はじめに
本記事はNECソリューションイノベータ Advent Calendar 2024の12/23の投稿となります。
普段はxR技術研究を行っています。
ふりかえり実践会さんが主催する『ふりかえり手法を試そう!』というイベントに参加したので、その体験をふりかえりつつ感想を書きたいと思います。
目次
ふりかえり手法を試そう!の会とは
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イベントサイトより引用
世の中には500を超えるふりかえり手法が存在します。
手法は「HOW」でしかないものの、手法をたくさん知ることで得られるものもたくさんあります。
- 新しい手法をためそうにも現場でいきなり投入するのは怖い
- 面白そうな手法だけどやってみるシチュエーションが浮かばない
そんな手法たちを、この場で試してやってみましょう。
みんながやりたい手法、お待ちしています。
試したふりかえり手法
Blokus
- やり方
Blokusという陣取りのボードゲームが由来の手法です。
自分の付箋の色を決めてコメントを書きます。他の人のコメントに対して自分のコメントを追加すると、そのコメントは自分の色になり、陣地を広げていきます。
最後に最も陣地が多かった人が勝者となります。
- 感想
「陣地を広げねば」という焦りが、「こんなくだらないコメントしても意味がないかもしれない…」という躊躇を和らげてくれました。
書いたコメントを共有する時間が設けられていたのも良かったです。
この手法はその後にチームのふりかえりでも試してみました。テーマなしで進めるイメージがつかめなかったためYWTと組み合わせてみましたが、チームメンバーからはゲーム感覚で楽しく行えたとの感想をもらいました。
付箋の質より量を重視する時に使える手法だと感じました。
クネビンフレームワーク
- やり方
問題を、単純・困難・複雑・カオス・無秩序の5つに分類する手法です。
- 感想
参加者それぞれが持つ問題のレベル感や性質を同じ土俵にあげて分類することで、問題の解像度に対する共通認識がもて、アクションを考え始める手がかりになると感じました。
先送りにして考えないようにしていた億劫な問題も、整理がつくことで向き合う気になれるかもしれません。複雑なので今は一旦置いておく、と判断するといった優先順位を決めることにも役立ちそうです。
5つの分類の意味を正確に理解し、説明できるようになるのが難しいと感じました。
セイルボート
- やり方
絵を使ってアイデアを引き出す手法です。例えば船に乗っている人をチームメンバーと見立てて以下のように考えます。- 追い風 : チームを加速させたもの
- 碇 : チームを減速させたもの
- 岩礁 : 起きたら嫌なこと
- 島 : チームの目指すゴール
- 感想
参加者の皆さんがイカやタコなど好き勝手にファクターを描きだしていく感じがとても楽しかったです。こういったイベントに参加される方はふりかえりに慣れている方が多いため、自由に楽しめたのかもしれません。
この手法は以前実施したことがありましたが、絵は用意されたものではなくみんなで描いた方が雰囲気作りに良いのでおすすめです。自分は絵が得意ではありませんが、ファーストペンギンになり下手な絵を書くことでハードルが下がりみんなも描き始めてくれました。
KPTに似ている点もありますが、メタファーが意見を出しやすくし、チームの目指すゴールからアイデアを出せる点が、長期間のふりかえりにも適していると思いました。
Lean Coffee
- やり方
アジェンダのないミーティングで、始めに各自が話したいテーマを出し合い、投票で議論の優先順位を決めながら進める手法です。
- 感想
自分が出したトークテーマについてみなさんから反応やアドバイスをいただけたのが嬉しかったです。
また、テーマ出しは一人X個までと制限をかけることで偏りを減らしたり、投票時に順位に応じた投票数を設定することで投票数にばらつきを設けるテクニックを学びました。
過去に闇鍋(話したいテーマをランダムに決める手法)は実施したことがありますが、ルールがある分Lean Coffeeの方が難しそうなイメージでしたが、慣れるとそうでもないかもしれません。
一言チェックイン(亜種)
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やり方
テーマを決めて一言ずつ話す手法です。
例)漢字2文字で今週の気持ちを表す -
感想
実際に行ってみるとそれほど難しくありませんでした。話した内容について深く議論することが目的ではなく、全員が発言することがウォーミングアップとして重要だと気づいたので、軽い気持ちで行えそうです。
考える時間をあえて短くすることで、発言時のハードルが下がり良いと感じました。
あたりまえ探し
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やり方
COWCOWさんのあたりまえ体操を全員で見たあと、チームにとっての「あたりまえなこと」を付箋に書き出す手法です。 -
感想
動画をみんなで観ている時間がシュールですが、これにより「あたりまえ」のハードルがかなり下がるため観た方がよいです。
場作りの手法ですが、他の手法と組み合わせることで出てきた「チームにとってあたりまえなこと」から次のアクションに繋げることも可能かもしれませんが、具体的なイメージは特に湧いていません。
象・死んだ魚・嘔吐
- やり方
以下を共有してチームの課題と向き合う手法です。- 象:誰もが認識しているが口に出さない問題
- 死んだ魚:放っておくと大変なことになる問題
- 嘔吐:胸の中に秘めている問題
- 感想
まず手法の名前が面白いです。
イベントの場では面識のない方たちだからこそ吐き出せる内容もありましたが、チーム内で行うには少し勇気のいる手法かもしれません。
「吐くだけ吐いて、何も生まれなかったらどうしよう」という不安はあります。
出てきた問題を一度に解決するのは無理なので少しずつ改善していけば良い、という共通認識をもったうえで、何か次のアクションのアイデア出しにつながる流れを考えておくのが良いと感じました。
焚き火
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やり方
焚き火の音を流しながら、ふりかえりを行う手法です。 -
感想
非常にシンプルですが、沈黙が続いたときに「何か発言しないと...」というプレッシャーが減る気きがします。
焚き火以外にも思考を邪魔しない音楽を流すのも良いかもしれません。
そもそも会社の会議でBGMを流すという発想がなかったので、もっと自由に行って良いのだと気づかされました。
まとめ
まず、ファシリテーターのお二人(森さん、なんぶさん)のリラックスした雰囲気もあり、ほぼ初めての手法でしたが緊張せず参加できました。マイクのON/OFFも自由で、参加方法が柔軟でとても参加しやすかったです。
自分のような初対面の人が多い中での進行は難しいと思いますが、発言を強制せずに、発言しやすい雰囲気をつくっているファシリテーション力に感心しました。
このような機会を提供していただいたことに感謝しています。
また、イベント中に森さんが「ふりかえりが設計通りに進んでも意味がない」とおっしゃっていた言葉が印象に残っています。新しいアプローチや思いがけない状況の中でこそ、本当の成長や気づきがあるのだと理解しました。いつかはイレギュラーな状況を楽しめる余裕をもち、自由なふりかえりができれば良いなと思いました。