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AWS 請求関連の仕様あれこれ

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こちらは Makuake Advent Calendar 2021 の記事です。

ごあいさつ

どうも、2021年5月に株式会社マクアケに入社いたしました dev.aoki と申します。
SRE チームに所属しております。

マクアケでは、2013 年からアタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake (マクアケ)」というオンラインプラットフォームを提供しています。
https://www.makuake.com/

マクアケの SRE チームでは Makuake を支えるクラウドインフラの運用タスクや、監視整備、Developer Experience 向上に関わる施策を行っています。その中で直近では AWS のアカウント整備とコストの最適化に関わるタスクを行っていました。今回はその調査や運用で知った、ちょっと気付きづらかった AWS 請求関連の仕様についてご紹介いたします。

1. リザーブドインスタンス / Savings Plans の前払い分の請求について

コスト最適化では、リザーブドインスタンスや Savings Plans といったコミットメント購入の活用は定番の施策だと思います。インスタンス単位での購入とコミットメント時間単位での購入という内容の違いはありますが、どちらも事前に利用期間を確約してディスカウントを受ける仕組みです。

支払いのオプションはどちらも 全額前払い / 一部前払い / 前払いなし の中から選択でき、 前払いなし 以外を選択した場合には購入タイミングに前払い料金が発生します。

この料金ですが、 請求に関するドキュメント を読むと以下のように記述があります。

AWS の使用料金および基本料金に関する請求書が毎月送付されます。全前払いのリザーブドインスタンスの購入などの 1 回払いの料金は、ただちに課金されます。

つまり、その日に前払い料金の請求が作成されるという挙動で、 **クレジットカード払いならそのタイミングで支払い、請求書払いならそのタイミングで支払いダッシュボードに請求書が発行されます。**この文章だと誤解してしまいそうですが、月末の請求にまとめられる訳ではないので注意が必要です。請求・支払いのタイミングは社内経理部門の関心ごとでもあるので、前払い料金が発生する場合は、購入時点ですぐに連携するのがスムーズですね。

2. 前払いのサポート料金について

AWS のサポート料金は、利用料金に対する割合で算出されます。AWS におけるサポート料金 に記載にありますが、たとえば ビジネスプラン の場合は以下のような計算になっています。

ビジネス
100.00USD

– または –

毎月の AWS 料金の最初の 0--10K USD の 10%

毎月の AWS 料金の 10K--80K USD の 7%

毎月の AWS 料金の 80K--250K USD の 5%

毎月の AWS 料金の 250K USD を超える分の 3% の高い方

e.g. 月額費用が $15,000 だった場合

算出基準額:
  $15,000

ビジネスサポート料金: 
  ($10,000 * 0.1) + ($5,000 * 0.07) = $1,350
    ※ $100.00 より大きいのでこちらが適用される

ここで 毎月の AWS 料金の とありますが、計算の基準額になるこの値、リザーブドインスタンスや Savings Plans の前払い料金も 含まれます。
当然の話ではあるのですが、前述の通りコミットメント購入の前払い金額は月次の請求書とは請求書が分かれているため、明細だけ見ると謎にサポート料金が跳ね上がっているように見えます。

e.g. 月額費用が $15,000 、リザーブドインスタンス $100,000 を全額前払いで購入した場合

算出基準額:
  $15,000 + $100,000 = $115,000

ビジネスサポート料金:
  ($10,000 * 0.1) + ($70,000 * 0.07) + ($35,000 * 0.05) = $7,650

このケースの場合、月末の請求書にはリザーブドインスタンスの $100,000 が現れてこないのですが、月内に発生した請求内容を含めると計算が合うはずです。また、AWS のコスト管理ツールの Cost Explorer も、月内の発生コストは分割されずひとまとめに現れてくるので、こちらを確認するのもいいでしょう。

3. 月末の請求書について

2021 年 11 月 1 日より、日本国内の請求書払いのアカウントは支払先が AWS Inc. から AWS Japan に変わりました。 2022 年 2 月 1 日からは全アカウントが移行するようです。日本国内にある企業にとっては送金が日本円で国内送金にできるので嬉しいアップデートですね。

(参考)

1.     アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社とは何ですか?

2022 年 2 月 1 日より、アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社(AWS Japan) が、
Amazon Web Services, Inc. (AWS Inc.) に代わり、日本国内の全てのアカウントに対する新しい AWS クラウドサービスの契約当事者となります。
したがって、日本国内のすべてのアカウントは AWS Inc. ではなく、AWS Japan からクラウドサービスを購入することになります。
日本国内の請求書払いのアカウントは、2021 年 11 月 1 日に、既にAWS Japan に移行されています。

この結果、請求書は基本的には AWS Japan に対する支払について記載されたものが届きます。ですが、実は 一部 AWS Inc. の提供が継続されるサービスがあります

(参考)

17.      カスタマ―エンゲージメントおよび通信関連サービス (Chime/Connect/SNS) はどうなりますか?

Amazon Connect と AWS GroundStation は AWS Japan から販売および請求されます。
Amazon Connect、Amazon Pinpoint、Amazon SNS、Amazon SES、Amazon Chime、
Amazon WorkDocs、Amazon WorkMail の各サービスは、引き続き AMCS LLC から販売され、
AWS Inc. から請求されます。
26.      引き続き AWS Inc. から請求されるサービスは他にありますか?

AWS Marketplace やカスタマーエンゲージメントおよびコミュニケーションサービスに加えて、
AWS Elemental MediaConnect が引き続き AWS Inc. からの請求対象となります。

当該アカウントでこれらサービスを利用している場合、これらについてのみ請求が別にまとめられ、 AWS Inc. からの請求書が作成されます。つまり 月末に請求書は 2 種類届きます。 AWS Inc. の請求書は InvoiceTax Invoice がそれぞれ発行されるため、このパターンで送付されてくる書類は 3 通 です。

  • AWS Japan の請求 x 1 通 (Invoice と Tax Invoice が統合されている)
  • AWS Inc. の請求 x 1 通
  • AWS Inc. の Tax Invoice x 1 通

(AWS Inc. で Tax Invoice が発行される理由は こちら に記載があります。)

Q9: なぜ 2019 年 10 月から Tax Invoice を受け取ることになったのですか?

A9: 2019 年税制改定において国税庁より請求書に関する要請があり、これに応じたものとなります。詳細については下記国税庁のウェブサイトをご参照ください。https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/01_5.htm

なかなかややこしいので、きちんと把握して経理と連携しておかないといけませんね。

終わりに

請求関連の仕様は、運用に乗ってしまった後からエンジニアが意識することは少ないため、なかなか珍しい知見を得ることができました。このあたりの仕様がわからなかったとき、AWS サポートプランに入っている場合には (法人の場合は多くの場合入っているでしょう) サポートを活用するのがいいでしょう。ドキュメントを読み込んでも不明点は多く出てきたので、私は AWS のサポートに頻繁に質問をしましたが、丁寧に教えていただけました。

現在のチームでは、 AWS に限らず、様々な未経験分野の作業を経験できています。
株式会社マクアケでは未知の領域にチャレンジする意欲のある、一緒に働いてくれるメンバーを絶賛募集中です。
ご興味ある方はぜひご連絡ください。

それでは、楽しい開発ライフを!

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