#はじめに
誰も望んでいないのに、なぜプロジェクトは失敗するのか?
ITエンジニアだけでなく人類共通の謎です。
そんなフツフツとした思いを抱きながら、
有名な風刺画**「顧客が本当に必要だったもの」**をまとめてみました。
この風刺画は何度かブームになっているので、最新(?)の改訂版で考えてみます。
BtoBが前提の風刺画ですが、
顧客を一般カスタマー、ユーザーに置き換えればBtoCにも十分当てはまる内容です。
うむ、それどころかシステム開発だけでなく、
必要なものをヒアリングし、考え抜き、計画を立てて複数の人材が協力して成功へ突き進む
すべてのプロジェクトに当てはまる奥の深い風刺画なのです!!
引用元
How Projects Really Work
参考ページ
ニコ動「顧客が本当に必要だったもの」
##全体
最初に全体を俯瞰しましょう。
顧客が説明した要件 | 営業の表現、約束 | プロジェクトリーダの理解 | アナリストの設計 | プログラマの実装 | ベータ版テスターの受難 |
プロジェクトの書類 | 顧客への請求金額 | リリース時期 | 広告 | 実際の運用 | 得られたサポート |
障害対策 | 実際の性能 | オープンソースの場合 | パッチの適用後 | 顧客が本当に必要だったもの | SNSの影響 |
##顧客が説明した要件
お客さん自身、何が欲しいか分かってないYO!
も・し・く・は
本当に欲しいものはシンプルなのに、余計な見栄や、的はずれなアドバイスのせいで、
いつの間にか自分でもよく分からないものを説明してしまっている。
怖いのは、
お客さんが「正確に伝わった!」と信じちゃてるけど、何も伝わっていない。
本人も何を伝えたのか分かっていない、さらに、振り返りもしない場合。
明確でないので、状況が変わったりちょっとした後知恵で、オーダーが三転、四転と変わってしまう。。
自ら本当に欲しているものがわからないならば、相談して引き出してもらうことが必要なのかもしれない。
何が欲しいのかはハッキリさせないと、そもそもプロジェクトのゴールが定まらないっす。
豪華に見える不要なものをなるべく多く、くっつけるゼ!
お客には必要のないものを売りつけ、ユーザーには不要の機能を提供してしまう。
そして身内のはずの、プログラマーには、サルでも利用しない本質でない機能のために、大量の工数を使って残業させる。。
優秀で善良な営業さんは強力な牽引力になるけど、
売上しか見えていない無責任な営業は、周りに不幸を撒き散らすキングボンビーのような存在です。
##プロジェクトリーダの理解
とにかく、オーダーされたものを形にするYO!
枝1本だと重さを支えられないと考えてロープを2本の枝に分散させたらしい。
ブランコなのに揺らせないw
体裁は整っているけど機能していない。
##アナリストの設計
プロジェクトリーダーの構想から
ごちゃごちゃ考えすぎた結果がコレ。。
- 幹が邪魔で、ブランコが揺れないので幹を切断しよう
- 幹が無くなった木を支えるために両端に支えを設置しよう。
ミクロレベルで問題解決はしたけど、
全体でみると、現代アートか、ガラクタか・・
顧客にも、実際に使うユーザーにも考えが及んでおらず
ブランコ揺れるけど、そもそも人が乗れない。。
というより、これをブランコと呼んでいいのか?
そもそも上からちゃんと、内容が伝えられていないw?
とりあえず、設置するロープで枝を折るのは避けたいので丈夫な幹に縛り付けた様子。
お客には頑張りましたと言い訳できる状態になっているのかもしれないが、
そもそも何が目的の物体なのかさっぱりわからない。
1番怖いよ!
((((;゚Д゚))))
そして、よくあることなので笑えない。
怠慢というより、
三転四転と仕様が変更になったり、
戦い疲れたIT戦士たちが入れ替わり立ち替わりなため書類に残せない。
もしくは書類を作成する時間すら与えられていない可能性もある。
引き継ぎもリソース追加もかなり手間取ります。。。
そして、戦い疲れたIT戦士が入れ替わっていき、、負のスパイラルは続いていく
ブランコ作っただけなのに、ジェットコースターの建造費用を請求する。
なんて割高な!
##リリース時期
青々と茂っていたのに、完全に冬になってしまいました。
寒いので、誰も屋外でブランコをやりたがらない。
リリース時期を逃して、もう誰も求めていなくなるってことですかね。
世の中のニーズが過ぎてしまっているってことでしょうか。
イメージ&ブランド先行し過ぎて、本質が何も伝わってきません。
カッコいいーのは分かったけど、
で、
結局、何が言いたいの?
板も無いし、ロープも1本w
かろうじてターザンスタイルでぶら下がることはできます。
何をするものかも分からないし
ぶらぶら揺れるには不親切。。
リソースは大量に割いたけど、ほとんど活かされることがなかったようです。
木ごと切り倒されてますね。。
サポートの打ち切りってことでしょうか??
そして、対策してるはずなのに、
地面に板がついてて、ブランコ揺れないよ!
(サービスまともに稼働していないよ)
##実際の性能
なんか、トンチっぽくなってきましたw
一休さんの出番ですかね。。
実際は、やりたいことが何もできていない。
さらに、間違った使い方ができてしまう。
ひょっとしたら、
ハッキングを受けて、機能不全になっているのかもしれません。
そんな状況でも、
蝶々がパタパタと飛ぶように、のほほんと現実を直視していないってことでしょうか?
##オープンソースの場合
無料だし、愛が溢れています。
お尻が痛くないようにクッションまで。
いたれりつくせりで、スゴイ!
##パッチの適用後
パッチを当てまくったために、それぞれの残骸がいびつな形でメタモルフォーゼ!!
整理されずにカオスなものが出来上がってます。
一部の機能を改善しようとすると、
システム全体にどんな影響を及ぼすか、もはや誰にもわからないため、
アンタッチャブルになっています。
##顧客が本当に必要だったもの
本当のゴールはこれです
「顧客が本当に必要だったもの」です。
素朴でいいじゃないですかヽ(`▽´)/
お客は、素直にコレを相談し
営業やプロジェクトリーダーは湾曲せずに真摯に受け止める。
それだけで、よかったのかもしれません。
そりゃそうでしょ、今までの運用や、サポートなどを見ていれば。。
ただ、ちゃんと板とロープは外してあります。。再リリースしやすくでしょうか
#おわりに
読みながら、記憶がフラッシュバックして目頭が熱くなったのではないでしょうか?
(いや、熱いものが頬を流れたに違いない)
考えれば考えるほど奥が深いです。。
プロジェクトがうまくいかない時に、
この「ブランコの木」風刺画を立ち返ってみれば、何らかの答えが見つかるかもしれません。
必ずしも答えが見つかる事と、問題が解決する事は違いますが、
客観的な尺度を持つことは現状の把握に役に立つのではないかと思います。
それでは、皆様の現在進行中のプロジェクトが無事に着地することをお祈りしております。
お読み頂きありがとうございます。