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Microsoft Build Japanセッションレポート【【Keynote】 Microsoft Cloud で切り拓く 開発者のための次世代 AI】

Last updated at Posted at 2024-07-01

はじめに

2024年6月27日(木)に開催された「Microsoft Build Japan」Day1にオンラインで参加しました。

本記事は、セッション「【Keynote】 Microsoft Cloud で切り拓く 開発者のための次世代 AI」の内容についてサマリを記載します。

イベント概要

「Microsoft Build Japan」は、米国で5月に開催された年次開発者会議「Microsoft Build」の最新情報と日本独自のコンテンツを日本の開発者向けに提供するものです。

1. Microsoft Copilotの進化

  • Team Copilot
    • 2024年後半にプレビュー予定。Teams会議のメモ生成やチームコラボレーションの促進など、AIがチームの一員として機能。
    • グループチャット内に「共同作業者」としてCopilotを追加することで、チャットや会話の中で、全員が情報やインサイトを共有しながらCopilotにこれまでの会話や、共有ドキュメントへの質問が可能(チームの一員として対話ができる)
    • Copilotを「プロジェクトマネージャー」として追加することで、プロジェクト計画作成や、タスクの完了の更新、チームメンバーに通知などを代わりに行ってくれる。
  • Copilot extensions
    • エージェントとしての機能を提供
    • 例:SharePoint Online上のドキュメントをベースにしたCopilotの迅速な開発などが可能になる。

2. Copilot+ PC

生成AIやディープラーニングに特化したNPUを搭載したPCが登場します。
Copilot+ PCの新機能のデモが行われたので、簡単に紹介します。

クリエイティブフィルター

  • アニメーション風の画像加工が可能
  • 目線補正機能:カメラを直接見ていなくても、相手にはカメラ目線に見えるよう調整

オンライン会議で活躍しそうな機能でした。

Copilot搭載ペイント

  • ペイントのキャンパスに手書きでイラストのベースを描画し、イラストの説明をテキストで入力すると、生成AIがそれらの情報を基にイラストを自動生成

簡単に描いたベースのイラストから、本格的なイラストを生成できます。

リコール機能

  • デスクトップ上の作業をスクリーンショットとして自動保存
  • 過去のスクリーンショットをキーワード検索可能
    • 例:以前保存したファイルの場所が不明な場合、関連キーワードで検索してコンテンツを特定
  • セキュリティ機能
    • すべてのスクリーンショットは暗号化される
    • 特定のアプリやウェブサイトのスクリーンショット除外設定が可能
    • 組織単位での使用制限設定も可能

キーワードで検索できるため、曖昧な記憶しかなくても必要な情報をすばやく探し出せる確率が上がりそうです。

3. 日本企業のAI最新活用事例

株式会社セブン銀行様

  • 全体戦略

    • 現在:CX(カスタマーエクスペリエンス)部門が主導
    • 将来:全社的なAI・データ活用を目指す
    • 目標:各部署が自律的にAI・データを活用できる体制の構築
  • 主な活動内容

    • AI・データ分析(データサイエンティスト部門)
      • ATM設置最適化:利用頻度の高い場所の予測
      • 現金需要予測:ATMの効率的な現金管理
    • 生成AI(生成AIチーム)
      • 内製チャットボットの開発(約100名の社員が使用中)
      • コンタクトセンターPoC:顧客とのチャットログのAI要約
    • 社内人材育成(DMO)
      • データサイエンスプログラム:社員の自主参加型研修
    • ATM接客PoC
      • 音声認識・合成技術を活用した顧客対応
      • RAG(Retrieval-Augmented Generation)技術の導入
        ※RAG(Retrieval-Augmented Generation)とは:大規模言語モデル(LLM)の性能を向上させるための手法です。簡単に言えば、AIに「外部知識」を参照する能力を与えるものです。(参考:Azure AI Search での取得拡張生成 (RAG)
        image.png
  • 成功のための重要ポイント

    • 目的志向:AIやデータ活用は手段であり、明確な目的設定が重要
    • ビジネス貢献:技術導入が実際のビジネス価値につながることを重視
    • 統合的アプローチ:生成AIと他のソリューションの組み合わせによる相乗効果
    • 体系的な問題解決:課題設定 → ソリューション → 適切な技術 → リソース配分(どこにあるか、誰と作るか)
    • 挑戦的文化:「まずはやってみる」という姿勢を重視

株式会社NTTデータ様

  • Azure上で自社開発のLLMを提供予定。
  • 日本企業初のAzure上での独自モデル提供。

経済産業省様

  • 日本国内の基盤モデル開発力を底上げするため、GENIACというプロジェクトを立ち上げ。
  • Generative AI Accelerator Challenge(GENIAC)とは:計算資源の提供、利活用企業やデータホルダーとのマッチング支援、 グローバルテック企業との連携支援やコミュニティイベントの開催、 開発される基盤モデルの性能評価を実施するプロジェクトです。

4. Microsoft Fabric の最新アップデート

リアルタイムデータ分析と統合の強化

  • Real-Time Intelligence in Microsoft Fabric
    • パブリックプレビュー
    • リアルタイムデータ活用(取り込み、分析、監視、運用)が可能に
    • 拡張されたデータ取り込み:OneLakeに加え、Real-Time hubへのストリームデータの高速取り込みの仕組み
    • 即時分析機能:Real-Time Intelligence機能により、リアルタイムデータの即時分析が可能に
    • AIによる分析支援:生成AIを活用し、自然言語での指示だけで分析やグラフ作成が可能
  • Microsoft Fabric Workload Development Kit
    • パブリックプレビュー
    • 自社開発のSaaSやアプリケーションにFabricをシームレスに統合可能
  • Better Together: Azure Databricks との連携推進
    • OneLake上でのデータ共有により、両プラットフォーム間のデータ連携がスピーディーに
  • Apache Iceberg
    • Delta Lakeフォーマットに加え、Icebergフォーマットとのサポートが可能に

5. インフラ関連のUpdate

  • 生成AI開発に最適化されたプラットフォームの提供
  • AIチップの新情報:
    • Azure Cobaltがパブリックプレビュー
    • Azure MaiaはAzure OpenAI Serviceワークロード向けに開発進行中

6. GitHub Copilotの拡張

  • GitHub Copilot Workspace
    • Copilotがソースコードの修正箇所、どこにプルリクエストを出せばよいかなどを教えてくれる
  • GitHub Copilot Extensions
    • 様々なサードパーティー製システムと、GitHub Copilotを連携して動作するサービスを拡張
    • GitHub Copilot for Azure:アプリをデプロイしたコンテナが今どういう状態か、エラーは出ているか、どう対応すればよいかなどをプロンプトで質問可能
    • 開発スピード向上、生産性の向上、利用者の体験向上を目指せる
  • マルチモーダルCopilot
    • 近日提供開始
    • Copilot利用者と一緒にリアルタイムにミーティングに参加し、見る・聞く・話すことができるエージェント型アプリをCopilot Studioで開発可能になる
      ※マルチモーダルとは:マルチモーダルとは、テキスト、画像、音声など複数の形式の情報を同時に扱う技術のことです。 (参考:誰もが知っておくべき 10 の AI 関連用語

7. AI安全性への取り組み

Azure AI Content Safety

生成AIを安全に保護・利用できるセーフガード機能が大きく強化されます。

  • カスタムカテゴリ
    • 近日サービス開始
    • 特定のコンテンツフィルターニーズや自社AIポリシーに合わせた生成AIアプリ用のカスタムフィルタの展開
  • プロンプトシールド
    • プレビュー
    • 悪意あるユーザーによって想定しない動作や不正アクセスを目的としたプロンプト攻撃を監視・検出が可能
  • 根拠性検出
    • プレビュー
    • モデルの回答においてユーザーが提供するソースの資料に基づいていた回答かどうか、根拠となるソースを検出可能

感想とまとめ

AIテクノロジーの急速な進化と、それが企業や社会にもたらす変革の大きさを改めて実感させるイベントでした。

日本企業の事例紹介では、AIの実践的な活用方法と、それによってもたらされる具体的な価値が明確に示されました。これらの事例は、AI導入を検討する上で非常に参考になるのではないかと思います。

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