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公式「ハーフモーダル」がやってきた! #wwdc21

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iOS 15からハーフモーダルっぽい表示が標準APIを使ってできるようになりました。この記事ではその「ハーフモーダル」について紹介しているCustomize and resize sheets in UIKitという動画を紹介してみます。

概要

従来の場合

今までモーダルは全画面表示でした(スクショは.pageSheetの場合)。

iOS 15 〜

iOS 15では「medium」モードにすると画面の半分だけを覆うシートが作成できるようになりました。

スクリーンショット 2021-06-28 18.55.24.png

landscapeやiPadのときの表示はこのようになります。

スクリーンショット 2021-06-28 9.27.33.png
スクリーンショット 2021-06-28 9.27.53.png
スクリーンショット 2021-06-28 9.27.00.png

detentsとは

まず最初にdetentsというものを理解する必要があります。detentsとはシートが自然に止まる高さのことを表し、.medium().large()が用意されています。

スクリーンショット 2021-06-28 11.25.32.png
スクリーンショット 2021-06-28 11.25.47.png

コードで書くとこんなかんじです。この指定により、シートの覆い具合を調整することができます。まずviewControllersheetPresentationControllerを取得します。このシートに対しdetentsを設定してあげると、サイズの指定ができます。デフォルトでは.large()のみが設定された状態だと解釈されます。設定とその結果の対応は以下の通りです。

  • .large()のみ
    • フルサイズのシートが表示される(リサイズ不可)
  • .medium().large()の両方
    • mediumとlargeでリサイズ可能なシートが表示される
  • .medium()のみ
    • ハーフサイズのシートが表示される(リサイズ不可)

スクリーンショット 2021-06-28 11.37.34.png

detentsを用いた実装例

従来の場合

例えば写真ピッカーは次のような実装をして表示していたと思います。
スクリーンショット 2021-06-29 7.51.47.png
スクリーンショット 2021-06-28 11.50.19.png

detentsでサイズ指定

iOS 15から、例えば以下のコード、表示ができます。

スクリーンショット 2021-06-29 7.55.16.png

  • PHPickerViewControllersheetPresentationControllerを取得してdetents.medium().large()を設定
    • リサイズ可能なシートを表示する
  • ピッカーのdidFinishPickingデリゲートからdismiss行を削除
    • 写真を選択し終わってもシートが完全に閉じないようにする

これにより、シートを半分にした状態で写真を選択することも、ドラッグしてフルサイズにしたシートから写真を選択することもできます。

スクリーンショット 2021-06-28 12.00.02.png

スクロール制御

ただし、このままだと上にスクロールした時にシート自体もスクロールしてフルサイズになってしまい、「スクロールすると、シートは半分のままで、ピッカー内の写真一覧だけがスクロールされる」状態にならなくなってしまいます。バーをドラッグした時にシートのサイズが変わるようにするにはprefersScrollingExpandsWhenScrolledToEdgefalseにする必要があります。
スクリーンショット 2021-06-28 13.02.15.png

選択時のサイズ指定

次の改善ポイントは写真選択時のアクションです。.large()の状態で写真を選択しても、選択された写真が表示されるエリアは見れないので、ちゃんと写真が選択されたのかその場でわかりません。そこで、写真が選択された時はシートが.medium()の大きさになるよう変更してみます。デリゲートメソッド内でselectedDetentIdentifier.mediumに設定します。
スクリーンショット 2021-06-28 13.14.26.png

リサイズ時にアニメーションをつける

写真選択時に.large()から.medium()に変更できたのはいいものの、このままだとアニメーションがないのでいきなりサイズが変わってしまいます。次のようにanimateChangesブロックで囲むと、自然なアニメーションをつけることができます。
スクリーンショット 2021-06-28 13.21.48.png

dimmingを消す

スクリーンショット 2021-06-29 8.11.04.png
選択された写真エリアが薄暗いので、dimmingを解除してみます。smallestUndimmedDetentIdentifierの設定をいじることで解除が可能です。このプロパティはデフォルトnilで、すべてのdetentsでdimmingがかかっています。dimmingを解除したい場合はdimmingさせたくない最小のdetentsを設定します。
スクリーンショット 2021-06-28 13.32.16.png

このプロパティは視覚的に「薄暗さ」を取り除くだけではなく、シート外のコンテンツにアクセスできるような「ノンモーダル状態」を作ることができます。ので、.medium()の時に写真選択エリアに触れて操作することもできます。

キーボードとの併用

スクリーンショット 2021-06-29 8.11.29.png
.medium()の時にキーボードを表示すると、自動で.large()サイズになります。キーボードが消えると.medium()サイズに戻ります。

視覚的なカスタマイズ

detentsを操作する以外のところでもいろいろできます。

landscape時のシートサイズ

今までは全画面表示にするしかありませんでした。
スクリーンショット 2021-06-28 14.26.54.png

iOS 15からは、シートの下端だけが画面の縁についている状態で表示できるprefersEdgeAttachedInCompactHeightが追加されました。これをtrueにするとSafe Areaと同じ幅のシートを表示できます。
image.png

presentedViewControllerspreferredContentSizeに沿った幅のシートにしたい場合は、widthFollowsPreferredContentSizeWhenEdgeAttachedtrueに設定します。preferredContentSizeを設定することで、幅をさらにカスタマイズすることもできます。
スクリーンショット 2021-06-28 14.35.17.png

grabberの表示非表示

prefersGrabberVisibleの設定で、grabberの表示非表示を操作することができます。
スクリーンショット 2021-06-28 15.40.42.png

シートのリサイズが可能であることがわかりづらい場合にはgrabberを表示すると役に立ちます。

シートのradius変更

シートの角丸具合を調整することもできます。
スクリーンショット 2021-06-28 17.18.04.png

iPadでポップオーバーを表示する場合

写真ピッカーをポップオーバーにするにはまずmodalPresentationStyle.popoverを設定します。次に、先程のようにsheetPresentationControllerを取得するのではなく、popoverPresentationControllerを取得します。ポップオーバーのsourceをbarButtonItemに設定し、adaptiveSheetPresentationControllerというポップオーバーの新しいプロパティを取得します。このプロパティはポップオーバーがcompactサイズのクラスに適応するシートのインスタンスを返してくれます。
スクリーンショット 2021-06-28 17.23.20.png

これで写真ボタンをタップするとポップオーバーに写真ピッカーが表示され、領域のサイズを小さくすると、.medium()サイズのシートが表示されるようになりました。
image.png
image.png

ただし、このままだと.large()状態で写真を選択した時に自動で.medium()サイズになってくれません。popoverPresentationControlleradaptiveSheetPresentationControllerを取得して先程と同じように設定する必要があります。
image.png

まとめ

  • iOS 15からハーフモーダルっぽいUIが標準APIを使って作れるようになったよ
  • ちょこちょこカスタマイズできるよ
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