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macOS + VS Code で Python の "Hello, World!" - 初心者がつまずきやすい仮想環境とインタープリター設定を丁寧に解説

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対象読者:

  • macOS で Python プログラミングを始めたい初心者
  • VS Code を使って Python を書きたいが、環境構築でつまずいている人

この記事のゴール:

  • macOS 上の VS Code で Python の "Hello, World!" プログラムを実行できるようになる。
  • Python のインタープリター、仮想環境、Command Line Tools for Xcode の役割を理解し、適切に設定できるようになる。
  • VS Code の Python 拡張機能の基本的な使い方を理解する。

実行環境:

  • macOS Sonoma 15.3.2 (24D81) または同等バージョン
  • Python 3.13.3 (この記事では python.org からダウンロードしたものを想定)
  • Visual Studio Code (最新版)

1. はじめに

この記事では、macOS と Visual Studio Code (VS Code) を使って、Python の定番「Hello, World!」プログラムを実行するまでの手順を解説します。特に、プログラミング初心者の方がつまずきやすい以下の点について、丁寧に説明していきます。

  • Command Line Tools for Xcode (CLT): なぜ必要なのか?どうやって確認・インストールするのか?
  • Python インタープリター: たくさんあるように見えるけど、どれを選べばいいのか?
  • 仮想環境 (venv): そもそも何?なぜ必要なのか?どうやって作るのか?

VS Code の Python 拡張機能は非常に親切なガイドを出してくれますが、これらの背景を少し理解しておくと、予期せぬエラーに遭遇したときや、これから色々なライブラリを使い始めるときに、きっと役立つはずです。

この記事の結論: VS Code のガイドは便利!でも「仮想環境」「インタープリター」「CLT」を理解するともっとスムーズ!

2. 事前準備:Python と VS Code のインストール

まずは、必要なツールが揃っているか確認しましょう。

Python のインストール確認

ターミナル(アプリケーション > ユーティリティ > ターミナル.app)を開き、以下のコマンドを実行します。

python3 --version

Python 3.13.3 のようにバージョンが表示されれば OK です。

もし command not found のようなエラーが出た場合:

Python がインストールされていない可能性があります。python.org のダウンロードページ から macOS 用の最新版インストーラーをダウンロードして、インストールしてください。

【補足】Command Line Tools for Xcode について
python3 --version を実行した際に、もし Command Line Tools for Xcode (CLT) がインストールされていない場合、インストールを促すダイアログが表示されることがあります。その場合は、ダイアログの指示に従ってインストールしてください。(この CLT については次のセクションで詳しく説明します。)

VS Code のインストール

VS Code がまだインストールされていない場合は、公式サイト からダウンロードしてインストールしてください。

3. Command Line Tools for Xcode (CLT) の確認とインストール

次に、開発に必要なツール群である Command Line Tools for Xcode (CLT) を確認・インストールします。

CLT とは? なぜ必要?

CLT は、macOS でソフトウェア開発を行うための基本的なコマンドラインツール(コンパイラ、Git など)のセットです。Python 本体や、後々使うことになるかもしれない様々な Python ライブラリ(パッケージ)が、内部でこれらのツールを利用することがあります。そのため、事前にインストールしておくと安心です。

インストール済みか確認する方法

ターミナルで以下のコマンドを実行します。

xcode-select -p

/Library/Developer/CommandLineTools のようなパスが表示されれば、既にインストールされています。
error: invalid active developer path... のようなエラーメッセージが表示された場合は、まだインストールされていません。

インストール方法

ターミナルで以下のコマンドを実行すると、インストール用のダイアログが表示されます。

xcode-select --install

表示されたダイアログの指示に従って、インストールを完了してください。

【補足】
VS Code で Python 拡張機能を使った際などに、CLT がなければ自動でインストールを促されることもあります。もし先に進めてしまっても問題ありませんが、ここで一度確認・インストールしておくと、後の手順でつまずく可能性を減らせます。

4. VS Code の設定:Python 拡張機能とコマンドパレット

VS Code で Python を快適に使うための設定を行います。

Python 拡張機能のインストール

  1. VS Code を起動し、左側のアクティビティバーから四角いブロックのアイコン(拡張機能ビュー)をクリックします。
  2. 検索ボックスに Python と入力します。
  3. Microsoft が提供している「Python」拡張機能(通常、一番上に表示されます)を見つけ、インストール ボタンをクリックします。

コマンドパレットの使い方

VS Code の多くの機能は「コマンドパレット」から呼び出すことができます。

  • メニューバーから 表示 > コマンドパレット... を選択
  • または、ショートカットキー Cmd + Shift + P を押します。

コマンドパレットが開くと、入力欄の先頭に > が表示されています。これは「これから VS Code のコマンドを入力・実行しますよ」という目印です。この後に続けて、実行したいコマンド名の一部を入力すると、候補が絞り込まれていきます。

5. Python インタープリターの選択

次に、VS Code に「どの Python を使ってコードを実行するか」を教えます。これを「インタープリターの選択」と呼びます。

Python インタープリターとは?

Python インタープリターは、あなたが書いた Python コードをコンピューターが理解できる形に解釈し、実行するプログラム本体です。macOS には、OS 標準で入っている Python や、自分でインストールした Python など、複数の Python 環境(インタープリター)が存在することがあります。VS Code に、今回使う Python (ステップ 2 で確認・インストールしたもの) を正しく教えてあげる必要があります。

インタープリターの選択手順

  1. コマンドパレット (Cmd + Shift + P) を開きます。
  2. Python: Select Interpreter (または日本語表示なら Python: インタープリターを選択) と入力し始め、表示されたコマンドを選択します。
  3. 利用可能な Python インタープリターのリストが表示されます。ステップ 2 でインストールした Python を選択します。通常、パスに python.org/usr/local/bin/python3/Library/Frameworks/Python.framework/... などが含まれているものが該当します。バージョン番号 (例: 3.13.3) も参考に選択してください。

選択すると、VS Code はこのインタープリターを記憶します。(確認方法は次のステップで説明します。)

6. 仮想環境の作成と選択【初心者の重要ポイント】

いよいよ、初心者が最も混乱しやすい「仮想環境」です。しかし、これは Python 開発において非常に重要な概念なので、ぜひ理解しておきましょう。

仮想環境とは何か? なぜ使うのか?

仮想環境とは、プロジェクトごとに独立した Python 環境を作るための仕組みです。

例えば、あなたが今後、Web アプリ開発プロジェクト A と、データ分析プロジェクト B を同時に進めるとします。
プロジェクト A ではライブラリ X のバージョン 1.0 が必要で、プロジェクト B では同じライブラリ X のバージョン 2.0 が必要になった場合、PC 全体で使う Python 環境が一つだけだと、どちらかのプロジェクトはうまく動きません。

仮想環境を使うと、プロジェクト A 専用の「道具箱」、プロジェクト B 専用の「道具箱」を用意するようなイメージで、それぞれのプロジェクトが必要とするライブラリとそのバージョンを、他のプロジェクトに影響を与えずに管理できます。

メリット:

  • プロジェクトごとに使うライブラリ(パッケージ)とそのバージョンを管理できる。
  • 他のプロジェクトとの間でライブラリのバージョンが衝突(コンフリクト)するのを防げる。
  • PC 本体 の Python 環境を汚さずに済む。

仮想環境の作成手順 (Venv を推奨)

Python には標準で venv という仮想環境を作成するツールが付属しています。ここでは venv を使ってみましょう。

  1. まず、Hello World プロジェクト用のフォルダを作成し、VS Code でそのフォルダを開きます。(メニューバー > ファイル > フォルダを開く...
  2. コマンドパレット (Cmd + Shift + P) を開きます。
  3. Python: Create Environment (または Python: 仮想環境を作成) と入力し始め、表示されたコマンドを選択します。
  4. VenvConda のどちらを使用するか聞かれます。ここでは Venv を選択します。

    【補足】Venv vs Conda
    Conda はより高機能な環境管理ツールですが、別途インストールが必要です。Venv は Python に標準で付属しており、基本的な用途であれば Venv で十分なため、初心者の方にはまず Venv をおすすめします。

  5. 次に、どの Python インタープリターを使って仮想環境を作るか聞かれます。ステップ 5 で選択した Python (python.org からインストールしたもの) を選択します。
  6. VS Code がプロジェクトフォルダ内に .venv という名前のフォルダを作成し、その中に独立した Python 環境を構築します。少し時間がかかる場合があります。
  7. 作成が完了すると、VS Code は自動的にこの新しい仮想環境を選択し、右下に「環境 .venv が作成されました」のような通知が表示されることがあります。(通知の表示は VS Code のバージョンや設定によって異なる場合があります。)

仮想環境内のインタープリターが選択されているか確認する

VS Code が新しく作成した仮想環境 .venv 内の Python インタープリターを正しく認識しているか確認しましょう。

確認方法:

  1. コマンドパレットで確認 (確実な方法):

    • コマンドパレット (Cmd + Shift + P) を開きます。
    • Python: Select Interpreter (または Python: インタープリターを選択) を実行します。
    • 表示されるリストの上部(またはチェックマークが付いている箇所)に、パスに .venv が含まれるインタープリター (例: Python 3.13.3 ('.venv')) が表示されていれば、正しく選択されています。
  2. 統合ターミナルで確認:

    • VS Code で新しい統合ターミナルを開きます (メニューバー > ターミナル > 新しいターミナル)。
    • ターミナルのコマンドプロンプトの行頭に (.venv) のような表示があれば、ターミナルが仮想環境を認識していることを示します。これは、VS Code が仮想環境を適切に扱っている可能性が高い状況です。

【補足】ステータスバーでの確認について
以前のバージョンの VS Code や設定によっては、ウィンドウ右下のステータスバーに選択中の Python インタープリター名(例: Python 3.13.3 ('.venv'))が表示されることがありました。もし表示されていればそこでも確認できますが、表示されていない場合や場所がわからない場合は、上記のコマンドパレットの方法で確認するのが確実です。

もし、うまく選択されていない場合は、コマンドパレットから Python: インタープリターを選択 を再度実行し、リストの中から .venv が含まれるものを手動で選択してください。

【重要ポイント】
これ以降、このプロジェクトフォルダで作業する際は、常にこの .venv 仮想環境内のインタープリターが選択されている状態にします。

7. "Hello, World!" の実行

環境が整いました!いよいよ Python コードを書いて実行します。

  1. プロジェクトフォルダのルートに ファイルを作成します。

    • VS Code のエクスプローラービュー(左側の一番上のアイコン)で、.venv フォルダと同じ階層(つまりプロジェクトフォルダ直下)に hello.py という名前のファイルを作成します。 .venv フォルダの中に作成しないように注意してください。
    • エクスプローラーでフォルダ名が表示されている部分(または何もない領域)を右クリックし、「新しいファイル」を選択して hello.py と入力します。
  2. 開かれた hello.py ファイルに、以下のコードを入力します。

    print("Hello, World!")
    
  3. ファイルを保存します (Cmd + S)。

  4. コードを実行するには、いくつかの方法があります。

    • 方法1: 右上の実行ボタン
      エディタの右上にある再生ボタン (▶) をクリックします。VS Code が自動的にターミナルを開き、python3 hello.py を実行してくれます。
    • 方法2: 統合ターミナル
      1. メニューバーから ターミナル > 新しいターミナル を選択します。
      2. ターミナルのプロンプトの先頭に (.venv) と表示されていることを確認します。(仮想環境が有効になっている証拠です)
      3. 以下のコマンドを入力して実行します。(macOS の環境によっては python ではなく python3 の指定が必要な場合があります)
        python3 hello.py
        

どちらの方法でも、ターミナルに

Hello, World!

と表示されれば成功です!🎉

8. つまずきやすいポイントのまとめと対処法

もしうまくいかなかった場合は、以下の点を確認してみてください。

  • python3: command not found
    • Python が正しくインストールされていない可能性があります。(ステップ 2)
    • Command Line Tools for Xcode (CLT) が必要かもしれません。(ステップ 3)
  • ModuleNotFoundError (モジュールが見つからないエラー) など
    • 意図した Python インタープリター(特に仮想環境 .venv 内のもの)が選択されていますか? コマンドパレットの Python: インタープリターを選択 で確認してください。(ステップ 6)
    • ターミナルで実行する場合、仮想環境が有効になっていますか? ターミナルのプロンプト ((.venv) の表示) を確認してください。(ステップ 7)
  • VS Code のコマンド (Python: ... など) が見つからない
    • Python 拡張機能は正しくインストールされ、有効になっていますか?(ステップ 4)
    • コマンドパレットでコマンド名を正しく入力していますか?(ステップ 4)
  • CLT のインストールを求められるダイアログが表示される
    • 指示に従ってインストールしてください。(ステップ 3)
  • hello.py の場所が違う
    • hello.py ファイルはプロジェクトフォルダの直下(.venv フォルダと同じ階層)にありますか? (ステップ 7)

9. まとめ

今回は、macOS と VS Code を使って Python の開発環境を構築し、「Hello, World!」を実行するまでの手順を、特に初心者がつまずきやすいポイントに焦点を当てて解説しました。

  • Command Line Tools for Xcode (CLT) は開発に必要なツール群。
  • Python インタープリター はコードを実行するプログラム本体。VS Code に正しく教えてあげる必要がある。
  • 仮想環境 (Venv) はプロジェクトごとに Python 環境を独立させる重要な仕組み。

VS Code の Python 拡張機能は非常に強力で便利ですが、これらの背景を少し知っておくだけで、今後の Python 学習や開発がよりスムーズに進むはずです。

ここから、ぜひ色々な Python のコードを書いて、実行してみてください!


参考文献

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