経済社会のあらゆる場面でAIが活用されるようになった現在、AIエンジニアの有用性は極めて高くなっています。確かな知識と経験を持ったAIエンジニアは、多くの企業・団体から引く手あまたといって良いでしょう。
AIに関する資格はいくつかありますが、なかでも最高峰といわれているのがE資格です。
E資格は試験そのものの難易度もさることながら、JDLA認定講座修了しなければ受験資格が得られないという点も大きなハードルとなっています。
ただし、E資格に合格すれば、それはAIエンジニアとしてどこに行っても通用するスキルを手にしたといっても過言ではありません。
この記事では、E資格受験のために必要な知識について解説します。
E資格とは
E資格は、日本ディープラーニング協会(JDLA)が実施している資格試験です。はじめて試験が実施されたのは2018年で、2019年以降は年に2回(2月中旬、8月下旬)に実施されています。(2020年8月実施予定だった試験は新型コロナウイルスの影響で中止になりました。)
AIに関する技術は日進月歩の様相を見せており、1年後には現在の知識・技術が陳腐化する可能性もあるほどスピードが速い世界です。
そのため、E資格では試験ごとに名称が付けられ、合格者は「JDLA Deep Learning for ENGINEER 2022#2」のように、試験名称が明記された上で、資格認定されることになっています。どの試験に合格したかわかるようにすることで、AIエンジニアのレベルが正確に証明できるという訳です。
E資格は比較的新しい資格ながら、経済社会における画像認識やディープラーニングの活用可能性が広がるにしたがって注目度が高まっています。ディープラーニングの理論を理解し、適切な手法を選択して実装する能力や知識を有する能力が十分に証明できる資格であることから、受験者数は年々増加傾向にあります。
E資格試験の概要
受験資格 | JDLA認定プログラムを試験日の2年以内に修了していること |
---|---|
試験時間 | 120分 |
出題問題 | 知識問題(多肢選択式・100問程度) |
試験日程 | 2023年2月17日(金)・18日(土)・19日(日)/2023年8月25日(金) |
受験料(税込) | 一般33,000円、学生22,000円、会員27,500円 |
出題問題の範囲 | ・応用数学(線形代数、確率・統計、情報理論) ・機会学習 ・深層学習 |
E資格の難易度は?
2022年8月に実施された「E資格2022#2」では、受験者数897名のうち644名が合格し、合格率は71.79%でした。過去7回の平均合格率は70%を超えており、一見合格しやすい資格のように見えます。しかし、そもそもE資格を受験できるのはJDLA認定プログラムを修了できた人達ですから、かなり高度な知識や経験が備わっていると考えられます。合格率が高いからといって、決して簡単な試験というわけではありません。
また、JDLA認定プログラムはただ受講すればよい訳ではなく、本試験を想定した修了試験に合格しなければならないので、受験資格を取得する段階でも十分な勉強をしなければなりません。
出題範囲の専門性も高く、大学で学ぶ線形代数などAI理論のベースとなる知識を理解しておく必要があります。難易度は、IPAの情報処理試験のレベル3、4程度や、情報処理技術者試験の応用情報技術者~高度情報技術者相当といわれており、知識があるだけでなく、目の前の課題に対して適切な方法で実装できるレベルが求められます。
E資格を受けるには講座受講が必須
E資格の試験を受験する条件として、2年以内にJDLAが認定している講座を受講する必要があります。
JDLAの認定講座を価格順でまとめてみました。
JDLA認定講座の比較表(価格順)
講座名 | 料金(税別) | 内容/日数 | 開催場所/受講形式 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
E資格対策 ディープラーニング 短期集中講座 |
¥78,000〜 | (事前学習)+E資格基礎講座 + E資格対策講座 + E資格模試 + 模試解説講座
4日間 |
会場受講(東京)、オンライン受講、eラーニング | 現役AIコンサルタントによるわかりやすい講義と、完全自社開発のカリキュラムで合格実績にこだわったプログラムに定評がある。 |
全人類がわかる ディープラーニング 体系講座 |
¥149,600 | 動画:計19時間 動画視聴期限:受講開始より1年間 |
eラーニング | オンラインで完結できるので、自分で学習を進めたい人におすすめ。 前提知識が不安な人には基礎講座セット(100,000円)もある。 |
AI人材育成長期コース | ¥237,600(給付金適用時)※給付金なしの場合¥792,000 | 入門コースから事前確認テストまで、さまざまなコースが存在する。動画視聴期間は無期限。 | eラーニング | 長期コース受講で全ての講座が無料。 |
Premium Plan E資格対策コース |
¥327,800 | 3ヵ月 | eラーニング | 安心の全額返金保証付き。何でも聞けるカウンセリングや転職相談サービスもある。 |
現場で潰しが効く ディープラーニング 講座 |
¥495,000 | 約41時間(応用数学6H、機械学習5H、 深層学習30H) | eラーニング | 前提知識として高校数学までの数学知識、プログラミング経験がなければ受講できない、上級者向けのハイレベルな講座。 |
おすすめ認定プログラム
E資格をはじめとしたAIに関連する講座は近年増加傾向にあり、さまざまな企業が講座を実施しています。しかし、AIという技術自体が新しい分野であることや、AIエンジニアになるために資格などは必要ないことなどから、内容が薄く質が伴わない講座も存在しているようです。E資格を受けるためのJDLA認定プログラムの価格は企業によって異なりますが、決して安くない費用をかけるのであれば、しっかりと学び、身につく講座を受けたいものです。
ここでは、わたしがオススメする認定プログラムを紹介します。
【AI研究所】E資格対策ディープラーニング短期集中講座
AI研究所は、AIをはじめとしたさまざまなテクノロジーを活用して企業の発展を助ける技術コンサルタント会社【株式会社VOST】によるAIのプロフェッショナル集団です。優れた技術をブラックボックス化させず、社会に広め実装していくという信念のもと、教育事業に進出しています。AIを生業としているからこそ、信頼感は絶大といえそうです。特別顧問に東大教授を迎えていることからも、しっかりと技術や教育に向き合う企業ということがわかります。
現役のAIコンサルタントが講師を務めるため、AIに関して深い理解とわかりやすい説明に定評があり、E資格合格実績は83.3%にも及びます。教材もE資格の最新シラバスを参考にブラッシュアップされており、E資格本試験対策も受けられるため、E資格受験に向けた学習はAI研究所の講座を中心に進めれば問題ないでしょう。
また、他社の講座では、前提知識がなければ受講できなかったり、内容についていくのが難しいものがありますが、AI研究所では初学者でも決して置いてきぼりにしない、きめこまやかなサポート体制が構築されています。
AI研究所が開催しているこの講義はサイトにも書かれているように、費用を抑えて最短で合格を目指せるセミナーです。
AI研究所さんは他にもAIのセミナーを開催していて、以前私も参加したことがあります。
背の高い講師の方の説明がとてもわかりやすく、セミナーを受けた後はE資格を一発で合格できました。
実務で使う際の実例も交えて説明してもらえるのでとてもおすすめです。
E資格を受けるメリット
製造業や物流、医療、小売、金融にいたるまで、今やAIはあらゆる業界で活用されています。ただ単に業務を効率化するというだけでなく、AIはそれぞれの業界を大きく発展させる重要なカギと認識され始めています。E資格では、AIを構築するために必要なディープラーニングに関する深い理解と的確に実装する知識が要求されます。これらの能力が確固たるものであることが内外に証明できるのは、E資格の大きなメリットです。
最近では、転職情報サイトなどでもAIコンサルタントの募集条件にE資格を挙げている企業も増えてきています。希望の会社への転職が容易になったり、勤務条件が優遇されたりする可能性もあります。
また、ITの世界で活躍したい人にとっては、AIは最前線の花形分野といっても過言ではありません。現に、経済産業省は第4次産業革命の担い手として、最先端技術を使いこなす高度IT人材の育成に積極的に取り組んでいます。
これからの時代に必要とされる人材となり、経済社会の新しい風に乗りたいと考えているならば、E資格の受験はまたとない学習と成長の機会になるはずです。
E資格はこんな人におすすめ
エンジニアやプログラマーの人で、周りよりも一つ抜きんでた存在になりたい人にはE資格はオススメです。すでにIT系の学校などでAIを学んでいたり、企業でAIに携わる機会がある人も、E資格を取得することで現在の知識や経験を確固たるものにできるでしょう。よく「AIに仕事が奪われ、人間の役割がなくなる」などという話を聞きます。今はまだそこまでAIの活用が進んでいる訳ではありませんが、近い将来AIに関してスキルがある人が重用される時代が来ることはほぼ確実です。
転職のため自分の市場価値を上げたいと考えている人や、新しい領域に挑戦し自分の人生を向上させたい人には、文句の付けどころがない資格といえるかもしれません。
E資格を実施している日本ディープラーニング協会(JDLA)とは
理事長は、東京大学大学院工学系研究科教授の松尾豊さんがつとめています。 日本で人工知能の第一人者として知名度が高く、『人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの』の著者であり、多くのメディアで発信をしている方です。 ディープラーニングに関する人材を育て、日本全体の産業競争力を活性化する目的で2017年6月1日に設立されました。 トヨタ自動車や東京大学などAIの最先端を走っている企業や団体も協賛して組織に所属しており、AI業界で権威のある協会になります。 そのため、企業へAIの導入が一般的になるにつれ、JDLAの認知度もあがり、E資格の社会的な影響力も大きくなっていきそうです。まとめ
あらゆる業界においてE資格の注目度は上がっており、今最もホットな資格といえそうです。AIがどんどん実用化していくなか、AIの仕組みや実装をしっかりと理解していることは、将来的に強い武器になるでしょう。E資格を受験するためにはJDLA認定プログラムを受講する必要がありますが、ここでしっかりとした知識を確実に身に付けることが合格への最短距離といえます。そのため、講座選びはとても重要で、自分に合った質の高い講座でなければE資格に合格するだけのスキルは身につかないかもしれません。
難易度が高く、ある程度の学習時間が必要な資格だからこそ、不安なく受講できる講座を探したいものですね。