僕「&&ってなに？」
僕「C++のコード、&&みたいな記号をたまに見かけるけど、これは何なんだろう・・・」
女の子「ああ、それは右辺値参照(、ユニバーサル参照)を宣言するときの記号だよ～」
僕「右辺値参照？」
女の子「&を使って参照を宣言できることは知ってるじゃん？」
僕「うん」
女の子「それは、左辺値参照なの」
女の子「同じように、&&を使って宣言された参照型が右辺値参照なのだ」
int a;
int & b = a; // 左辺値参照
int && c = 0; // 右辺値参照
女の子「そして、左辺値は左辺値参照を初期化、右辺値は右辺値参照を初期化することができて」
女の子「これらは一般に参照と呼ばれるの」
女の子「これだけの違いで、実際にこれらの参照を使うときの意味は同じ」
僕「なるほど～ところで、左辺値、右辺値ってなに？」
女の子「それは式の種類」
僕「なにがちがうの？」
女の子「うーん、簡単にはいえないな～」
値カテゴリ
（僕「ちょっと気になったんだけど、式って言った？値じゃなくて？」）
（女の子「厳密にいえばそう。 左辺値、右辺値は、その名前に反して式の分類なのだよ」）
女の子「たとえば、下の図は式の分類である値カテゴリの全体図（N3337 3.10 図1のコピペ）」
女の子「式はglvalue、rvalueに分類することができて、それらはさらにlvalue、xvalue、prvalueに分類することができるん」
女の子「詳しくは値カテゴリ - cppreference.comに書いてあるので、簡単な説明だけするね」
女の子「すごく簡単に言えば、」
-
lvalue（左辺値） : 式にアドレスをとれるもの。代表的なのは、変数、関数の名前 -
xvalue: 一時オブジェクト、std::move(x)など -
prvalue: アドレスが取れないもの。代表的には、戻り値の型が参照でない関数呼び出し式など -
rvalue（右辺値） :prvalueまたはxvalueのいずれか -
glvalue:lvalueまたはxvalue
女の子「だよ」
僕「ううん・・・オブジェクトの名前とかなら左辺値、関数呼び出しみたいなのなら右辺値でおｋ？」
女の子「だいたいおｋ」
ユニバーサル参照（forwarding reference）
～数日後～
僕「なんだか謎味深いコード見つけたんだけど・・・」
女の子「どしたん」
僕「これみて・・・」
#include <iostream>
#include <string>
template<typename T>
void print(T&& arg) // <--
{
std::cout << std::forward<decltype(arg)>(arg) << '\n';
}
int main()
{
std::string str = "nyan";
print(str);
}
僕「この&&、どう見ても右辺値参照なんだけど、普通に動くんだよこのコード・・・」
女の子「あー、このT&&はユニバーサル参照（forwarding reference）って呼ばれているものだね～」
女の子「templateとか、autoに&&がくっついてるのは、とりあえずなんでも受け取れるのだよ」
僕「まじか・・・」
女の子「そう」
僕「でも、なんで？」
女の子「この挙動の本質っぽいものは、参照の圧縮って呼ばれているものなの」
女の子「この場合、Tはstd::string &に推論されるけど、このTって&&くっついてるじゃん？」
僕「うん」
女の子「でも参照の参照って作れないじゃん？」
僕「うん」
女の子「だから、コンパイラさんが気を利かせて、いい感じに推論してくれるんだよ～」
女の子「そんな感じで、Tはstd::string &に推論されて、」
女の子「T&&もいい感じにstd::string &になるのだよ」
僕「はえ～」
（女の子「ちなみに、T&&で受け取って、std::forwardでほかの関数の引数にそのまま渡すのは、」）
（女の子「完全転送って呼ばれるてるよ～」）
ちょっと注意
- ユニバーサル参照（forwarding reference）はなんでも受け取れてしまうので、オーバーロードがこれに解決しがちだよ
- (完全転送の
std::forwardは、std::moveと同じように同じものに対して何回もやっちゃダメだよ！)
参考リンク
ムーブセマンティクスについて -> 本当は怖くないムーブセマンティクス - yohhoyの日記（別館）
完全転送について-> C++のムーブと完全転送を知る - Fixstars Tech Blog /proc/cpuinfo
値カテゴリについて -> 値カテゴリ - cppreference.com
いろいろ -> 右辺値参照・ムーブセマンティクス - cpprefjp C++日本語リファレンス