こんにちは、アーキテクトのやまぱんです。
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今回は Azure VM Backup における 3-2-1ルール に ついて調べてみました。
モチベーション
Azure Backup (Azure VM バックアップ) って 3-2-1 ルールに準拠してるんだっけ?っていうお話が起こったので調べてみました。
3-2-1ルールって?
そもそもここでいう3-2-1ルールについての説明です。
3-2-1ルールとは、データのバックアップにおけるベストプラクティスの一つです。
簡単にいうとバックアップデータを保存する際に以下の点に考慮しましょうという点です。
ここであいまいなのが物理的に異なる場所です。
どれくらい離れていればいいのかが不明瞭ですが、火災、洪水、と考えると Azure の場合ゾーン冗長があればいいし、大規模地震と考えるとリージョン冗長があればOKと考えられます。
Azure の基礎知識
本題に入る前に基礎知識のおさらいです。
リージョンとゾーン
-
リージョン / Region
物理的に隔離されたデータセンターの集合体 -
ゾーン / Zone (可用性ゾーン / Availability Zones)
リージョン内の個々のデータセンターをさらに分割したもの (1つ以上のデータセンター)
各ゾーンは独自の電源、冷却、ネットワーク装置をもつ → 障害の発生時に他のゾーンに影響を与えないように設計される
参考) MS Learn - データの冗長性 - Azure Storage
https://learn.microsoft.com/ja-jp/azure/storage/common/storage-redundancy
(一部リージョンではゾーンがない、例えば西日本リージョンはゾーンがない(2024/05/現在))
冗長性
ここでは基本的な LRS/ZRS/GRS といった基本的な冗長性について取り扱います。
LRS:Locally Redundant Storage
・1つの データセンター内で3つのコピーを持つ
・イレブンナイン (99.999999999%)以上
・ハードウェア障害に対応
ZRS:Zone-Redundant Storage
・3つの異なるゾーンのDC内でそれぞれ1つのコピーを持つ
・トゥエルブ ナイン (99.9999999999%)以上
・ゾーン / DC 障害に対応
GRS (RA-GRS):Geo-Redundant Storage/ (Read-Access GRS)
・2つのリージョンでそれぞれ LRS 構成
・リージョン障害に対応
・シックスティーン ナイン (99.99999999999999%) 以上
Azure VM バックアップ のふたつのバックアップポリシー
- 基本的にはエンハンスドポリシーを利用するのがよい
新しいサービスへの対応は日に日にアップデートされている
Azure VM バックアップ のふたつの保存先
- Azure VM バックアップのシーケンス
① Azure VM バックアップはディスクのスナップショットを取得 (Take Snapshot):
デイスクのスナップショット領域にデータを保存 (スナップショット層)
② Recovery Services コンテナーへ転送 (Transfer data to vault):
ディスクのスナップショット領域に保存したデータをRecovery Services コンテナーに保存(コンテナー層)
スナップショット層 (Snapshot Tier) /運用レベル /
- バックアップ元の Azure VM (ディスク)のスナップショット領域
- インスタントリストアに用いられる(インスタント回復スナップショット)
- 保持期間はコンテナー層に比べて短め
- 冗長性は LRS(スタンダードポリシー) or ZRS(エンハンスドポリシー)
コンテナー層 (Vault Tier / Vault-standard)
- バックアップ専用のストレージ、単にコンテナー や Recovery Services コンテナー、vault とも呼ばれる
- Azure VM (ディスク) とは物理的に異なる場所(同じリージョン内)
- スナップショット層のデータがなくなった場合、コンテナー層からのリストア
- 冗長性はLRS/ZRS/GRS/RA-GRSなど 設定次第(対応状況はリージョンによる)
Azure VM Backup と 3-2-1ルール
やっと本題です!
3つのコピー
元のデータを含めて、データの3つのコピーを作成
- Azure VM Backup なら・・・スナップショット層、コンテナー層ともに 最低 LRS の冗長性 があるのでそれぞれで満たす
2種類のメディア
データのコピーを少なくとも2種類の物理的に異なるメディアに保存(内蔵HDDと外付けHDD、クラウドストレージなど)
- Azure VM Backup なら・・・①スナップショット層、コンテナー層の2種類の異なるメディアに保存されるので満たす(エンハンスドポリシーの場合は1日1回のみのバックアップがコンテナー層に転送されます)
- Azure VM Backup なら・・・②スナップショット層、コンテナー層のそれぞれの冗長性は最低 LRS の冗長性があるのでそれぞれで満たす。
1つは地理的に異なる場所(オフサイト)に保管する
少なくとも1つのコピーを地理的に異なる場所(オフサイト)に保管
- Azure VM Backup なら・・・スナップショット層またはコンテナー層のそれぞれの冗長性が ZRS や GRS以上であればゾーンレベルまたはリージョンレベルの地理的に異なる場所にデータを保存されるのでそれぞれで満たす(LRSはハードウェア障害にしか対処できないのでNG)
まとめ
結論、冗長性が ZRS 以上であれば、スナップショット層、コンテナー層それぞれで 3-2-1 ルールを満たすと考えられます。
つまり、Azure VM バックアップ以外のコンテナー層に Azure Backup であれば、Recovery Services コンテナーの冗長性が ZRS 以上であれば、Recovery Services コンテナーのデータで 3 - 2 - 1 ルール を満たすと考えられます。
- コンテナーにデータを持つものは以下の公式ブログをご確認ください。
参考) MS Learn - Recovery Services コンテナーとバックアップ コンテナーについて
https://jpabrs-scem.github.io/blog/AzureBackupGeneral/RSV_BV/
よだん
ランサムウェアはマルウェアのようなものではなくて、VPN装置とかRDP経由の脆弱性などついた侵入が大半らしいです。
ref: .NETラボ 勉強会 2024年7月 で お聞きしました
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謝辞
この記事を作成するにあたり、親愛なる同僚・仲間にアドバイスをいただきました、感謝します。