この記事の読み方
まず、これは自分のための記事であるため、他の人にとって十分に説明がされている保証はありません。
自分が頭に入っていないなあと思った事柄をまとめています。
神経インパルスに関して特に大きな発見をした生理学者について古い順に説明しています。
表記に関しては一貫性を持たせたかったので
名前 (ローマ字、 生没年、 出身)
活動場所:
成果:
弟子:
の順に説明しています。
内容としては「神経インパルス物語」という本を主に参照して書いています。
この本は科学史の本なのですが、神経生理学者の著作で実験結果も必要十分に解説しつつ、当時の状況をそれぞれの時代の中心であった科学者にスポットライトをあてながら説明していてとてもおもしろい本です。
ただ、自分が苦手なのもあるのですが、この分野が初めての人にとっては知らない人物が多すぎてこの人は何をした人だったけとなることが多かったです。
読了後もこの感じが残ってしまっていたのでこの記事を書くことにしました。
神経生理学者まとめ(時系列順)
ルイージ・ガルバーニ (Luigi Galvani 1737〜1798, ボローニャ、イタリア)
活動場所:ボローニャ大学
成果:神経が電気を使っていることの発見(1770年)
カエルの足の神経に摩擦起電機もしくはライデン瓶から火花を飛んだ瞬間、脚の筋肉がぴくついた現象を発見
アレッサンドロ・ボルタ (Alessandro Volta 1745〜1827、コモ、イタリア)
活動場所:パヴィア大学
成果:微弱な電気を検知測定するための感度のよい装置、コンデンサの発明など(〜1791)
カルロ・マトッチ (Carlo Matteucci 1811〜1868、ボローニャ、イタリア)
活動場所:ピサ
成果:シビレエイの頭部や体の様々な部位から発電器官へつながる感覚経路の発見(1836年)
:限界電流の大きさが直列に繋いだカエルの太ももの数に比例して増大することの発見
エミール・デュ・ボア=レイモン (Emil du Bois-Reymond 1818〜1896、ドイツ)
活動場所:ドイツ
成果:コイルによる検流計、神経刺激のための誘導刺激装置の作成(〜1848)
マトッチと限界電流中の変動が事実上興奮に必要な活動電流であるかどうかについて論争となった。
ヘルマン・ヘルムホルツ (Hermann Helmholtz 1821〜1894, ドイツ)
活動場所:ドイツ
成果:神経インパルスの伝導速度の測定(1848年)
ユリウス・ベルンシュタイン (Julius Bernstein 1839〜1914、 ドイツ)
活動場所:ハレ大学(ドイツ)
成果:正確な時間の電気連絡を作る装置である微分式分断機の考案
:神経損傷に対して発生する限界電流が局所反応であることの発見(1902年)
マイケル・フォスター (Michael Foster 1836〜1907、 イギリス)
活動場所;ケンブリッジ大学 (トリニティカレッジの生理学の初代特別講師ポスト、 初代生理学科学長)
弟子:ウォルター・ガスケル、ジョン・ニューポート・ラングリー、チャールズ・シェリントン
ジョン・ニューポート・ラングリー (John Newport Langley, 1852〜1925, イギリス)
活動場所:ケンブリッジ大学 (2代目生理学科学長)
弟子:キース・ルーカス、ヘンリー・デール
サンチャゴ・ラモン・イ・カハール (Santiago Ramon y Cajal, 1852〜1934、ナバーラ、 スペイン)
活動場所:スペイン
成果:ゴルジ染色による解剖学的知見を多く残し、ニューロン説を提唱
1906年ゴルジと共にノーベル生理学・医学賞を受賞
チャールズ・シェリントン (Charles Sherrington, 1857〜1952, イギリス)
活動場所:ケンブリッジ大学、オックスフォード大学(1913年〜)
成果:
弟子:ジョン・エクルズ
1932年にエドガー・エイドリアンとともにノーベル生理学・医学賞を受賞
キース・ルーカス (Keith Lucas 1879〜1916, イギリス)
活動場所:ケンブリッジ大学
成果:筋繊維の収縮が”全か無か”の性質をもつことを照明
弟子:エドガー・エイドリアン
アーチボルド・ヒル (Archibald Hill, 1886〜1977, イギリス)
活動場所:ケンブリッジ大学、マンチェスター大学(1920年〜)、ユニバーシティ・カレッジロンドン(1923年〜)
成果;筋肉中の熱発生の仕組みの解明
弟子:ベルナルド・カッツ
エドガー・エイドリアン (Edgar Adrian, 1889〜1977, イギリス)
活動場所:ケンブリッジ大学
成果:細胞内に電荷が存在していることを証明(1928年)
弟子:ブライアン・マシューズ、アラン・ホジキン、アンドリュー・ハクスリー
1932年にチャールズ・シェリントンとノーベル生理学・医学賞を受賞
オットー・レーヴィ (Otto Lowei, 1873〜1961、 ドイツ)
活動場所:ドイツ、オーストリア、アメリカ
成果:シナプスが化学物質を用いて情報を伝達していることの証明(のちにアセチルコリンであると判明)(1921年)
1936年にヘンリー・デールとノーベル生理学・医学賞を受賞
ヘンリー・デール (Henry Dale, 1875〜1968, イギリス)
活動場所:ケンブリッジ大学
成果:アセチルコリンの同定(1914年)
アセチルコリンが神経刺激により筋へ放出されることを発見(1934年)
弟子:ウルフ・スファンテ・フォン・オイラー
ジョセフ・エアランガー (Joseph Erlanger, 1874〜1965, アメリカ)
活動場所:ウィスコンシン大学、セントルイス・ワシントン大学
成果:興奮が心臓の心房から心室へ伝搬する仕組みを研究
弟子:ハーバート・ガッサー
1944年にガッサーとともにノーベル生理学・医学賞を受賞
ハーバート・ガッサー (Herbert Gasser, 1888〜1963, アメリカ)
活動場所;ロックフェラー医学研究所
成果:
1944年にガッサーとともにノーベル生理学・医学賞を受賞
ジョージ・ビショップ (George Bishop, 1889〜1973, アメリカ)
活動場所:セントルイス
成果:
ブライアン・マシューズ (Brian Matthews, 1906〜1986, イギリス)
活動場所:ケンブリッジ大学
成果:オシログラフの発明
ラファエル・ロレンテ・デ・ノ (Rafael Lorente de No, 1902〜1990, スペイン)
活動場所:アメリカ、ロックフェラー研究所
成果:カエルに関する詳細な研究
研究自体は徹底して素晴らしいものだったが、彼が唱えた説が間違っていたためなかなか評価されなかった。
ケネス・コール (Kenneth cole, 1900〜1984, アメリカ)
活動場所;アメリカ、ウッズホール海洋生物学実験所
成果:神経インパルしの通過時に膜のイオン透過性が大きく増加することを証明
ジョン・エクルズ (John Eccles, 1903〜1997, オーストラリア)
活動場所:メルボルン大学、オックスフォード大学、オタゴ大学、オーストラリア国立大学、ニューヨーク州立大学
成果:抑制性シナプス後電位の発見など
弟子:スティーヴン・クフラー
1963年にアラン・ホジキン、アンドリュー・ハクスリーとともにノーベル生理学・医学賞を受賞
ベルナルド・カッツ (Bernhard Katz, 1911〜2003, ドイツ)
活動場所:イギリス、オーストラリア、ユニバーシティ・カレッジロンドン
成果:神経末梢部における伝達物質の発見と研究
弟子:ベルト・ザクマン
1970年にジュリアス・アクセルロッド、ウルフ・スファンテ・フォン・オイラーとともにノーベル生理学・医学賞を受賞
スティーヴン・クフラー (Stephen Kuffler, 1913〜1980, ハンガリー)
活動場所:オーストラリア、アメリカ(ハーバード大学初代神経生物学学科長)
成果:神経筋接合部、シナプス前抑制、神経伝達物質としてのGABAに関する研究
弟子:デヴィッド・ヒューベル、トーステン・ウィーゼル
アラン・ホジキン (Alan Hodgkin, 1914〜1998, イギリス)
活動場所:ケンブリッジ大学(後にトリニティカレッジ学長)
成果:イカ巨大軸索におけるボルテージクランプによる神経活動の性質の解明
弟子:アンドリュー・ハクスリー、リチャード・ケインズ
1963年にジョン・エクルズ、アンドリュー・ハクスリーとともにノーベル生理学・医学賞を受賞
アンドリュー・ハクスリー (Andrew Huxley, 1917〜2012, イギリス)
活動場所:ケンブリッジ大学、ユニバーシティ・カレッジロンドン
成果:神経インパルスに活動電位として数学的な説明を与える一連の微分方程式の確立
:骨格筋収縮時のミオシン架橋を数学的に記述する方程式の考案など
1963年にジョン・エクルズ、アラン・ホジキンとともにノーベル生理学・医学賞を受賞
リチャード・ケインズ (Richard Keynes, 1919〜2010, イギリス)
活動場所:ケンブリッジ大学
成果:放射能を用いたイオンの追跡
デヴィッド・ヒューベル (David Hubel, 1926〜2013, カナダ)
活動場所:アメリカ
成果:ネコの視覚野に関する研究(1959年)
1981年にトーステン・ウィーゼルとともにノーベル生理学・医学賞を受賞
トーステン・ウィーゼル (Torsten Wissel, 1924〜、スウェーデン)
活動場所:アメリカ
成果:ネコの視覚野に関する研究(1959年)
1981年にデヴィッド・ヒューベルとともにノーベル生理学・医学賞を受賞
ベルト・ザクマン (Bert Sakmann, 1942〜、 ドイツ)
活動場所:マックスプランク、ユニバーシティ・カレッジロンドン、ゲッティンゲン
成果;細胞上の単一イオンチャネルの機能に関する研究とパッチクランプの発明
1991年にエルヴィン・ネーアーとともにノーベル生理学・医学賞を受賞
エルヴィン・ネーアー (Erwin Neher, 1944〜、 ドイツ)
活動場所:ゲッティンゲン
成果;細胞上の単一イオンチャネルの機能に関する研究とパッチクランプの発明
1991年にベルト・ザクマンとともにノーベル生理学・医学賞を受賞
ロデリック・マッキノン (Roderick MacKinnon, 1956〜、 アメリカ)
活動場所:アメリカ
成果:X線構造解析によるカリウムチャネルの3次元構造の決定
2003年にピーター・アグレとともにノーベル化学賞を受賞