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数学の理論構築パターン

Last updated at Posted at 2019-06-13

数学には理論展開を進めていく中で特定のパターンがあります。

 パターン1:概念を拡張する
 パターン2:都合のいいものだけで考える

この2つを繰り返してより高度な理論になります。

 ・パターン1の例
  ①自然数⇒整数⇒有理数⇒実数⇒複素数と数の概念を拡張する
  ②1次元⇒2次元⇒・・・n次元⇒無限次元と次元を拡張する
  ③繋がっている関数を連続関数と定義する⇒開集合の逆像が開集合のときに連続関数と定義する(位相空間でも定義可能になる)

 ・パターン2の例
  ①割り算では分母を0にすると理論が矛盾するので分母が0になることを禁止する
  ②ルベーグ外測度は完全加法性が成立しないので、都合のいい可測集合上に制限することで完全加法性を成立させる(ルベーグ測度という)

パターン1によって、道具を増やし、具体的な空間でしか扱えなかった概念をより抽象的な空間でも扱えるようにします。新たな空間では重要な性質を引き継ぐように、その性質自体を定義にもってきます。

パターン2は、数学の理論に矛盾しないようにするためのアイデアです。新たな定義は数学的に矛盾を含むわけにはいきません。なので、都合のいいものだけを取り出して矛盾を解消します。

-定義について-
 ・これまでに構築された理論と矛盾してはいけない(well-definedという)
 ・定義をしても汎用性がないと意味がない

 例えば極端にいうと、分母に0を入れると$0=1$になるなど矛盾しますが、0だけでなく2以外の数字を入れたときも矛盾するとなった場合、割り算の定義は分母が2のときしか使えません。分母が2限定の計算など使えないでしょう。しかし実際は、0以外が使えるのだから計算でも困ることはなく、汎用性があると言えます。

数学の概念の定義には、矛盾しないことと汎用性が重要だと思います。

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