きっかけ
「なぜネット全盛の時代に DVD なんかを・・・?」
DVD を作る必要が出たのは、親戚の結婚式のためでした。披露宴で流したい動画 (スライドショーなど) があり、それを渡すにあたり結婚式場からは「DVD に焼いて渡してほしい」とのこと。
「HDMI とかつなげて、スマホや PC から流せませんか?」と聞いてみるも、やはり DVD でほしいとのこと。
そんなオンボロな機器しか無いんか・・・?なんて思いつつ、渋々 DVD 作りにとりかかることに。
なお、父からは「他人の機器を使うと進行が滞るかもしれないから、安定して動かせる方法が良いんじゃない?」と冷静な見解。確かに、急に動かなくなるかもしれん他人の機器は使いたくない。
フリーの DVD 作成ソフトを使うのも手ではありますが、Linux コマンドで片付けようと無駄に変なルートで走ることにしたのでした。
DVD に対応した形式に動画を変換
まずは動画ファイルの下処理。
現代のフル HD MP4 動画ファイルを DVD に突っ込んで再生できるかというと、できません。DVD に対応した画質やフォーマットに変換してやる必要があります。フォーマットは mpeg、解像度は 720x480 といった、DVD プレーヤーに対応するための調整は、-target
オプション一つで解決。
ffmpeg -i input.mp4 -target ntsc-dvd -aspect 4:3 output.mpg
アスペクト比は自動でセットしてくれません。-aspect
でセットします。
無くても進められますが、dvdauthor
コマンド実行のとき、動画 1秒あたり 1行?のペースで以下のような warning を山ほど吐かれます。
WARN: unknown aspect ratio 1
基本はこれだけです。ただ、例えば 16:9 の動画ファイルをそのまま上のように処理してしまうと、4:3 に縮められて細長い画になってしまいます。親戚から私に送られてきたスライドショーの動画は、解像度が正方形でした。
この対処法として、左右または上下に黒帯を入れる手があります。これには ビデオフィルタ pad が使えます。解説記事は十分出回っていますので、私が参考にした記事を貼るだけでここでの解説はカットします。
dvdauthor でオーサリング
次に、用意した動画ファイルを DVD プレーヤーが読み込めるよう、決まったファイル構造にする (オーサリングする) 必要があります。それをやってくれるツールの一つが dvdauthor
です。
ソースコードが配布されており、バイナリは配布されていないので、自力でビルドします。
autotools で簡単・・・と思いきや?
cd <ソースを展開したディレクトリ>
autoreconf
You must have libxml2 (>= 2.6.0) installed
autom4te: error: /usr/bin/m4 failed with exit status: 1
aclocal: error: /usr/bin/autom4te failed with exit status: 1
autoreconf: error: aclocal failed with exit status: 1
どうも上手くいきませんでした。ライブラリ不足だということであれこれインストールするなど 1時間ほど格闘しましたが、解決せず。
Windows 版はバイナリを配布してくれているので、これを使うことにしました。普段は Linux Mint 作業のところ、仕方なく Windows を起動して作業。
まずは設定ファイルを用意。
<dvdauthor>
<vmgm />
<titleset>
<titles>
<pgc>
<vob file="video1.mpg" />
<vob file="video2.mpg" />
</pgc>
</titles>
</titleset>
</dvdauthor>
ここでは author.xml
というファイル名で、同ディレクトリに必要な動画ファイルも入れてあることとします。そうしましたら、あとは以下のコマンドを実行。
dvdauthor -o dvd_out -x author.xml
指定した出力先ディレクトリ、上の場合は dvd_out
内に AUDIO_TS
と VIDEO_TS
フォルダが作られ、VIDEO_TS
内に xx.VOB
みたいなファイルが細々入っていれば OK。
cd dvd_out
dir
ドライブ C のボリューム ラベルがありません。
ボリューム シリアル番号は XXXX-XXXX です
C:\Users\...\dvd_out のディレクトリ
2025/07/19 12:21 <DIR> .
2025/07/19 12:21 <DIR> ..
2025/07/19 12:21 <DIR> AUDIO_TS
2025/07/19 12:21 <DIR> VIDEO_TS
0 個のファイル 0 バイト
4 個のディレクトリ ..,...,...,... バイトの空き領域
ディスクに焼く
ISO に変換して焼く方法もあります。が、わざわざ一旦 ISO にする必要もなく、また Windows Explorer だけでできましたので、それを紹介します。
空の DVD をドライブに入れ、そのドライブに対して AUDIO_TS と VIDEO_TS をドラッグ&ドロップします。
先ほど作った ISO ファイルをドラッグ&ドロップ (書き込み) しては、書き込めはしますがビデオ DVD として作用しません。(1敗)
準備はこれだけ。あとは右クリックメニューで 'ディスクに書き込む' を実行して完成。
余談1 - 簡単なタイトル映像も加えて
DVD ディスクメニューも dvdauthor で作れるようでしたが、やり方が理解しきれなかったので断念。DVD 作成ソフト使えば困らないだろうに。
メニューは諦め、代わりに各動画頭に以下のようなタイトル表示静止画を 3秒ほど加えることにしました。
余談2 - いざ結婚式当日・・・
さてさて、期日ギリまでサボったツケがまわって、その上想定外に手こずった結果、夜 1時近くまでかかっちゃった DVD、それがいよいよ流れるときだ。
・・・ん、あれ?タイトル静止画再生された?え、なんか全然違う編集入ってる?あ、再構成して流す感じだったんだ・・・
じゃあ動画ファイルさえ渡せればよかったってことじゃん!なんで DVD だったの!?クラウドストレージとかあったでしょうよ!!!
叫びたくなりましたが、華やかな席でそんなこと言うわけにはいかず、私一人黙ってモヤモヤする披露宴となったのでした。