昨日のAWS Summit NYC 2025のキーノート見てて、「これは大きな転換点になるな」って感じたので、整理してシェアしたいと思います。
正直、今までAIエージェントって「デモでは動くけど本番環境では...」みたいなケースが多かったじゃないですか。でも、Amazon Bedrock AgentCoreの発表を見て、ついに実用レベルに到達したなと。
なんでそう思ったのか、順番に説明していきますね。
🤖 Amazon Bedrock AgentCore:AIエージェント実用化の決定版
1. なぜ今までAIエージェントは「デモ止まり」だったのか? 😅
1.1 プロトタイプは簡単、でも本番は困難の連続
これ、経験ある方も多いと思うんですけど...
開発者の声: 「ローカル環境では完璧に動作するのに...」
セキュリティ担当: 「このエージェント、他のユーザーのデータにアクセスできちゃう可能性はない?」
インフラ担当: 「1人なら動作するけど、1000人同時アクセスになるとシステムが耐えられないかも」
ビジネス側: 「昨日の会話内容を覚えてないの?それじゃ実用的じゃない...」
こんな感じで、PoCフェーズで止まってしまうAIエージェントが本当に多かったんですよね。
1.2 従来ソフトと根本的に違う「エージェントの難しさ」
そもそも、AIエージェントって従来のソフトウェアとは根本的に違うんです。
従来のプログラム:
A → B → C(決められた手順を順番に実行)
AIエージェント:
「フライト予約して」という目標だけ与える
↓
エージェントが自律的に判断して...
↓
検索 → 比較 → 予約 → 確認メール送信(全部自動で実行)
つまり、動作が動的で予測が難しい。これをセキュアに、スケーラブルに動かすって、相当な技術的チャレンジなんです。
2. AgentCoreが提供する「7つの魔法のツール」 ✨
で、AWSが出してきたAgentCoreがすごいのは、この難しい問題を7つのコンポーネントで包括的に解決しちゃったこと。
2.1 Runtime(実行環境)- 業界最強スペック
まず実行環境から。これがもう、今までとは次元が違います。
- 最長8時間連続実行(競合は15分程度)
- 完全セッション分離(Aさんのデータは絶対にBさんには見えない)
- 0→1000人を数秒でスケール(サーバー管理不要)
- 途中で問題が発生しても自動復旧
8時間っていうのは、人間の1日の労働時間とほぼ同じ。つまり、朝から晩まで継続的に作業できるエージェントが作れるってことなんです。
2.2 Memory(記憶)- 人間の脳のような記憶システム
これ、本当によく考えられてるなと思いました。
短期記憶:
「今朝はトーストを食べた」みたいな詳細な情報
長期記憶:
「朝食はパン派」みたいな要約された情報
で、すごいのは、自動で短期記憶から長期記憶へ変換してくれること。開発者は記憶管理について何も考えなくていいんです。
さらに、複数エージェント間で記憶を共有できるから、営業エージェントが聞いた情報をサポートエージェントも把握してる、みたいな連携が可能になります。
2.3 Identity(認証)- エージェントの身分証明書
セキュリティ面も徹底的に考えられてます。
- 各エージェントに固有ID発行(なりすまし防止)
- GitHub、Salesforce、Slackなど主要サービスと簡単連携
- 「このエージェントは顧客データを読めるけど削除権限はない」みたいな細かい制御
- Okta、Microsoft Entra IDとも統合済み
これで「権限管理どうしよう...」って悩む必要がなくなりました。
2.4 Browser(ブラウザ)- Web操作の自動化
個人的に一番インパクトがあったのがこれです。
- 人間と同じようにWebサイトを操作
- フォーム入力、ボタンクリック、スクロールなど全ての操作が可能
- VM分離による高度なセキュリティ(悪意のあるサイトでも安全)
- どのAIモデルでも利用可能(特定のプロバイダーに依存しない)
後で紹介するNova Actと組み合わせると、本当に人間の作業を大幅に効率化できます。
2.5 Code Interpreter(コード実行)- 高度な計算処理
データ分析や複雑な計算が必要な時はこれが活躍します。
例:「去年の売上データを分析して」
→ CSVファイル読み込み
→ Pythonで分析実行
→ グラフを自動生成
サンドボックス環境で実行されるから、システムに影響を与える心配もありません。
2.6 Gateway(ゲートウェイ)- API変換器
既存システムとの連携が驚くほど簡単になります。
従来の方法:
response = api.get('/inventory/check', params={'sku': '12345'})
AgentCore利用後:
「在庫を確認して」
Salesforce、JIRA、Zendesk等がワンクリックで連携可能。「顧客情報」って検索したら関連APIが全部出てくるセマンティック検索も便利です。
2.7 Observability(監視)- エージェントの行動ログ
本番運用には絶対に必要な機能ですよね。
- 「なぜその判断をしたか」が全て可視化される
- リアルタイムダッシュボード(エラー率、応答時間など)
- CloudWatch連携で既存の監視体制に組み込み可能
- コンプライアンス対応(監査証跡を完備)
「AIが予期しない動作をした」みたいな心配がなくなります。
3. 同時発表された革命的な新機能たち 💥
AgentCoreだけでもすごいのに、他にもインパクトのある発表が続きました。
3.1 S3 Vectors - AIの記憶装置が90%安くなった!
これ、地味に見えてめちゃくちゃインパクトあるんです。
従来: 1TBのベクトルデータ保存 = 月100万円
S3 Vectors: 同じデータ = 月10万円(90%削減!)
なんでこれが重要かというと、AIは大量のベクトルデータ(記憶)があればあるほど賢くなるから。
- 検索速度:1秒以下(10億件から検索しても)
- 活用例:過去10年分の顧客対応履歴を全て記憶
つまり、「お客様、3年前にも同じようなご質問をいただいてましたね」みたいな、きめ細かな対応ができるようになるんです。
3.2 Nova Act - Webサイト操作の達人AI
これが本当にすごくて、成功率90%以上。もう人間と同等レベルです。
実例がインパクト大:
- 食料支援申請(数百項目の質問)を完全自動化
- 各州で異なるWebサイトでも柔軟に対応
- サイトのレイアウトが変更されても自動で適応
「このサイトで最安値の商品を探して購入手続きまで進めて」みたいなタスクも可能に。
3.3 カスタマイズ可能になったNova
汎用AIを自社専門のAIに育成できるようになりました。
- 自社データで追加学習(業界特有の用語も完璧に理解)
- 5つの学習方法から選択可能
- MIT研究事例:材料予測エラーを95%削減
- 数千のサンプルで専門家レベルに成長
つまり、「うちの会社専用のAI専門家」が作れるってことです。
4. 実際の導入事例と成果 📊
「で、実際どうなの?」って思いますよね。具体的な事例を見てみましょう。
4.1 Intuit(会計ソフト)- 4つのエージェントが協力
これ、本当に参考になる事例です。
4つのエージェントが連携して業務を自動化:
-
顧客獲得エージェント
- 見込み客を自動評価
- 見積もりを自動作成
-
財務エージェント
- キャッシュフロー分析
- 「現在13%ですが、融資を受けることで20%に改善できます」と提案
- 承認されたら即座に手続き
-
支払エージェント
- 請求書を自動作成
- 支払い回収が平均5日短縮
-
会計エージェント
- 取引を自動仕訳(精度99%)
結果: 中小企業オーナーの作業時間を70%削減
これ、本当にすごいことで、人間だったら部署間の調整だけで何日もかかるようなことを、エージェント同士が自動で連携して処理してくれるんです。
4.2 Thomson Reuters - レガシーシステムからの脱却成功例
20年モノのシステムと格闘している企業、多いと思うんですけど...
課題:
- 20年前の.NETコード(150万行)
- 保守だけで手一杯
- 新機能開発の余裕なし
AWS Transform利用した結果:
- 移行速度が4倍に向上
- Windows→Linux移行でコスト30%削減
- 開発者の保守作業を80%削減
- 並行して7プロジェクトを実施中
「数年かかる」と言われていたプロジェクトが90日で完了した例もあるそうです。
4.3 その他の成功事例
数字で見ると説得力がありますね:
- CSL Behring: 移行計画作成が10倍高速化
- ペガシステムズ: 数年かかる予定が90日でメインフレーム移行完了
- 全体実績: 128百万行のコードを分析済み(5月以降)
5. なぜ今すぐ始めるべきか?AWSの本気度 💪
AWSの投資額を見ると、どれだけ本気かが分かります。
5.1 大規模投資と支援体制
- Gen AI Innovation Center: 追加1億ドル投資(合計2億ドル)
- 専門家チームによる無料相談→本番化支援
- 270万人への教育プログラム開始
- AWS AI League:ゲーム感覚で学習できる(賞金もあり)
2億ドルって、日本円で約300億円。それだけの規模で本気で取り組んでいるということです。
5.2 AWS Marketplaceでエージェント売買可能に
これでエコシステムが形成されます。
- 作成したエージェントを販売可能
- 他社の優秀なエージェントを購入して即利用
- Anthropic、Salesforce等の大手も参加
- API経由で簡単に統合
つまり、全部自分で作る必要がなくなったんです。
5.3 開発ツールも充実
開発者にとって嬉しいツールが揃ってます:
- Kiro: 新しいAI専用IDE(仕様書からコードを全自動生成)
- Q Developer: 既存IDEと統合(25言語対応)
- Strands Agents SDK: オープンソースフレームワーク
- MCP/A2A: 標準プロトコル対応
6. 今すぐできる第一歩 🏃
6.1 まず試すべきこと
- AgentCoreの無料トライアルを申請
- Nova Actでブラウザ自動化を体験
- AWS AI Leagueに参加(学習しながら賞金も狙える)
- 小さな社内業務から自動化を開始
6.2 Swami氏(AWS VP)からのアドバイス
キーノートでSwami氏が強調していたポイント:
「完璧を待つな、今すぐ始めろ」
「具体的な1つの問題から着手」
「失敗を恐れず、学習サイクルを回せ」
「成功企業は計画より実行が早い」
これ、本当にその通りだなと思います。
🎯 結論
AIエージェントは「面白い実験」から「必須のビジネスツール」へと進化しました。AgentCoreによって、誰でも本番レベルのエージェントを作れる時代が来たんです。
概念自体が新しいものが多いので、最初は戸惑うかもしれません。でも、これは間違いなく大きなチャンスです。
一緒に勉強しながら、この新しい時代を楽しんでいきましょうか〜🎵