経験0知識0の非エンジニアがフリーランスになるまで(前)
経験0知識0の非エンジニアがフリーランスになるまで(後)
これまでのまとめ
僕自身が経験したエンジニアとしての仕事に関してまとめます。これから目指す人の参考になればと思います。
###客先常駐SE(SIer)について
僕の場合、エンジニアとしてのファーストキャリアに客先常駐型を選択しました。明確に客先常駐をしたかったというわけではなく、単純に未経験で受け入れてくれる企業にweb系や社内SEなどが極めて少なかったから、です。
当時の自分にとってはキャリアのステップアップのためというのがあったのであまりこだわりを持っていなかったというのが正直なところです。ただこれからエンジニアを目指す人にとってはこの選択はあまりお勧めしません。
####その理由
・ファーストキャリアの場合スキル不足であることが多いが、教育環境がほぼない。自社の先輩社員に付けられた場合は色々助けてもらえるかもしれませんが、その先輩も含めて客先の都合でどうなるかわからない。(元請けや二次請けだと少しマシ)
・受け持つ工程が限定的になりがちでスキルアップが見込めない。もしくはスキルアップに必要以上に時間を要する。
・裁量がない
・採用技術が陳腐(現場にもよりますが僕の場合はほぼ全てでした)
細かく挙げれば色々とありますが、ガチャ要素が強い業界です。
一方で自ら客先常駐を選択している人ももちろんいます。例えば、スキルが一定レベル以上で顧客からの信頼も厚く、単価にも満足している。そういった人にとっては上記を上回るメリットはあるのではないかと思います。客先常駐でのキャリアアップを目指したいのであればデメリットを承知の上でSIerなどを選択するのはアリかと思います。ただそれでも自分が何次請で現場に入るのかは気にした方がいいです。5次請けでいくら頑張っても5次請けなので。
### Web系制作会社について
最近では未経験者の応募も可能な企業が増えてきた印象があり、web系エンジニアとしてのファーストキャリアとしてはいいと思います。
####その理由
・要件定義からリリースまでを一貫して経験できることが多い
・採用技術に対する裁量が与えられやすい
・自立したスキルが求められるので自ずと成長を体感できる
ただ、常に納期との戦いではあるので、プレッシャーはそこそこあると思います。自分のスキル次第です。裏を返せば短期間で実務で通用するスキルが身につきやすいのではないでしょうか。
またディレクターや営業とコミュニケーションを取ることも多いので、フリーランスになるにあたってよい経験が積めると思います。
### 社内SEについて
未経験での募集はあまり無いようです。あればラッキーです。なぜ少ないのか。事業会社でのSEはその仕事内容自体が収益となりづらいので、教育をするよりも即戦力を欲しがるからでは無いでしょうか。時々社内SEの活動が派生して企業の収益の柱になることもあるようですが、珍しいケースでしょう。
社内SEを目指すのであれば、何かしらのエンジニアとしての業務経験があると良いと思います。また、採用にあたって見られるポイントもスキルに加えコミュニケーションや事業、理念への共感といったマインド面も重視されることもあります。
これからエンジニアを目指すには
僕はエンジニアになる前に数ヶ月独学でプログラミングを勉強しました。もし学生であればそれでも良かったかもしれませんが、社会人の場合は一人で本と向かって黙々と練習をするより、何か一つサイト制作でもアプリでも良いので他人に見せられる成果物を決めてそれを作った方がいいです。
####その理由
・モチベーションを保てる
・採用担当者がスキルを判断しやすいので好印象
・転職前に自分の適性がある程度判断できる
・githubなどで公開することで第三者のレビューがもらえる(可能性がある)
これからフリーランスエンジニアを目指すには
僕の場合、エンジニアとして3つの会社で勤めた後フリーランスになることになりました。最近ではネットやプログラミングスクールでのコンテンツが豊富で、業界未経験からフリーランスを目指す人が増えてきたように思います。確かに時間と場所に縛られない働き方ができるフリーランスというのは魅力的に見えるし、僕自身それが実現できることにはとても良いことだと思います。実務未経験でもフリーランスにはなれる時代です。
ただ、それでも未経験からフリーランスを目指すことはお勧めしません。一度は会社勤めをした方が将来的には良いです。
なぜなら会社員の場合、
・企業側の立場に立てる
・雇用が担保されるのでスキルアップのためにチャレンジしやすい
・教育環境が整っている
・会社の経費で勉強できる(資格が取れる)
・チームでのシステム開発を経験できる
・多少の失敗では簡単にはクビにならない
・システムライフサイクルを一貫して経験できる
・システム開発以外にも業務知識を身に付けられる
・非エンジニアとも繋がりができる
良いところだけ挙げるのもアレなので、会社員という立場のデメリットも。
・定年がある
・給与が上がりづらい
・システム開発以外の業務も発生する
・異動がある
・社内でお立場や役割が会社の業績に左右されやすい
・非エンジニアからは何でも機械に詳しいと思われる
・人の寿命より企業の寿命の方が短い
など。
ただ、メリットからデメリットを差し引いても会社員を経験しておくことはフリーランスになるあたって必ず役に立ちます。少なくとも3~5年は勤めた方がいいと思います。
未経験からいきなりフリーランスとして働く場合、スキルは限定的である場合が多いと思います。初めはお金を稼ぐことに意識が集中してしまい、確実に出来る案件しか取らないようになりがちです。
フリーランスは自分自身でスキルを伸ばしていかなければなりません。その時過去の経験や知識がある程度ストックされていると、自分の守備範囲を広げるためのリスクや学習コストは格段に下げられます。
そしてその経験や知識は会社員である方が圧倒的に習得しやすいと思います。そこを飛ばしてしまうとフリーランスになれたとしても、スキルが伸び悩んだり低単価で理想とのギャップに苦しむことになるかもしれません。
簡単にフリーランスになれるということはスキル自体汎用的で、そのままでは個人として差別化が難しくなるでしょう。当然ながらバックグラウンドが豊富であれば豊富であるほど市場での希少価値が上がります。それはフリーランスにとっての自分自身の価値に直結します。差別化要因を持たずして戦おうとすると最終的には価格競争となります。価格競争は必ず疲弊します。
上記に当てはまらないケースもあります。圧倒的な人脈に恵まれている場合、未経験からでも案件には困らないケースもあります。が、あくまで例外です。
お小遣い稼ぎの副業、若しくは短期間をフリーランスでつなぎたい場合は、案件さえ獲得できればその時からフリーランスなのですぐにやればいいと思います。
自分が何故フリーランスになりたいのか、よく考えてから決めてください。「そんなの分かんないけどとりあえずやりたいんだよ」と思う方もいるかもしれません。その場合はとりあえずフリーランスになってその後ダメなら会社員になる線もありかもしれません。ただその転職も現状の不満を解消するための焦った転職になりやすいので十分気をつけてください。
最後に
色々と長々と書きましたが、僕自身これからの時代でフリーランス(特にリモートワーク)はIT人材不足を助ける重要な要素になると思っています。人材の流動性が企業におけるプロジェクトの停滞を解消する助けになると思っています。ただ、国内ではまだまだエンジニアに対する評価が諸外国と比べて高いとはいえな状況ではあると思います。
そんな状況をスキルと志のあるフリーランス達の手で打開していきたい。野球選手やサッカー選手のように若い人たちが憧れるような職業とすること。それこそが日本のIT産業を盛り上げ、日本初のイノベーションを生み出す源泉となると強く思っています。