リモートワークの影響もあってか、テキストによるコミュニケーションの頻度が増え、重要性が増してきました。毎日、かなりのメッセージを作成し、読んでいます。
自分は国語の先生でも研究者でもなく、正しい日本語ができているか怪しいときがあります。いわゆる、「てにをは」が適当ではなそうなメッセージを送ってしまうこともあります。
ただ、日本語的な正しさや美しさはあまり求められず、要件が伝わるかに重きを置いたテキストコミュニケーションが求められています。本稿では、拙いかもしれないけど、どうにか伝えられるように試行錯誤した内容をまとめました。
工夫①【メッセージを書く前に要件を整理する】
メッセージを書く前に要件を整理します。書いていると、本来の目的を忘れてしまって、あやふやな文章ややり取りになってしまうので、書く前に要件を整理します。まず、メッセージの目的が「情報共有」なのか、「質問」なのか、「依頼」なのか、 を明確にします。
これによって、相手がメッセージを受け取った後のアクションが決まります。メッセージを投げる方はこの「相手にどうアクションしてもらうか」をイメージします。 そのうえで、どんな伝え方がよいか、どんな言葉を使うか考えます。
「質問」「依頼」は、メッセージ内容が明確になりやすいですが、「情報共有」はメッセージの意図が読み取りづらいことがあります。相手からすると、「で、何をしろというの?」と思われる可能性も多々あります。なので、情報共有を目的としてるときは、「念のため共有でした!」みたいな言葉を付け加えています。
また、伝え方のテクニックとして、「ご確認よろしくお願いいたします。」はなるべく使わないようにしています。この言葉を使うと、メッセージが「情報共有」なのか、「チェック依頼」なのか曖昧になってしまうためです。
工夫②【1つに限定できるように書く】
「○○設計書で、記載が間違っていそうな箇所があるのですが、どうしたらいいですか?」みたいな聞き方だと、受け取った側は困ってしまいます。「記載が間違っていそうな箇所」が具体的にどこを指しているかわからず、判断ができないからです。別の表現をすると、仕様書のどの箇所か1点に限定できておらず、共有の認識を持てないから、メッセージを受け取った側は判断できず、困ってしまいます。
だから、書き手は、解釈がぶれないように、1点に情報を限定するように書くことが必要だと思います。1つに限定してメッセージを書けると、受け手は探す手間、行間を読み取る手間がなくなって、スムーズなやり取りができるようになります。
解釈の候補が複数あったり、前提情報があいまいなまま相手に伝わると、相手は答える前にヒアリングから始めなくてはなりません。「どの箇所のこと言ってますか?」とか。だから、設計書に関する質問であれば、「○○設計書 □□シート、2-2、△行目の「~~~」について質問です。」みたいに情報を1つに限定して伝えると、ヒアリングの手間が省けるわけです。
また、1つに限定した書き方をするテクニックとして、該当箇所をスクリーンショットして赤線を引いた上で、メッセージに添付すると一目瞭然です。細かいですが、資料の格納先やパス、ファイル名までキッチリ書く(または、URLをつける)とよりよいですね。
工夫③【1つのメッセージで必要な情報を完結させる】
相手は自分のタスクについて詳細を知っているわけではありません。だから、こちらからの質問を簡潔に書いたとしても、意図や背景が正しく伝わっていないと、欲しい情報が手に入らないかもしれません。
質問や依頼をチャットで行う時は、最初の質問文/依頼文の中で、必要な情報をすべて出し切るように書いています。 条件や制約を後出しするのはフェアではない気がするからです。チャットのやり取りを通して、少し情報を小出しにする必要もなく、最初から条件がわかっていた方が答えやすいです。
ケースバイケースですが、「必要な情報」とは、依頼のチャットであれば、以下のような情報です。
・依頼内容(画面や設計書など対象と、どうしてほしいかなど)
・依頼の背景/意図
・期限
さらに、関連チケットや資料、提出先、補足情報など必要であれば追加して記載します。もし、制約があるのであれば、真っ先に記載する方が親切です。また、依頼をするのであれば、優先度や温度感なども考慮して、期限を先に伝えておきたいですね。
工夫④【視覚的に読みやすい形に整える】
意外と大事なのが、メッセージの見た目を整えることです。 チャットは、ぱっと読める、伝わることも大事な要素だと思います。相手の時間を必要以上に奪わない工夫です。
具体的に、チャットの見た目を整えるには、以下のようなことを気を付けています。
・改行、行間をいれる
・2つ以上要素があるなら、箇条書きを使う
・■など記号を文頭に入れて、視線をコントロールする
・TOやCCを毎回指定する。使い分ける
・チャット独自機能を使う
文章は長くなると読みづらいので、一文は短くします。また、段落など意味のまとまりで空行をいれるだけで、だいぶ読みやすくなります。
個人的には、メッセージが長くなったとしても、空行を入れたり箇条書きを使って見た目を整えたい派です。チャットの内容が構造化されるので、どこに何が書いてあるか予測ができ、読みやすくなると思うからです。読むことに時間をかけたくないので、ぱっとわかることを優先してチャットを書いています。
さらに、地味に気を付けていることは「指示代名詞」を使わないことです。指示代名詞とは、「それ」「あれ」など特定の何かを指し示す言葉です。チャットで指示代名詞を使うと、何を指しているのか探す必要があったり、そもそも読み飛ばされてしまう可能性があります。だから、最初から指示代名詞は書かず、示したい特定のもの/ことを書くようにしています。
工夫⑤【早く返す/リアクションをつける】
文章を書く以外で気を付けていることは、「スピード感」と「見たアピール」です。「スピード感」とは、素早く返信をしたり、依頼されたタスクに早く着手することです。チャットはいつ返してもよいと思います。しかし、仕事なので基本的には要件があって、返事の後に次のタスクがあるわけです。相手の作業を止めないためにも、素早く返したいですね。
タスクを依頼されると、タスクが増えます。当然ですが。タスクを多く抱えると、抜け漏れがあったり、精度が落ちてしまいます。ので、タスクは素早く対応して、誰かにボールを投げて、手元はスッキリさせておきたいです。
また、「見たアピール」とは、リアクションをつけることです。多くのビジネスチャットツールでは、リアクションやスタンプなどの機能がついています。チャットが届いたら、素早くリアクションをつけて「このメッセージみてます!」とアピールしておくと、相手に「届いている」ことが伝えられます。
毎日たくさんチャットをするので、流れて行ってしまって気づけないこともあります。見ていない、気づけないこともあって、情報が伝わっていないこともあります。だから、「受け取った」アピールだけで、コミュニケーションが円滑になることもあります。
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チャットでのやり取りが慣れない頃は、相手にたくさんヒアリングされてました。結論にたどり着くまでが長く相手の時間をたくさん奪っていることを反省してました。いきなり上手にはならないですが、できそうなことを少しずつ考えて、試してきました。もし参考にできそうと思っていただけたら、嬉しいです。
最後まで読んでいただいた方、ありがとうございました。