Webパフォーマンス Advent Calendar 2019
Webパフォーマンスが、2020年の改正民法債権法に絡み、性能品質として注目されています。
経産省は、
- 非機能要求グレード 2018
- システム及びソフトウェア品質の見える化、確保及び向上のためのガイド
- 情報システム・モデル取引・契約書
- ADR(裁判外紛争解決手続)
- DX推進指標
- DX格付
と、日本のITの品質向上のための制度や指標の仕組みを整えてきました。
DX推進指標の中では、「システムに求められる要素」として「スピード・アジリティ」が項目として入っています。
レベル | 内容 |
---|---|
0 | 環境変化に迅速に対応できず、検討も始めていない。 |
1 | 検討を始めているが、システムの全体構成が可視化されておらず影響範囲が把握できていない。 |
2 | システムの全体構成が可視化されていてボトルネックとなる部分を特定しており、⼀部の部⾨で対応を⾏い、迅速な対応が可能となっている。 |
3 | システムの全体構成が可視化されており、ボトルネックをすべて解消したため、全社的に迅速な対応が可能となっている。 |
4 | 迅速な機能追加、拡張に向けて、全社で持続的な改善が進められている。 |
5 | グローバル競争を勝ち抜くことのできるレベルで、迅速な機能追加、拡張が可能な状態となっている。 |
Webサイトは、B2BやB2Cにおける経済取引に先立つ情報流通を担う人やマシンとのインターフェースを担っています。
情報の迅速かつ円滑な流通こそが、経済成長の源であるとの認識の下に、世界各国は5Gの整備に巨額の投資を行っています。
2020年の5Gの到来によって、Webサイトに高速にアクセスできて、情報をスムーズに取得できることを誰もが期待しています。
現在のWebサイトの遅延原因は、4.5G(LTE Advanced Pro)となった携帯網などの通信経路にはなく、バックエンドかフロントエンドの処理に殆どが起因しています。
HTML、CSS、JavaScript、画像などのWebサイトを構成するファイルの容量を削減することを至上命題とする、現在の日本で広がっている「容量主義」のままでは、真の高速化は成しえないでしょう。
デジタルトランスフォーメーションとは、現実世界が1対1でデジタル世界にマッピングされる世界を言います。
デジタル世界に現実世界の情報がマッピングされることで、人は、その認識を広げることができ、より良い社会を作り出すことができるという主張です。
現実社会のオブジェクトをシステムの世界にマッピングして機能拡張して新たなサービスを生み出す上で、システムのボトルネックの解消は真っ先にやらなければいけないことであり、それはWebにおいても同じことなのです。
そして、DX格付では、システムの性能も投資家にとっては投資に値するかどうかを判断する材料となります。
パフォーマンスのボトルネックがあるシステムと、ボトルネックがないシステムを比較すれば、当然、ボトルネックがないシステムの方が投資対効果が活きるのは、開発の現場にいるエンジニアであれば、肌身で感じている事でしょう。
海外においては、Webパフォーマンスの統計的品質管理は、20年以上も前から大企業を中心として普及しており、Synthetic Monitoring(合成監視)に代表される統計的品質管理手法でのWebパフォーマンスの計測の市場が大きく成長しています。
ロイターのレポートによると、Synthetic Monitoringの市場は、年17%の伸び率で、2023年には30億ドル市場になると推測されています。
Mondor IntelligenceのSynthetic Monitoring Market - Growth, Trend, and Forecast (2019-2014)では、日本はSynthetic Monitoringの市場の伸び率がMidと色づけられており、アメリカやヨーロッパに比べて後塵を拝していることは否めません。
性能は、コンピュータシステムに求められる基本的性質であり、性能をどれだけ担保できるかで、エンジニアの技量が示されます。
Webパフォーマンスの高速化は、単にフロントエンドをどうにかすればいいというわけではなく、ネットワーク、バックエンド、その背後に連なる各種データベースやアプリケーションサーバなどから成り立つ「デジタルデータのサプライチェーン」のボトルネック解消です。
なんちゃってパフォーマンスチューニングではなく、世界のパフォーマンスエンジニアと同じレベルで、パフォーマンスチューニングを是非語り合おうじゃないではないですか。
皆さんのご参加をお待ちしています。
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