はじめに
本記事の想定読者は入社1~2年目くらいの新人、および褒めが苦手なベテランの皆さんです。
新人の叫び
- とにかくいろいろと不安が多い!!
- 自身の取り組みが価値を生んでいるのか不安...
- 自分がやっていることの方向性が合っているか不安...
- 成長実感の機会が少なく不安...
- そんな感じでいろいろと不安...
- これらの不安を分かりやすく解消してくれるのが「褒め」である
褒めない(苦手な)マネージャーやベテランの価値観
- いろいろな理由で「褒め」をする動機が弱め
- これぐらいの仕事は(n年目ならば)できて当たり前
- 社会人として給与をもらう立場なのだから、メンタルやモチベーションコントロールはプロとして自分で管理すべき
- 褒められないと不安になったり落ち込むのは幼稚すぎる、会社は学校じゃない
- 自分自身の経験的に、褒められずに仕事を覚え、成長してきた
- なので、特に「褒め」に対するモチベーションが大きくない
結果、新人が褒められるときはこない
残念ながら、待っていても褒めがやってくることはありません。
そもそも、人はそんなに他人に興味ありません。
マネージャーや自チームのメンバーならまだしも、自チーム以外のメンバーに対して言葉にして伝えてくれる人はとっても少ないです。
また、マネージャーが「褒め」をするタイプでない場合、褒められたい新人が褒められる日はきっと訪れません。
褒められたい新人 vs 褒めないベテラン の平行線を解決するベストプラクティス
新人向けの解決策にはなりますが、それは ポジティブフィードバックを自ら受け取りに行くこと です。
この姿勢は、シンプルで当たり前なことだけど意外と忘れがちだと思っています。というのも、フィードバックを受け取る機会自体はたくさんあって、例えばコードレビューなどでもらうたくさんの指摘なんかがそうですね。
フィードバック自体はもらえている、なのですが、ポジティブフィードバックをもらう機会は作れているでしょうか。
例えば、前回受けた指摘を共有したうえで『こういう風に工夫してみたんですけどどう思いますか?』と意見を求めているでしょうか?何かの発表をした後にGoogle Formなどでフィードバックを受け取る、といった行動をしているでしょうか?
待っていても褒めは降ってこないので、褒めを貪欲に受け取る努力をすべきです。つまり、普通に仕事を頑張ることに加えて、自分の頑張りをブーストさせる「褒め」、すなわちポジティブフィードバックを受け取るところまで頑張ってやる をデフォルトにするとよいと思います。
「褒めをくれる誰か」という自身でコントロール不可能なことに消耗してないで、「フィードバック」という言葉を使って褒めを自ら受け取りにいこうという話です。フィードバックという言葉を使えば直接的な「褒めをください」じゃないので恥ずかしくない!
みんなポジティブフィードバックは忘れがち
これからきっとたくさんフィードバックを求められるベテラン勢へ。
普段のコードレビューやスクラムの文脈でのスプリントレビュー、社内でのなんらかのプレゼンテーションなどなんでもよいのですが、『なにか指摘などありますか?』『特に問題ないと思います!』で終了なんてことも多々あるかと思います。
そこにポジティブフィードバックがあってもいいじゃない!!!!!!!!!!
例:『前回のレビューで指摘した、SRP原則を意識したコーディングでよいと思いました!』
例:『プルリクエストに関する説明がすごく整理されてて分かりやすかったです!』
例:『毎日ちゃんと出勤していて偉い!』
そう思いませんか。
ポジティブフィードバック " も " しよう
そもそもフィードバックとは、伝える側からすれば「相手の成長を願って伝えるべき」ものであり、受ける側からしたら成長の余白に気がつく機会です。
成長を目的としているので、本人の課題を指摘するネガティブフィードバックだけでなく、強みや長所をより強化するポジティブフィードバックも含まれます。
ポジティブフィードバックの目的
大きく「相手のため」と「お互いのため」の2つの観点に分けて考えることができます。
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相手のため
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好ましい行動の強化
- つまりは「ほめて伸ばす」ということ
- ある行動に対するポジティブフィードバックでその行動がより強化されることを期待する
- ある行動が周りにとって好ましい活動であると伝えることで、好ましい行動の強化と定着、習慣化が期待できる
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好ましい行動への転換
- メンバーの課題について直接ネガティブフィードバックをするのではなく、たまに起きる「好ましい行動」の瞬間を見逃さずにポジティブフィードバックをする
- それにより、ネガティブフィードバックをせずとも好ましい行動が定着することを期待できる
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承認欲求の充足
- 承認欲求の奥底には自信のなさが潜んでいることが多く、自信のなさはネガティブな影響(仕事が受け身になるなど)を引き起こすことがある
- 自信を深めさせることで、相手の本来のポテンシャルを引き出すことを期待できる
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好ましい行動の強化
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お互いのため
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相互の関係強化
- おだてるわけではなく、心に届く本音のフィードバックを繰り返すことで関係性は確実に良くなる
- 心理的な距離が縮まっていくことで、よい関係性の構築が期待できる
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心理的安全性を高める
- 立場の弱い相手、自信のない相手にこそポジティブフィードバックは刺さる
- 様々な不安(「自分は何もわかってないのに発言なんて...」など)が解消され、自信につながり、行動変容が期待できる
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フィードバック濃度が高まる
- 普段のポジティブフィードバックの積み重ねは、感じたことを率直に伝えられる雰囲気づくりにつながる
- 本音を言い合える関係性は、ネガティブフィードバックをする際の様々なハードルを低めることが期待できる
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相互の関係強化
ポジティブフィードバックのコツ
5W1Hの観点で整理して実践することができます。
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Why:どのようなマインドでフィードバックする?
- 相手の成長を願う:これがフィードバックの原点
- 相手に関心を持つ:強い関心があるから強みも弱みも見えてくる
- 気恥ずかしさを捨てる:いつしか「褒め」は習慣化できる
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When:いつフィードバックする?
- リアルタイムに:早ければ早いほど効果がある
- こまめに:忘れてしまうのでため込まない、すぐにやる
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Who:誰にする?誰と比較する?
- 上司にも、誰にでも:組織内の全方向に
- 他人と比較しない:誰かを引き合いに出すのはうまくいかないリスクの方が大きい
- 過去と比較する:成長実感を感じられる
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Where:どのような手段で?どこでフィードバックする?
- メールや文章で:文字で残っていると、受け手は見返すことができる
- 他者の前でも:本人のやる気をさらに引き出す
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What:なにをフィードバックする?
- 「なぜ」を使って具体的に:浅くて表面的な褒めの連発はNG
- 結果だけでなくプロセスも:プロセスを見てくれる感覚はチャレンジへの意欲を引き出す
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How:どのようにフィードバックするのか?
- できて当たり前と思わない:能力が違えば基準も違う
- 心からほめる:見透かされると信用を失う
- 次のゴールを与える:「だけどこれはダメ」ではなく「さらにこれができるとよい」で隠れネガティブフィードバックができる
- なってほしい姿をイメージして:期待されている実感は成長を加速させる
- 第三者を活用して:利害関係のない第三者の情報は信頼されやすい
引用元:なぜコンカーは、「フィードバック」を重視するのか?「働きがいのある会社」で6年連続1位の理由を探る
参考書籍
本記事後半の具体的なフィードバックの方法などは「みんなのフィードバック大全」を読み、参考にしました。本書の中では「フィードバック」についての内容が体系的に整理されており、ポジティブフィードバックだけでなくフィードバックを受ける側の心構えなどのインプットも得ることができました。
フィードバックは問題点を指摘するスキル(本書でいうギャップフィードバック)だけではなく、ほめる力(ポジティブフィードバック)も、受け止める力(コーチャビリティ)も含んだ総合的なコミュニケーションの体系である
ということで、読んだ瞬間から実務に活かせます。
おわりに
グレートフィードバッカーになろう。