この本を一言でいうと

この本は「アジャイルな組織の作り方」をストーリーで学べる本です。

はじめに

ウォーターフォールとアジャイルは
ITの世界における、物事を解決するために存在する開発手法です。
このふたつの開発手法には、それぞれの「仕事の進め方」が存在します。
ウォーターフォールもアジャイルも、解決手法でしかないのに
お互いがお互いの「べき論」を主張するあまり
相手を打ち負かすことが目的となってしまうのです。

完璧主義を押し付けるのではなく
「いいとこどり」でそれぞれのメリットを柔軟に取り入れていけば
私たちはもっと幸せになれるかもしれません。

そもそもアジャイルって何？

アジャイルとは、日本語では「俊敏な」「機敏な」といった意味を持ちます。
ビジネスやIT分野では、特に変化に柔軟に対応し、
迅速に価値を生み出すことを目指す開発手法や組織運営の考え方を指すことが多いです。

アジャイルはいつ生まれた？

アジャイルとは、2001年に17人のソフトウェア開発者たちによって生み出された考え方です。
開発の賢人たちが議論を進めた結果、以下のアジャイルソフトウェア開発宣言が生まれました。

アジャイルソフトウェア開発宣言
(前略)
プロセルやツールよりも　個人と対話を
包括的なドキュメントよりも　動くソフトウェアを
契約交渉よりも　顧客との協調を
計画に従うことよりも　変化への対応を
価値とする。
(後略)

どうやって始めたらいい？

アジャイル開発を始めるには、4つの視点を考慮することがポイントです。

視点	内容
チーム	日々一緒に働く・信頼する・意欲に満ちた人々で構成する
プロセス	定期的な振り返り・短い間隔でリリースする・一定のペースを維持する
プロダクト	ムダなくつくれる量を最大限にする・動くソフトウェアが進捗の尺度
顧客	顧客満足度を優先・要求変更を、後期でも歓迎する

以上の4つの視点を考慮しながら、アジャイル開発に着手していきましょう。

カイゼンしていくには、どんな方法がある？

アジャイル開発の中で、プロジェクトを改善していくには
まずは問題に合意することが重要です。

そしてアクションを小さく短く少なくしていくことで、
成功事例を溜め込んでいきましょう。

アクションの実例
適用する範囲を限定する
少人数で行う
短期間で結果が出るものにする
フォロワー（メンバー）と一緒に始める
頻繁に褒め合い、鼓舞しつづける
小さな気づきや発見を楽しむ

もっと！成長していくにはどうすればいい？

心理的安全性を確保する

・対面の関係から横並びの関係になる
・命令から、支援するリーダーシップに変化する
・現場のストレスや時間ロスを削減していく
・心の距離を縮めることを意識する

共通のゴールを設定する

・承認を得ていくため、相手の最大の関心事との橋渡しをする
・そのための、お互いの共通のゴールを握る
・断絶に橋をかけていく。

言える化　

・メールだけでなく、チャットツールを導入しコミュニケーションを促進する
・メンバー同士のエンゲージメントを高めていき、会話のキャッチボールを行う
・コミュニケーションを仕組みを取り入れることで、意見を「言える化」していく

KPT

KPTとは　Keep Problem Tryの略で、
K：継続するよかったこと
P：問題や、よくなかったこと
T：チャレンジや改善すること
を表しています。
これら３要素使い振り返ることで、チームで「何をしていくべきか」を決定しましょう。

おわりに

とかく正解を求めてしまいがちですが、
家庭ごとにお味噌汁やカレーライスの味があるように、
それぞれが違っていてよいのです。
もちろん、美味しい不味いという好みはあります。
効率的な作り方やこだわりによって味わいも変わるでしょう。
でも、たったひとつの解を探すよりも、季節や家族の状況によって使い分けられるのが
本当のスゴさだと思っています。
新井剛

出典

著書名 ‏ : ‎ ここはウォーターフォール市、アジャイル町ストーリーで学ぶアジャイルな組織のつくり方
出版社 ‏ : ‎ 翔泳社 (2020/10/14)
発売日 ‏ : ‎ 2020/10/14
言語 ‏ : ‎ 日本語
単行本（ソフトカバー） ‏ : ‎ 280ページ