今回は、ウィンドウマネージャを自作してみたいと思います。
前回、ウィンドウマネージャが無くてもXサーバーが動くことを話題にしました、その続編となっていますので、前回「Xウィンドウマネージャっているの?」も合わせてご覧ください。
使用OS:ArchLinux(VirtualBoxゲスト)
前提
下記のパッケージ等は、事前にインストールされているという前提で話を進めます。
・前回インストールしたパッケージ
・gcc
・wget
・nano(などのテキストエディター)
前回同様、ttyコンソールの状態から話を進めます。
TinyWM
とても小さなウィンドウマネージャとして知られていて、ソースコードは以下の通りです。
/* TinyWM is written by Nick Welch <mack@incise.org>, 2005.
*
* This software is in the public domain
* and is provided AS IS, with NO WARRANTY. */
#include <X11/Xlib.h>
#define MAX(a, b) ((a) > (b) ? (a) : (b))
int main()
{
Display * dpy;
Window root;
XWindowAttributes attr;
XButtonEvent start;
XEvent ev;
if(!(dpy = XOpenDisplay(0x0))) return 1;
root = DefaultRootWindow(dpy);
XGrabKey(dpy, XKeysymToKeycode(dpy, XStringToKeysym("F1")), Mod1Mask, root,
True, GrabModeAsync, GrabModeAsync);
XGrabButton(dpy, 1, Mod1Mask, root, True, ButtonPressMask, GrabModeAsync,
GrabModeAsync, None, None);
XGrabButton(dpy, 3, Mod1Mask, root, True, ButtonPressMask, GrabModeAsync,
GrabModeAsync, None, None);
for(;;)
{
XNextEvent(dpy, &ev);
if(ev.type == KeyPress && ev.xkey.subwindow != None)
XRaiseWindow(dpy, ev.xkey.subwindow);
else if(ev.type == ButtonPress && ev.xbutton.subwindow != None)
{
XGrabPointer(dpy, ev.xbutton.subwindow, True,
PointerMotionMask|ButtonReleaseMask, GrabModeAsync,
GrabModeAsync, None, None, CurrentTime);
XGetWindowAttributes(dpy, ev.xbutton.subwindow, &attr);
start = ev.xbutton;
}
else if(ev.type == MotionNotify)
{
int xdiff, ydiff;
while(XCheckTypedEvent(dpy, MotionNotify, &ev));
xdiff = ev.xbutton.x_root - start.x_root;
ydiff = ev.xbutton.y_root - start.y_root;
XMoveResizeWindow(dpy, ev.xmotion.window,
attr.x + (start.button==1 ? xdiff : 0),
attr.y + (start.button==1 ? ydiff : 0),
MAX(1, attr.width + (start.button==3 ? xdiff : 0)),
MAX(1, attr.height + (start.button==3 ? ydiff : 0)));
}
else if(ev.type == ButtonRelease)
XUngrabPointer(dpy, CurrentTime);
}
}
http://incise.org/tinywm.html のソースコードをそのままコピペしたものです。
ttyコンソールではコピペできません。もし、インターネットからダウンロードするのなら、以下の方法があります。
mkdir ~/work1
cd ~/work1
wget https://raw.githubusercontent.com/mackstann/tinywm/master/tinywm.c
ソースコードの変更
ソースコードの中に三ヵ所、 Mod1Mask があります、これはAltキーを意味します。
VirtualBoxゲストだと、ホスト側がAltキーを優先的に使用してしまい、うまくいきません。
三ヵ所とも ControlMask に変えてください。
nano tinywm.c
#テキストエディターで編集
次に、コンパイル
gcc -o tinywm tinywm.c -lX11
tinywmというファイルが出来上がっているはずです。これが出来立てほやほやのウィンドウマネージャです。
そして、Xサーバ起動
Xサーバ起動直後、ウィンドウマネージャ(tinywm)とxtermが実行されるように設定します。
echo "~/work1/tinywm& xterm" > ~/.xinitrc
#注意、.xinitrcが存在する場合、上書きします。
Xサーバを起動するために次のコマンドを打ちます。
startx
機能は、
・Ctrl+左クリックして移動(もともとは、Alt+左クリック)
・Ctrl+右クリックしてサイズ変更(もともとは、Alt+右クリック)
・Ctrl+F1キーで前面に表示(もともとは、Alt+F1)
しかありませんが、前回「Xウィンドウマネージャっているの?」では移動・サイズ変更するためにコマンドを入力していたことに比べれば、はるかに快適です。
Xサーバを終わらせる
前回と同様、最初(.xinitrc)に実行したxtermで
exit
と打てばXサーバは終了し、最初の画面に戻ります。
最後に
今回、ウィンドウマネージャをソースファイルからコンパイルし、実行しました。
ソースファイルは50行ほどの短いものです、実用的ではありませんがウィンドウマネージャを「厳かで近寄りがたい」と感じていた方にとっては、普通のXアプリと違いがあまりないことに気づき、親近感が持てるようになったのではないでしょうか。