Contents means business??
eZ Systems Japanの福崎です。
今日はうちの本社のCEOのアレクサンダーがいつも言っている「Contents means business」についてお話ししようと思います。
直訳すると「コンテンツは即ちビジネス!」って感じな事なんですが、正直それだけ言われても「?」ってなってしまいますよね。私も最初そうでした。で、ずっと聞かされているので、ずっと考えてきて最近なんとなく意味がみえてきたんです。それは
「コンテンツはビジネスを動かす原動力だ!」
って意味なんじゃ無いかと。で、これだけだと訳が分から無いのでもうちょっと続けます。キーとなる視点は「コンテンツ流通」です。
コンテンツ流通の使い所
eZ Publishをどうやって有効に利用できるの?ってのはお客様やパートナーからよく聞かれる質問なんですよね。幾多のCMSがある中でeZ Publishって何処が良いの?売りは?って事ですね。気持ちはよ〜くわかります。ただ、そこはいつもお答えしている通り、「この機能があるからeZ無敵!」ってのは無いから諦めてください。そんな万能では残念ながら無いです。ただ、「Contents means business」って思想に支えられて作られているので、その線に沿って使えたらすごく良いでっせとは言えます。その線ってどこにあるかと言えば「コンテンツ流通」です。
コンテンツの流通ツールと考えて見る
OSSとしての技術的な議論ではなく、実用上のメリットの観点で考えると、ソフトウェアを導入する人にとってのなんかしらの問題解決が目的となります。例えば以下のような課題はいかがでしょうか?この課題ならばそこそこ多くの方に「それだったらウチも解決方法を知りたい」って思っていただけるかと。
課題:
貴方の(お客様の)組織の構成員に何かをしてほしい
・顧客に商品をもっと買ってほしい
・ソースにもっとコミットしてほしい
・まともに仕事をしてほしい
これらは全て、その組織に入り込んでより深く参加していく行動パスを設定し、促進することで実現できます。
組織が促進したい構成員の行動パス
これは主にマーケティングの分野で使われている表現なんですが、上記の課題を解決する方法を考えるために使ってみます。
この行動パスはAwareから始まって進んでいき、Ask以降はループになっています。Actは直接的な意味でやって欲しいことを指しています。ECサイトなら商品の購入ボタン(あるいは決済ボタンかも)のクリックですし、OSSコミュニティなら、リポジトリへのプルリクエストだったりします。
- Aware(認知する):対象者がこちらの用意したなんかしらの仕掛けに初めて接触すること、こちらから認識できる最初の状態
- Appeal(要求する):対象者が要望の片鱗を見せること、検索のキーワードを入力するやなんらかの資料を読むことなど、こちらからはActにつながる可能性がある人として最初に識別できる状態
- Ask(問いかける):対象者が具体的な要望あるいは深掘りの意図を見せること、安直には問い合わせ、スペックに関する質問や使い方などを聞いてくる、こちらからは具体的な内容込みで発信してくれるため、要望や行動要求を読み取れる状態
- Act(行動する):対象者がこのプロセスで目的とされることを行うこと、商品を買ったり、コードをコミットしたり、こちらからは期待されている行動をしてくれていることが分かる状態
- Advocate(主張する):対象者がこの行動パスの強化を他者や自分に対して行うこと、感想を公表したり、説明を自ら行ったり、こちらからは具体的な表明の形で把握できる可能性がある状態(必ずしも、こちらに見える形で表明してくれるとは限ら無い)
このループになっているところが、行動ループの仕組み自身を強化してくれるため、ここのパフォーマンスが後ほどの成果に強烈に効いてきます。
行動パスを進んでもらうためにコンテンツ流通を行う
ところで、これら各段階の対象者の行動は、自らの動機ももちろん重要ですが、何よりもそのきっかけを与えるなんらかの情報に依存して実現されることになります。
例えば喉が乾く(これは自らの動機)状態に対して自販機などが提示されれば、ソフトドリンクを購入する可能性がありますが、自販機も見当たらず、レストランもコンビニも無かったら、飲み物を飲むことはないでしょう。せいぜい、蛇口から出てくる水を飲む程度です。これでは「購入させる」目的は達成できません。
行動パスを効率良く進んでもらうためにも、なんかしらの触媒が必要なのですが、そこに「コンテンツ」が使えるのではないか?というのが今回のアイディアの主軸となります。つまり、そのまま放っておいたら水道水を飲む(これは意図通りの行動ではない)はずの人にポスターなりCMなり、自販機なりのコンテンツを提示することで行動の選択肢(できれば最も魅力的な選択肢)にさせるわけです。
この様に目的の場所(この場合は人)へ適切なコンテンツを送り届けたいのですから、コンテンツ流通と言えないでしょうか。
で?コンテンツ流通の使い所って?
ここまでの説明で「なーんだ、うちのECサイトでまさにそういうことやっているよ」と思った方もいるでしょう。まさにその通りです。
ただし、その「やっている事」を「コンテンツ流通」と名付けて一般化すると色々な応用ができる事がわかります。
上記であげた「組織でやってほしい事」で具体的な例を考えてみましょう。
顧客に商品をもっと買ってほしい
ここはECサイトとかでやっているので今更な説明かもしれませんが例えば、
- スマフォに表示される広告 => Aware、Appeal
- 検索で表示される広告 => Aware(?)、Appeal、Ask
- 効果を説明する漫画 => Appeal、Ask
- SNSへ写真などを貼り付けて自慢する => Advocate
あたりでしょうか。
ソースにもっとコミットしてほしい
ここはコミュニティ活動とかでやられていることが多いですかね。コンテンツって言えそうなものに限ると、
- ソースコード読み合わせや解説記事 => Appeal
- MLなどでの問い合わせ => Ask
- 他者による「やってみた系」記事 => Advocate
くらいしか今は思いつか無かったですね。
まともに仕事をしてほしい
これまた微妙な例ですが、
- まともに仕事をするメリットの見られる事例 => Aware
- ノウハウの共有Wiki => Appeal、Ask、Advocate
- 特定の業務の説明記事、支援ツール => Act
とかがありますでしょうか。
行動を促すコンテンツを適宜提供するって発想であれば、例えばECサイトで良く使われるものを会社の業務の最適化のために使える可能性もあるわけですね。例えばSEOの仕組みを社内資料のシステムに組み入れて、シチュエーションに合わせて共有ファイルシステムが検索キーワードに最適化したらどうでしょうか?
例:出張請求の書類の書き方
SEOキーワード「出張、請求、分からない、コピペ、出し方」
キーワードに合わせて、乗り換え案内や書類の雛形など必要そうなものを出し分ける
eZ Publishの強み
このように行動パス、コンテンツ流通と切り口を決めてみたらどうでしょうか?eZ Publishのあの機能やこの機能が使えることがわかります。実装は現場の皆さんに頑張っていただくとして、もう少し具体的なヒントを出してこの記事を締めたいと思います。
Awareに使えるネタ
Awareは行動パスの入り口ですから、行動パスの目的のものに興味がある人を呼び込む機能や、そうでない人に気付かせる機能がほしいところです。SEO対策(もちろんeZ Publishの機能としてある程度自ずと対策済みですが)での誘導もあるかもしれませんが、例えば対象となる人々が日々接しているが目的のものと直接つながらないものに着目しても良いですよね。
- 近所のランチ情報
- 趣味の情報
- 人気アーティストやアミューズメントのチケット情報
こういった外部の情報をeZで作っている自社サイトに取り込むための仕組みは色々ありますね。
- RSS
- APIを使ったアグリゲーター
- 手入力での運用
Appealに使えるネタ
Appealは対象者に何かしらの表明・判断をさせる必要があります。貴方の行動パスの自然な求心力によってはフィルタリングのほうが重要な事もありますし、逆にそれまで意識して無かった人に意識させる努力が必要な場合もあります。
- 関連した情報の提示
- アンケート、〜診断など、自分の事を考えさせるコンテンツ
これらを実現するとしたら
- 関連オブジェクト
- フォーム
- 位置情報によるフィルタリング
とかでしょうか。
Askに使えるネタ
Askは対象者がActをする前のちょっとした障壁を越える部分や、Advocateをするために深堀りをしていく部分になります。
- Q&Aコーナー
- 問い合わせのコーナー
- 深堀りするための情報庫
安直には
- フォーム
が使えますが、登録ユーザーとさせると色々できるので
- サブスクリプション制御(登録フォームとロールの割り当て処理)
- ブロック毎の権限制御
がまず使えますし、
- 記事作成
- Blog
とかが使い易いですね。
Actに使えるネタ
Actはその行動パスによって内容は様々ですね。ちょっと例はあげにくいですが、以下のようなものがあるでしょう。
- 購入(カート、注文フォーム)
- 記事の執筆
これらは
- フォーム
- 記事作成
などでできますね。
Advocateに使えるネタ
Advocateは自発的な行動で、それを触発するようなコンテンツも重要ですが、こちらの制御範囲でさせることも効果向上のためには重要です。
- 記事の執筆
- Q&A
などの「活躍の場」を積極的に提供するのが良いですね。
- 記事作成
- Blog
を使えるかと。
まとめ
以上、駆け足で進めてまいりましたが、コンテンツ流通という切り口でeZが使えるんじゃないかなというお話でした。
より具体的なケースであればもう少し突っ込んだお話ができるとは思いますが、そこは「案件ベース」で是非♪