半年前ほどに『ドロッセルマイヤーさんのさんぽ神アプリ』というアプリを渡辺さん(ドロッセルマイヤーズ)、朝戸さん(TANSAN)と共同で制作し、私が制作元としてリリースいたしました。
ありがたいことに多くの方に購入していただき、Apple Storeの有料アプリ総合部門で1位を獲得しました。
本記事では開発の経緯などを振り返ります。開発からリリースまでに関しては別記事にします。
乱文で申し訳ないですが、なにか参考になることがあれば幸いです。
なぜこの記事を書いたのか
- とある事情でさんぽ神のコードを振り返る機会があったのですが、散々苦労して書いたコードのロジックを忘れかけている部分があり、技術的な面の振り返りをしようと思った。せっかくなら技術面だけでなくプロジェクト全体の振り返りをして、記録を残しておきたかったので
- 自分はこれまで「仕事というのは求人として募集されているものに応募して獲得でき、そこで働くことでお金がもらえる」というのが当たり前の価値観だったので、今回のアプリ開発着手や販売までの経緯は自分の中でイレギュラーであり、珍しい経験だったので
開発までの経緯
『ドロッセルマイヤーさんのさんぽ神』を知ったきっかけ
その当時エンジニアになりたてで、1日中プログラミングのことしか考えておらず、唯一の趣味がさんぽでした。
さんぽは無料でできる最高の娯楽だと思っていますが、さすがに同じ街を歩き続けていると飽きがでてきてしまいます。
そんなにときにyoutubeである動画がおすすめにあがりました。
https://www.youtube.com/watch?v=G0XZvZqmj2I&t=290s&pp=ygUM44GV44KT44G956We
Vtuberの月ノ美兎さんが『ドロッセルマイヤーさんのさんぽ神』というアナログゲームを使って遊んでいる動画です。
『さんぽ神』は非常にシンプルなゲームです。どのように遊ぶかというと、さんぽの神様であるさんぽ神がランダムで「どこで?」「なにをする?」というおつげを出してくれるので、それに従ってさんぽをするゲームです。
例えば「おしゃれな街で」「かわいいものを探そう」というおつげが出たら、自分が思う「おしゃれな街」「かわいいもの」を探してさんぽをします。個人により解釈の幅がでるのが、このゲームのおもしろいところです。
その時に見た動画では「適当に30分あるいて」「食べたことがないものを食べよう」というおつげに従って、飲める温泉を買っていました。
「いつもとは違うさんぽができておもしろそう!」と感じました。(個人的にこのゲームはボケ防止とかにも役立つと思っています)
なぜアプリをつくろうと思ったのか
「さっそく自分も『さんぽ神』を買って散歩をしよう!」
そう思って購入用のサイトのurlを踏みました。しかし「商品は入荷中です」の文字。
どうやらその動画の影響か品切れになってしまい、一時的に購入ができない状態になっていました。
それでも気になったので、遊んでいる様子など見たいと思いいろいろとググって調べていました。
「さんぽ神」でgoogleの検索フォームに入力していると、検索候補に「さんぽ神 アプリ」となっているのが見えました。
「もしかしたらアプリがあるのか?」
と思ったのですが、いくら調べてもアプリはない様子。おそらく同じようにアプリが欲しいと思った人が検索したのではないかと思われます。
「アプリ早く出ないかな〜」「いつか出るのかな〜」と思ったのですが、
「ないなら自分で作ってしまえばいいのでは?エンジニアになったんだし」
と思い、自分はアプリをつくるほうに気持ちが向いていきました。
公式 or 非公式
当初本家の『さんぽ神』からおつげをパクって自分専用のアプリとして開発しようとしていました。
(ちなみに同じことを考えたであろう人がたぶんいて、発売直前にさんぽ神のパクリであろうアプリがリリースされていました)
ですがおつげを考えるのが結構大変で、どうしようかと考えている時に「いっそのこと公式で開発したらいいのでは?他の人にも遊んでもらえるだろうし」「お題のリストもタダでもらえるかもしれないし」
そこで制作元に連絡をしようということになりました。
ただ自分はただの新米エンジニアでなんの実績もなかったので、ダメ元でした。
つくり元に打診するも...
『さんぽ神』はドロッセルマイヤーズという会社が作っていることがわかりました。
連絡先がわからなかったので、オンラインshopのお問い合わせの部分から連絡をとりました。
返信の期待はしていませんでした。
しかしなんとありがたいことに翌日すぐ返信をいただけました。
メールの内容を見ると、どうやらアプリ化にはあまり前向きでないようでした。下記いただいた文面です。
実は以前から『さんぽ神』をはじめ、同シリーズのアプリ化についてはいくつかご提
案をいただいており、随時検討はおこなっております。
ただ、確かにこのシリーズは実装そのものはシンプルなのですが、逆にアナログゲー
ムならではの「物体」としての存在感によって商品性が成立している面も強いので、
アプリ版がかえってシリーズの足かせになってしまう可能性もあり、慎重になってい
ます。
また今後、アプリ化に踏み切ることになればご相談させていただくかもしれません
が、現時点では判断を保留させていただければ幸いです。
つまり「現時点で公式で出す方針はないよ」というご意向だったと思います。
でも全くダメという感じでもなかったですし、自分がアプリ版で遊びたかったので、テスト版だけでもつくらせてもらえないかとお願いしてみました
貴重なお時間を割いて、ご返信いただきありがとうございます。
シリーズに対する商品への敬意が感じられ、感銘を受けております。
渡辺様のおっしゃる通り、「物体」としての存在感がシリーズの魅力の一部であること、そしてそれが商品性を高めていることにとても共感いたします。
ただ、もしご一考いただけるのであれば、アプリ化を進める際の試作版の開発を許可していただけないでしょうか。
アプリが実際に商品の価値を補完するかどうか、または新たな魅力をもたらすかどうかを探ることができると考えています。
この試作品は全く公開せず、内部でのテストのみに使用するという形でも結構です。
御社のブランドイメージを維持しながら、新しい可能性を模索することができると考えております。
何卒、ご検討のほどよろしくお願い申し上げます。
今思うとめちゃくちゃ堅苦しい文章だなと思います笑
ですが一度やんわり断られているので、少しでも可能性があれば嬉しいという思いでした。
それに対して、
わかりました。
そこまで意欲的に考えてくださっているのであれば、あくまで検証用として内部テスト版の試作は了承いたします。
このお返事をいただきひとまずテスト版の作成の了承を得ました。
テスト版開発開始
はじめて渡辺さんとミーティングするまでに1週間ほど時間があったので、
その時間で『さんぽ神アプリ』のプロトタイプを作成しました。
ランダムでおつげが出るという機能だけを満たした簡単なものです。
ミーティングでは、アプリ化に関していろいろと懸念点を共有していただいたのですが、
それでも「アプリ版つくりたい!!」という気持ちは変わりませんでした。
またこちらからお出ししたプロトタイプに対して「こうしたらもっと遊びやすくなりそう」というフィードバックをいただくことができたので、とりあえずその改良版をお見せするという形で次回ミーティングのお時間をいただくことができました。
製品版開発開始
ここから数回やりとりを繰り返していくうちにアップデートされ、製品としてリリースするイメージができてきました。
最終的にライセンス契約をしまして私が制作元で販売するということで、製品版の開発を了承していただけました。
ここから『さんぽ神』のグラフィックデザインをしてくださっている朝戸さんも合流して、開発をすることになるのですが、
ReactNativeもFirebaseもはじめて触りましたし、アニメーションの実装やシェア機能の実装など、技術的にもいろいろと困難がありました。
開発編に続きます