こんにちは。
オークファンでデザイナーをしています@af_takeです。
突然ですがみなさん、デザインでフォントを選ぶ際フォント名にくっついているアルファベットの意味ってご存知でしたか?
(こういうのです→A-OTF UD新ゴNT pro)
自分はというと以前はproと付いているのは何となく良さそうだなくらいの理由でフォントを決めていました
ということで、知識の整理も兼ねて記号の意味を紹介してみたいと思います!
はじめに
Photoshopなどのデザインツールでフォントを選択する際に、フォント名の前後にアルファベットの記号がついています。
同じフォントのようだけど、前後の記号が違う。これはどういう意味なのでしょう。
A-OTF 新ゴNT Min
A-OTF 新ゴNT pr5
A-OTF 新ゴNT pr6
A-OTF UD新ゴNT pro
A-OTF UD新ゴNT pr6
A-OTF UD新ゴNT pr6N
そもそものフォント名
まずフォントの大枠となるフォントそのものの名前はどこになるのでしょう。
答えはは「A-OTF」などの次に来る箇所が該当します。
こちらの例だと新ゴ、見出しゴMB1、リュウミン、筑紫明朝となります。
前後についている記号
では本題の前後についている記号について説明します。
1.ベンダー(開発会社)の記号
まずフォントの頭についている記号、これはフォントを開発したメーカーを表しています。
モリサワフォントとAP版モリサワフォンというのが出てきましたが、このAP版とは「ペアカーニング情報」を持ったフォントかどうかを表しています。
ペアカーニング情報とは文字間が綺麗に見えるよう、自動で文字詰めを行ってくれるもので、Photoshopではカーニング設定を「メトリクス」にするとペアカーニングが有効になります。
また似た機能の「オプティカル」はソフト側で文字の形を見て自動で文字詰めを行ってくれるものになります。
2.UDフォント
次に来るのがUDフォントを表す「UD」という記号です。
UDとはユニバーサルデザインを意味しており、簡単に言うと年齢や身体的な能力、文化背景を超えて伝わるデザイン、フォントでいうと読みやすく、読み間違えのないよう配慮されたデザインとなります。
※ただし必ずしもUDフォントを選べば良いというものではないので、制作するデザインに合わせてフォントを選ぶ必要があります。ちなみに新ゴの後ろについている「NT」これもユニバーサルデザインを意識したデザインが盛り込まれたもので、新ゴと新ゴNTでは「かなもじ」がより読みやすくなっています。
3.文字数
次が収録されている文字数を表す記号で、Pro、Std、Pr6と色々と種類があります。
これは想像通りProと付くものの方が収録している文字数が多くなります。
下記のように付く記号で表示可能な文字数が変わります。より多くの文字数のものを選ぶのが無難ですが、Stdでも「常用漢字」や「人名用漢字」などのJIS第1水準や、第2水準の漢字が含まれているのでおおよその日本語表示にはこのStdフォントでも問題なさそうです。
- Std…9,354文字
- Pro…15,444文字
- Pr5…20,317文字
- Pr6…23,058文字
- Min…3,823文字
- Min2…4,833文字
4.Nつきフォント
最後に文字数の後ろにつくNについてです。
このNは「JIS2004字形」に準拠しているかどうかを表しています。
JIS2004字形とは2004年に改定された日本工業規格(JIS)で定められた文字の規格で、168文字の漢字の字形に違いがあり、例として以下のようなものがあります。
このNあり・Nなしフォントの選び方ですが、例えばNなしフォントで既に作成したデザインデータを編集する場合、同じ「Nなし」フォントから選ぶことで文字のトラブルを減らすことができます。
新たにデザインデータを作り始める場合は、現在広く使われている字形と同じ「Nあり」フォントを選ぶと良さそうです。
また案件によっては「辻」は1点辻でといったように特定の字形の表示が求められることもあるかと思いますので、その場合は要請に応じてNあり・Nなしを選ぶ必要がありそうです。
※ちなみにJIS2004字形の前はJIS90字形が使用されており、こちらは1990年に制定された規格になります。
さいごに
フォントの記号の意味を簡単に纏めてみましたが、改めて調べてみるとフォントの歴史や変化の背景などまだまだ学べることは多くあり、フォント奥が深いな〜と再認識しました。
またそれぞれのフォントには細かい部分にも書体デザイナーさんの思いが詰まっており、自分としてももう少し勉強したいなという気持ちが湧いた良い機会となりました。
これを読んで頂いた方にも少しでも有益なものがあれば幸いです。
それでは、最後までお読み頂きありがとうございました!