はじめに
- スマホで撮った写真のバックアップを取るため
- スマホとPCでファイルを共有するため
- 多人数でファイルをシェアするため
上記の理由で、DropboxやGoogle Driveなどのクラウドサービスを使う方は多いと思う。
一方で、外部サービスである以上突如無料で使える枠に制限がかかったり、セキュリティの面で問題が発生するなど心配事も多い。
そこでご提案したいのが、クラウドにデータをアップするのではなく、持っているデバイス間でファイルを共有・同期するソフトの導入である。サーバ構築ほどの手間はかからず、容量の上限=端末容量の上限となるため、クラウドに課金するよりも安く済むことも多いだろう。
ここでは、筆者が日常的に使用している Syncthing と Resilio Syncについて紹介・比較する。どちらも、基本的には無料で使えるソフト・サービスとなる。おうちクラウドならぬ、おうちP2Pだろうか?
なお、今回は家庭内LANで同期させることを前提にしている。
ファイル共有ソフトの紹介
Syncthing
「Syncthing」は、インターネットを介して複数の端末のローカルフォルダーを同期できる無料のツール。第三者の管理する中央サーバーを介さずに済むため、プライベートなデータを共有したい場合に向いている。通信が完全に暗号化されている点や、開発がオープンソースで行われている点なども安心できる要素と言える。幅広いプラットフォームに対応しているのも魅力。
「Syncthing」複数の端末のローカルフォルダーを同期できるツール - 窓の杜
Resilio Sync
Resilio Sync(レジリオリンク)、旧名称 BitTorrent Sync(ビットトレントシンク)は、Resilio, Inc.により提供されているP2Pファイル同期ソフトである
利点と欠点
まずは何と言っても、端末の容量がある限りは無料で使えるのが利点。特に電子書籍はファイル容量が大きくなりがちなので、AndroidにさしているmicroSDとPCで同期させている。
また、例えば家族とファイル共有を行う場合、クラウドサービスの場合はアカウント作成が必要になるが、ソフトを入れて設定をするだけで使えるようになるのも利点だろう。家庭内共有としてはownCloudなども選択肢になると思うが、別途サーバや設定が必要になる。
なお、ファイル共有ソフトの欠点としては、同期する端末双方がアクティブになっている必要があるということだろうか。これを解決するために、(前述した利点とは矛盾するが)別途サーバーなど常時起動しているマシンにソフトをいれるというのもおすすめだ。筆者はRaspberry PiにSyncthingとResilio Syncを入れているが、ownCloudほど面倒でないし低スペックでも十分使えている。
比較
Syncthing | Resilio Sync | |
---|---|---|
対応OS | Windows, macOS, Linux, Android, Solaris, Darwin, BSD | Windows, Mac, Linux, Android, iOS, Windows Phone, Amazon Kindle Fire, FreeBSD |
e2e | ○ | ○ |
OSS | ○ | × |
無料か? | ○ | △ (一部有料) |
日本語化 | ○ | ○ |
ソフトは日本語対応しているがドキュメントは英語。
どんな用途におすすめか?
iPhone/iPad で使うなら?
→ iOS に対応している Resilio Sync
Linux で使うなら?
→ 私の環境では、Resilio SyncをLinuxで使うとパーミッション関係がいろいろ面倒だったため Syncthing を推す。
家族で使うなら?
→ Resilio Sync の方がシンプルで分かりやすい。Syncthingはまずデバイス同士を登録したのちに同期するディレクトリを選ぶが、Resilio Syncは同期元でQRやURLを同期先で登録すればよい。同期元では同期先でファイルの編集を許可するか決められるのもポイントが高い。また、Resilio Syncは基本的にソフト1つを入れれば使用できるが、Syncthingは同期のためのソフトと設定変更のためのソフトが分かれている(またはWeb GUIを使用する)。
細かい設定を使いたいなら?
→ Syncthing は、ファイルのバージョン管理方法等細かい設定ができるように感じた。なお、Resilio Syncも「パワーユーザー向け環境設定」でいろいろと設定できるようだ。
選択型同期を使いたいなら?
→ 「選択型同期」とは、同期先が同期元のどのファイルをダウンロードするか選べる機能を指す。 Resilio Sync はこれに対応しているが、Windows版は有料版でないと利用できないようだ。iOS版とAndroid版はなぜか無料でも使えている。
未来へ
色々なサービスに手を出しては使わない、を繰り返しがちな私でも、この2つのサービスはないと困る程度には利用している。特に、使用用途が限られるRaspberry Piもこれらの導入で活用できており、「アナログ画像をPCでスキャンする→Resilio SyncでRaspiに同期→Raspiで自動的にファイル変換→他の端末に同期」という、回りくどい使い方で利用中だ。今後も、何かしら活用法が見つかったらアップデートしていきたい。