フルリモートOK!…って本当~!?
昨今多様な働き方が選択できるようになっています。特にコロナ禍では世情動向の変化を受けて柔軟な働き方がクローズアップされてきており、リモート業務可否は会社を決めるうえでもかなり気になるポイントかと思います。かくいう私も転職において重視した点であり、幸いにもリモートで業務できる環境に恵まれ満足を感じているところです。
しかし、コロナへの経済抑制も解除され早数年、どの業界においても会社出勤への回帰が見られるようになりました。ですので、転職ワークにおいても「フルリモート」への考え方も見直す必要があります。さて、本当にあの会社の言う「フルリモート」は信じてよいのでしょうか?その見極めのためにできることを、転職活動時に自分が実行したこと、加えて、もっとこうしたらよかったのかな、も含めてまとめてみました。
あなたがリモートワークに望むことは何?
まずはあなたの意向を整理しましょう。一言でリモートワークといっても、それに抱く期待はさまざまだと思います。そして、その期待とのズレがあると、「入ってみたけど、やっぱ違った」ともなりうるので注意です。以下では、何故リモートか?と、どうすれば望むリモートであるか確認する方法を提案してみます。
リモートレベル設定~どこまでなら許容できるのか
フルリモートを望んでいるとはいえ、これは転職における一つの待遇(給与、権限、福祉…)にすぎません。完全なリモートを望んで他の待遇に目をつむるのか、それとも別の待遇をベースに持ちつつリモート可の可能性を探るのか、スタンスはいろいろだと思います。ですので、リモートワークについてもレベル分けして、どこまでを望むのか、ここまでなら出社も許容するよ、という自分の意思を、転職活動内の質問を通して確認してみましょう。
- レベル0:リモートなし!
- そういう会社もあります
- リモートが無い理由を聞いてみて、納得できるならそれも選択肢です
- レベル1:リモート可、要現場相談(業務、環境によってリモートを許可される)
- 今はこれが一番多いのかも
- 当たり前ですが、リモートが許可される条件の確認は必須ですね
- あとは、実際に許可されている人数、日数で自分も使えそうか目途がつく?
- レベル2:リモート可、日にちに制限有(月or週あたりの要出社回数が決まっている)
- これも聞いた中では多く、前職がこれでしたね
- この働き方で納得いかなかったのが転職を考えた大きなきっかけでした
- 日数制限の理由を尋ねるのがクリティカルだと思います
- 回答によっては今後もリモートレベルダウン(造語)があり得ますので、回答内容から今後どうなっていきそうかよく考えましょう
- 想定される回答は「対面により業務が進む」「コミュニケーション」だと思いますが、さらに具体例でなぜなぜ深堀りをしていくと、回答にその会社らしさ・働いている人の方向性が見え隠れしてくると思います
- このレベルを細分化すると、時間をずらした出社の可否がある
- 出社必要な際(例:昼から対面打ち合わせ)、昼出勤を行ってOKかどうかを探るとよいかも
- これも聞いた中では多く、前職がこれでしたね
- レベル3:基本リモート、必要に応じて出社(要出社回数が定められていない)
- これが世の中的には「フルリモート」と呼んでいい水準でしょうかね
- 私も自分自身を整理した結果、望んでいる働き方はコレでした
- 出社が必要になる理由を聞きましょう、必要性を共感できればきっとうまくやっていけます
- 逆に明確な回答が無い場合は、理由なくリモート終了の危険ありかも?
- 地方配属の場合は本社への出張の是非、出張費・ホテル代の有無や上限額等の確認も忘れずに
- これが世の中的には「フルリモート」と呼んでいい水準でしょうかね
- レベル4:フルリモート、出社完全不要
- 究極のリモート体制
- 入社時も出社不要ですか?で探りを入れると面白いかも
- 本当に不要の場合は、必要PCを家に送ります、等の具体運用を向こうが提示できる(やっている)はず
ここで大切なのは、自分自身がどのラインまでを許容し、どこからがNGなのかを知ること、そして、完全な防御策ではないものの、会社側がリモートレベルを下げる(リモートワークをやめる)方向、可能性があるのかを探ることかなと思います。
何故会社はリモートワークを許していたのか、そして辞めるのか
次は、会社の立場に立ったリモートワークの意義を考えて、取りうる対策を練りましょう。
さて、昨今、一度始めたリモートワークを取りやめる会社が出てきています。中にいる社員からすれば裏切られた!と思うところでしょうが、そもそもの話、何で今までリモートワークOKとなっていたのでしょうか。その理由や論拠を探っていくと、会社の思うところ、そしてひいては、リモートやっぱやーめた、となる可能性を事前に察知できるかもしれません。
リモートOKとすることによる会社メリット
「御社がリモートワークにするメリットは何ですか?」
- 働き方改革
- 動機として弱く裏の理由が見えてこない
- 社員として囲えてしまえば撤回されてしまうのかも
- 「リモートになって改善された働き方はありますか?」と聞いて、その会社がリモートワークに感じているメリデメを探るのはいい手かもしれないです
- 特に理由はない(がコロナ禍で否応なしに、そこから変更されずに今がある)
- 同上。もうそろそろ撤回していいよね?の流れに逆らえない
- 特に、一部出社継続必須の部署(客応対、社内システム管理等)があったような業界だと「部署間の平等」のもと、出社戻しもありえます
- 「出社する場合のメリットはどうお考えですか?」と聞いて、その会社がどれくらい出社(に戻す)必要性を感じているかを探ってみましょう
- うちの会社(部署)の仕事は対面不要なので
- 直上の部署間の平等論もあり、メリットとは言いづらく弱い
- 「具体的にリモートワークでの改善コストは試算されてますか?」と聞いて、回答が具体数値で出たらその部署は強いだろう
- なぜなら、その会社内で勃発したであろう揺り戻し議論に対する回答としてコスト試算している可能性が高いから(きっと戦ったのかも?)
- 業務成績が上がった!
- 直上の通り、具体数値で示せているのであれば強い
- 「リモート導入前後で業績影響はありましたか?」と聞いて、具体回答があるか
- フロア縮小、出勤費用減等のコスト削減(+そのため全員が出社はできない)
- 狭くても全員出社で席無し、という一番ひどい扱いが待ってますのでリモート継続理由に一切なりえません
あのときのことは絶対に許さないよ
- 狭くても全員出社で席無し、という一番ひどい扱いが待ってますのでリモート継続理由に一切なりえません
- 社長の強い意志で、社是で
- トップダウンのルールなので強めかも
- ただし社長の動向次第、社長の退職を契機にリモート辞めるなんてまさかぁ…
- トップダウンのルールなので強めかも
- (私が、社員が)リモートワークを望んでいる
- 会社としてリモートワークを推進していることが継続できる必須条件
- 直上とセットだと心強い、上司層の考えもあっているか確認したいところ
- 幹部面接のタイミングで「実際どのくらい出社されてますか?」を聞く
- たとえズレがあっても、「繁閑で差はあるが…」「先週は忙しかったが…」みたいな枕詞があれば、管理職としても必要に応じて出社/リモートの切り替え実施していることが確認できて安心か
- リモートワーク前提採用で優秀な人材を期待(獲得できた)
- 結構な割り切りとして強いリモートワーク継続理由かもしれない
- 特に、本社と違う地域在住の社員を獲得している場合は現在も継続実施中を意味する
- リモート社員の割合等を聞いて、変えられなさそうなことを確認してみる
- ただし、業務が順調に進んで人依存、スキル頼りでなくなったら変わることを意味している
- 「今後の雇用拡大方針を教えてください」で、全国にスカウト活動等やっていればリモートワーク継続意思は強そう
- 「入社後に地方引っ越しした人はいるか」も考えが聞けて面白いかも
- 結構な割り切りとして強いリモートワーク継続理由かもしれない
以上、上記のような回答が考えられるかな、と思います。まとめてみてわかりますが、会社からの立場においては、リモートワークのメリットって実はそんなになくて、よほど成功体験があったか、もしくは会社の構成要員がリモートワークを心底望んでいるか、どちらかしかないと思うんですよね。それのどちらかで継続する理由として納得出来れば入社を選んでもいいでしょう。
リモートNGとする会社の思惑
「リモートワークのデメリットをどうお考えですか?」
「御社がリモートワークをやめるとしたらどんな理由ですか?」
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管理職が管理できない
もともとの管理職が会社内での実務に基づいて組み立てられているので、このリモート強制の世の中はそういった旧マネージャー層への非常に強いフラストレーションを与えてきています。そして、その反動が今来ています。つまり、抱えている前コロナ時代の管理職従事者が多ければ多いほど、管理ができない(という言い訳は情けないので、「業績が対面の頃より下がった」と言い換えるでしょう)声に押され戻さざるを得なくなります。
逆に言えば、管理職がコロナ禍から増えた・変わった、そもそもの会社成立がコロナ禍以降の会社はこれに該当しない可能性があり、若干の安心感があるでしょう。 -
業務がまわらなくなった
まあ気持ちはわかります。でも、時代の変化に載れてませんって宣言されてもねぇ…とは言いつつ、周囲の会社が辞め始めたらこの理由をもとにリモート解除する会社はますます増えるでしょう。
これも状況が逆の会社であればリモート継続の可能性が高まりますね。狙うべきは今まで対面だったところがリモートに置き換えても回る体制・しくみが作れているところです。例えば考えるべきは打ち合わせの場の改善状況。少し外れての個人的な意見ですが、このコロナ禍で一番リモートワーク化が進んだのは営業だと思います。前時代は「やはり重要なお客様・重要な商談については対面で…」というのが当たり前だったかと思いますが、それが出来なくなってリモート会議で済ませているうちに、顧客側も時間効率で考えてリモートを望む声が出てきているように感じます。この例を取っても、世の中必ずしも、出社回帰はありきの流れではないはず。
さて話題を戻して。リモートワークでも回る仕組みの基本はオンラインへの移行と、非同期的作業化だと思います。オンラインでこと済めば出社の必要はなくなるし、同期をとる必要が無ければ人と時間を合わせる必要性も薄くなります。このような工夫を行っているか、出来ていないところをどう変えていくつもりかを尋ねるのもその会社の意思が現れるところかなと思います。 -
社内コミュニケーションが減る・減った
直上の亜種、対面でないと打ち解けるのは難しい、という理屈でリモートワークレベルが下がっている事例です。コミュニケーションロスが離職につながるから、といったトンデモもあるようですね。逆逆ぅ。
これはシンプルに課題設定のミスで、会社(部署)自体の風通しの良し悪しでしかありません。コミュニケーションは仕事上必要ですが、現場で必要性があれば自主的に動くような職場の方が強制されてるところよりずっとコミュニケーションは円滑なはずですよね。その現場が「自主的に」行っているかどうかを聞き出すのは、本人達の空気感や気持ち的なところになるのでなかなか情報は引き出しづらいですが、同僚になるであろう人との会話チャンスがあれば、コミュニケーション確立でやっている具体的な動き・その動きの自発性を積極的に確認しておきたいところです。 -
業績が下がった
ぐうの音もでないです…
この情報が得られ、辞めるかもしれないとなっている場合はこの会社ではリモートワークを期待できないと思います…逆に、それでも改善していきたい、という意思があるなら一緒に変えていけるのかもしれませんが… -
Amazon、Google(他、有名社)も辞めた
一番しょうもない理由ですが、結構あると思います。これ単独というよりは他の理由だと都合・体裁が悪いので、権力や世の中の流れとして言いくるめるための手段ですね。給与をGoogle並にあげてから言ってほしいものですね。ほんとに。 -
社長の意向(社長が辞めると言っている)
結局社内で統一された理由がないときはこうなるんじゃないかな、と。強い意志で決めてそうで、実は上記の社内ちりつもを強い辞める理由としてまとめられないときの最終手段に感じます。
さっきとは逆で、辞める理由は結構あげられて、ざっくりいってしまえば以前比較で何かが悪くなっていることをリモートのせいにしたいからなので、このあたりの理由が出てきてしまう会社はリモートワークには積極的でなく、改善も期待しづらいところなのかなーと感じます。リモートワークを望む人にとっては避けたほうがいいところですね。
まとめ(まとまらない)
その会社がリモートワークをどのように考えているかを引き出すためのテクニック?をまとめてみました。何にしても、行き違いを減らすためには十分なコミュニケーションをとることです。
ところで、そもそもで「リモートワークについて質問するのは印象が悪い?」という心配があるかもしれません。ですが、リモートワークを望んでない会社を避けるための質問のはずなので、それで印象悪くなるのは別に問題ないですよね?逆に、リモートワークに理解のある企業の場合は、質問への回答も十分考えてきてますし、そんな働き方に興味を持って受けてくれていることをありがたく思うのではないでしょうか。
ですので、恐れずリモートワークへの探りを入れていきましょう!