ACMのInternational Conference Proceedings Series(ICPS)とは??
学術目的の国際会議のオーガナイザーが,プロシーディングスを出版するときに使える有料のサービスです(個別の論文の出版ではありません).2018.3現在,下記の料金で利用が可能です.小規模の会議に有利になるかも.
https://www.acm.org/publications/icps-series
参考までに私が担当したCEA2017はこんな感じで公開されています.
2018年7月以降に出版予定のものは下記の料金になるようです(2018年3月現在の情報).
Incidental charges include the following:
a) Non-refundable application fee: US $50
b) DOI registration fee: US $1 per article published
c) iThenticate plagiarism detection fee: US $0.55 per accepted article
d) Library of Congress Proceedings Registration fee: US $80 per proceedings volume
e) ISBN acquisition and registration Fee US $1.50 per proceedings volume
ざっとですが,日本語にすると下記のような感じでしょうか?
a. 応募費用(返却されない) $50
b. DOI番号(論文毎に割り当ててくれる)の登録費: 出版される論文1篇あたり $1
c. 盗作・剽窃のチェックソフト(iThenticate plagiarism)による検出費用: 採録論文1篇あたり $0.55
d. "Library of Congress Proceedings"への登録費用: volumeあたり $80
e. ISBNの獲得・登録費用: volumeあたり $1.50
2017年度までは,確か20篇以下の場合でも一律$500という料金設定だったので,かなり安くなったような印象です.
利用するモチベーション
国際会議などで,プロシーディングスを出版する場合,ISBNがつくかどうかなどによって投稿の価値が大きく変わります.また,ACMから出版されているということで,怪しい営利目的のものではなく,学術目的だとある意味で権威付けを受けることができます.このことは投稿件数に顕著に影響するでしょう.
また,そもそも自分で公開し,管理するのはかなり難しいので,その点でも最初に一度お金を払ってしまえば,あとは未来永劫管理してくれるという点でも非常に有用なサービスだと思います.
それから,これも重要だと思いますが,ACMのtex templateを利用できます.下記はCEA2017におけるAuthor Instructionからの抜粋です.
The proceedings of CEA2017 will be published in the ACM Digital Library within its International Conference Proceedings Series. All papers must be written in English and should be formatted using the ACM proceedings templates.
NOTE: Authors of CEA2017 must use the "sigconf" proceedings template.
NOTE: CCS code generation support tool is available here
作業のハマりどころ
利用手順の詳細についてはICPSのinstractionを参照して下さい.ちょくちょく更新されるようです.
非常に大まかに出版までの流れを書くと,以下の作業があります.
- Web formから申し込んで審査を受ける
- 原稿を集める(easychairとかmicrosoft cmsとかを利用する)
- プロシーディングスのメタ情報を作成し,公開準備をする (csvファイルを作る)
- 支払を行う(国際送金が面倒であれば,クレジットカード払いもメールベースで対応してもらえる)
(支払のタイミングについて,CEA2017のときは投稿件数確定後に支払でしたが,新しく出来たapplication feeについては支払タイミングは不明です.)
また,注意することは下記の2点です.
A. 2に関して,カメラレディ原稿において,著者自身にISBNやDOIの情報を入れてもらうことを忘れると,オーガナイザがtexをコンパイルする,という作業をする羽目になります(私はなりました).
(いずれにしても,カメラレディのlatex sourceは提出を求めるべきでしょう.)
B. 全著者に対して,ACMのcopyrightsポリシの確認が完了しないと出版してくれません.なので,CfPの段階で,それの対応をしない場合は出版がされない(当日の発表ができるかどうかは敢えて明記せず)などの文言を入れる必要があります.
下記はCEA2017において著者に連絡した内容です.
#After Acceptance
All accepted authors must submit the "ACM rights management form", which will be sent to the authors after the acceptance notification. An accepted paper will not be published in the proceedings if the authors do not submit this form by July 10th.
気づいたこと,情報の誤り,改善案などWelcomeです.