付箋がなんでしょう?
「名前を書いて、胸に貼っておいてください」
え、名前? それってそのリストの恥ずかしい名前?
いやさすがに、それは書けない。かといって本当の氏名を書いていいのかどうかもわからない。
駆け込んだトイレでこっそり付箋を3枚くらい消費し、最低限、呼ばれたときに判別できる名前を記載、ブルブル震える手で胸に貼る。
もう帰りたくなる。
アンモナイト的にはビルにたどり着いて付箋を貼っただけで「Good job!(サムズアップ)」である。
収穫(=証明)はこの付箋です! じゃダメかな。
すごく優しかったけど、受付の方も「アジャイラー」なんだろうか?
怖いひとがいっぱいいたら、どうしよう。
だって、アジャイルについて『アジャイルサムライ』しか知らないよ!
なにかアジャイルっぽい質問されても、返答できないんだよ!

ステップ5.1:イベント開始

イベント会場にて、複数設置されたテーブルのうち、一番奥のテーブルに着席する。
頭の中で選択肢は「最前列」か「最後列」しかなかった。
最前列の中心で「ヘルプミー!」と叫ぶか、
最後列から様子を見ながら同テーブルの方に話しかけるか。
慎重なことには定評があるアンモナイトは後者を選択。(※慎重なら勢いだけでイベントに来ない)

やがて開始時刻になり、会場は満員になる。
え、本当にこのひとたち、みんな「アジャイラー」?
見た目はめっちゃ普通というか、尖った空気じゃないというか、むしろ和やかな雰囲気だが……。
もしかして生きて還れる?
「こんばんは!」と進行の方が挨拶。
こんな挨拶、会議の冒頭で聞いたことない。
どうリアクションしていいのかわからないが、周囲がにこやかに拍手するので、
サルのおもちゃ的に手を叩く。油が切れてる。
進行の方は本日のイベントのアジェンダをモニターに映して説明、
イベントは本日の発表(「LT」という単語を知らないため、「発表」と表現)になる。

ステップ5.2:LT

ふりかえりについて発表が始まる。
ふりかえりか……。
ふりかえりはWFでもPJの最後にKPTをやった。
ただし、PLの自己否定文を発表、同席するテストチームやPMが容赦なく否定に否定を重ねてPLの欠点を糾弾するという流れである。
PLからすると空気は最悪だし、時間の経過は誰かの魔法によって倍くらい遅くなる
(「お客様の中にスタ●ド使い様はいらっしゃいませんか?」)
アンモナイトにとって、ふりかえりとは、繰り返したくない悲劇。繰り返される悲劇。
アジャイルのふりかえりも同じでは?
実際、今のチームのふりかえりは、個人への糾弾はないにせよ、発言は少なく、お通夜状態である。
もうKPTのKが出てこないし、Pは量産され、Tは実現されない。

しかし、発表されたふりかえりは知ってるのと全然違った。
内容がとてもポジティブ。発表者もポジティブ。
なんで? なんでふりかえりを笑顔で推奨して、「楽しいよ!」と言えるの?
発表後、周囲は再度拍手、あたたかい空気である。
わけがわからない。知らないアーティストのライブに突然放り込まれたみたいな感じ。
アーティストも歌詞も知らないけど、周囲は盛り上がってる、みたいな。
違和感は一切顔に出さず、もちろん、アンモナイトもおもちゃ的(油が……)に手を叩く。
頭の中は「なんで?」に埋め尽くされる。
導き出される結論:
「アンモナイトたちのふりかえりはアジャイルなふりかえりではない?」
もしくは「ここにいる全員がアンモナイトをだまそうとしている?」
後者は社畜の「責任は責任者がとらない」という意識から発した純度100%被害妄想だ。
そんなわけないだろ、こんなおおがかりに初対面の一匹の社畜をだましてなんの利得がある?(反語)

ステップ5.3:OST

その後、進行通りに「お悩み相談」が始まった。
「お悩み相談」。
そう、アンモナイトの真の目的はここ。初心者OKでアジャイルのお悩みを聞いてくれるとは、主催者は神か。
テーブルにはやはり付箋があり、お悩みを付箋に書き出すことになった。
ありますとも。
この瞬間のために、チームからお悩みヒアリング+自分の疑問点をメモってきてる。
ガンガン書く。
あっという間に10枚くらい書いた。
もちろん、初心者的な質問である。
「これをやればどんなチームでも間違いなくアジャイルになる、という方法はありますか?」
「アジャイルだという判断基準は何ですか?」(『アジャサム』の最後の衝撃から意識が進まない)
「機能横断って可能なんですか?」
「インセプションデッキにめちゃくちゃ時間がかかります」
「インセプションデッキの粒度がわかりません」
「エレベーターピッチの特徴と差別化の違いは何ですか?」等々。
無知とは怖ろしいものである。怖ろしく、かつ純粋なものである。
2021年現在から振り返ってみれば、もうまるっきりアジャイル初心者あるある、テンプレ。
アジャイル初心者の結晶である。
しかし、わからないものはわからないのだ。初めてのアジャイルだから。

次に回答タイムになり、「アジャイラー」が質問に自分の経験、知識から答えてくれる。
ど、どんな具体的な指示が出るのであろうか…。
経験してきたWFでは上官の前ではStayが基本。命令が出るまで勝手に動いてはならぬ。
1枚目:「これをやればどんなチームでも間違いなくアジャイルになる、という方法はありますか?」
回答 :「どんなチームでも使える銀の弾丸はないです」
えー…。銀の弾丸って狼男を倒すっていうあれ? ホラー的なやつ?(←長年の勉強不足がモロに出てる)
すぐにアジャイルになれる方法はないの? =絶望しかない。
この回答者の方はSMだと名乗られ、とても口調がやさしく、穏やかに話される。
というか、SMってなんだ?
(※『アジャサム』にスクラムの名前だけ載っているが、SM等の詳細な説明はない)
他にも質問者がいたため(WFで苦しんでいる方)、
WF経験があるアジャイル初心者のアンモナイトは単なる聴衆となり、お悩みを聞く。
イベント始まってからわからないことだらけだったが、この悩みはわかる。
うんうん、そうだよねー、わかるー。すごいわかるー。WFつらいのわかるー。
あー…いづこも同じ秋の夕暮れ。

ステップ5.4:ふりかえり

そうこうしているうちに時間は過ぎ、「ふりかえりやりまーす!」の声がかかった。
え、イベントでふりかえりやるの? KPT?
「Fun! Done! Learn! やります」
なにそれ。聞いたことない。どういうやり方? ふりかえりに「Fun」ってどういうこと?
ふりかえり=できればやりたくない(精神的に追い詰められるため)という思考のアンモナイトには謎すぎる。
ルールが説明され、やることはわかった。うん、付箋を書けばよいのだな。
こっちの付箋もたくさん書けた。
学んだこと(というか体験したこと)は現状への具体策というより、
「は?!」みたいな、「実は地球って太陽の周り回ってるんですよ」と言われて、
「そんなわけねーだろ!」と即答したひとが事実を知って膝から崩れ落ちるみたいな、
いままでの常識が覆されるようなことばかりだった。
 ・「アジャイラー」は存在した。しかも大量に。←一番デカい発見
 ・アジャイルも開発なのでキツイときもあるが、「アジャイラー」は基本的にアジャイルが好きらしい。
 ・楽しく仕事(アジャイル開発)をしているひとがこの世には存在する。←社畜には驚愕の真実
 ・今日出会った「アジャイラー」はみなさまとても親切で、本当にいい方々だった。
他の方の付箋も見てみる。楽しかったこと、やったこと、学んだこと、いろいろ書かれている。
もうこの付箋を読むだけで学びになった。
いままでに経験したことがない楽しいふりかえりとなり、いろいろ実物(?)に触れられて、ものすごくいいイベントだった。
アンモナイトは脳内でイベントで得た情報が大渋滞したまま、
「アジャイルってすごい!」「アジャイルという考え方(?)がある」という衝撃だけは理解し、帰宅の途に就いた。

ステップ6:調査報告

「アジャイラーは存在した! しかもたくさんいた!」=「動いているのは地球だった」的な報告メールを出す。
「へぇ……」から「ふーん」という温度の低いリアクションをもらい、
「あの楽しい、ワクワクするような空気感は体験しないとわからないんだな」と悟る。
同時に、「体験させるには、ふりかえりの改善が必要だ!」と短絡的に結論を出す。
そしてチームは、脊髄反射的な・でも社外の情報(アジャイラー)をもってるのはアンモナイトのみ、という状況で、手探りでアジャイルを続けていくのだった。
もし銀の弾丸が売っていたら、迷わず経費申請する。
一朝一夕でアジャイルになれたら、苦労はないよね。ホント。

まとめ

つまり、社内に情報がなければ、社外へ取りに行くしかないのだ。
進化したければ、自分が動くしかない。
イベントを探せたのだから、アジャイルの知見だってネットで探せばよかったのでは、と
後になってから気づいたが(社畜は基本、受動的な生物なので、能動的な行動を思いつかなかった)
いかんせん初めてのアジャイルPJだったため、アンモナイトはもうアサインだけでキャパオーバーになっていた。
そして、アジャイルな空気感(?)はネットの記事や文献だけではわからない。体験しないとわからない。
Fun! と言われて、「は?!」となったアンモナイトのように。

初めてのイベント参加後、アンモナイトはアジャイル関連書籍を密林で買いあさり、
社外イベントをチェックして、興味があるイベントに参加するようになった。
イベントのLTや会話で出たキーワードはメモって、後で読み返す。
「技術書典」、新刊本のタイトル、参加者が知っててアンモナイトが知らない本のタイトル、
気になるプラクティス、他のイベントの情報等々を確認して、行動する。
コミュニティにも入ったよ。
ちょっとだけ化石から進化したけど、まだ足りない。
「化石→人類」の進化への挑戦は続く。
社内の複数プロジェクトにSMとして参加、認定スクラムマスターを取って転職した件はまた別の話。

長文にお付き合いいただき、ありがとうございました!

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