大規模言語モデルの進化により、In-Context Learning(ICL)の可能性は飛躍的に拡大しています。特に、Many-Shot ICLは従来のFew-Shot ICLを超える可能性を秘めた、非常に興味深いアプローチです。本記事では、Node-REDとGemini APIを使用して、Many-Shot ICLを実装する具体的な方法を詳細に解説します。
Many-Shot ICLとは何か?
Many-Shot In-Context Learningは、従来のFew-Shot学習と異なり、数十から数百の学習例を活用するアプローチです。より多くのコンテキスト例を提供することで、言語モデルはタスクの微妙なパターンをより深く理解し、高度な推論と一般化を実現できます。
なぜGeminiか?
Geminiは最先端の大規模言語モデルの一つであり、従来のモデルと比較して非常に特徴的な点は、100〜200万トークンという驚異的な長さのコンテキストウィンドウを利用できることです。この広大なコンテキストウィンドウにより、Geminiは現時点でMany-Shot In-Context Learningを実行するのに最も適したモデルとして高く評価されており、複雑で長文な情報処理に優れた能力を発揮しています。
技術的な利点
- より高い精度: 豊富な文脈情報により、モデルはタスクの本質をより正確に理解できます
- 柔軟性の向上: 複雑なタスクや特殊な要件に対して、より適応的な対応が可能になります
- 汎用性の拡大: 単一のプロンプトテンプレートで、多様なユースケースに対応できます
Node-REDとGemini APIを使用したMany-Shot ICL実装
以下に、Node-REDを使用してMany-Shot ICLを実装するための具体的な手順と、サンプルフローを紹介します。
必要な準備
- Node-RED
- Gemini APIキー
フローの構成
我々のMany-Shot ICLフローは、以下の主要なノードで構成されます:
- functionノード(学習例の生成)
- HTTPリクエストノード(Gemini APIへのアクセス)
- functionノード(レスポンス処理)
詳細な実装ステップ
1. functionノードの設定(changeノード + templateノードでも実装可能)
functionノードでは、多数の学習例を動的に生成します。以下は、文章分類タスクのサンプルテンプレートです:
const learningExamples = [
{ input: "素晴らしい商品でした!", label: "肯定的" },
{ input: "期待はずれでがっかりしました", label: "否定的" },
// さらに多くの学習例(50-100程度)
];
const taskDescription = "以下の文章の感情を分類してください:";
const prompt = learningExamples.map(ex => `入力: ${ex.input}\n分類: ${ex.label}`).join('\n\n');
msg.payload = `${taskDescription}\n\n${prompt}\n\n入力: ${msg.input}\n分類:`;
return msg;
2. HTTPリクエストノードの設定
Gemini APIへのリクエストを処理するノードを設定します:
const options = {
method: 'POST',
url: 'https://generativelanguage.googleapis.com/v1beta/models/gemini-pro:generateContent',
headers: {
'Content-Type': 'application/json',
'x-goog-api-key': '[YOUR_API_KEY]'
},
body: JSON.stringify({
contents: [{
parts: [{ text: msg.payload }]
}]
})
};
return options;
3. 応答処理関数ノード(switchノード + changeノードでも実装可能)
APIレスポンスから必要な情報を抽出します:
const response = msg.payload;
if (response.candidates && response.candidates[0]) {
const extractedLabel = response.candidates[0].content.parts[0].text.trim();
msg.payload = {
originalInput: msg.input,
predictedLabel: extractedLabel
};
}
return msg;
まとめ
Many-Shot ICLは、大規模言語モデルの可能性を大きく広げる革新的なアプローチです。Node-REDとGemini APIを組み合わせることで、柔軟で強力な機械学習ソリューションを比較的簡単に実装できます。