Cloud Native 2024: Approaching a Decade of Code, Cloud, and Change
CNCF 2024 年次調査報告書は、Cloud Native技術の進展とその影響を示されており、今後の技術戦略に関する洞察を提供しています。
(CNCF: Cloud Native Computing Foundation、Linux Foundation傘下でCloud Native系OSSの推進を行っているFoundation)
報告書の概要を簡単にまとめました。
Cloud Native Adoption Continues to Grow(Cloud Nativeの採用が引き続き増加)
第1に、企業におけるアプリケーション開発とデプロイメント(AD&D)の活動が、より高いレベルのクラウドネイティブの使用に移行している傾向が見えます。
第2に、「Cloud Native初心者」とされる企業の割合も減少しています。これはCloud Nativeの普及が進んでいることを示しています。
第3に、Cloudの採用を見ると、企業の規模に関係なく同じ傾向を示しています。これは、Cloud Nativeが大規模な運営だけでなく、小規模を含めたすべての規模の組織にとっての利点であることを示しています。
地域別の傾向を見ると、ヨーロッパとアメリカ大陸がCloud Native技術の採用でリードしています。しかし、昨年は大きく遅れをとっていたアジア太平洋地域は、今年その差を縮め、84%の企業がAD&Dの一部、または多く、ほぼすべてがクラウドネイティブであると報告しています。
Popular and Plentiful, Cloud Usage Stays Strong(人気があり豊富なクラウド使用は強さを維持)
Cloudは様々な形態で利用されています。データセンターとパブリッククラウドの利用状況を見ると、オンプレミスのデータセンターとパブリッククラウドの間で均等に分かれており、両者とも自己管理型に偏っています。
次に人気のある選択肢は、CSP管理のパブリッククラウドで、その後にオンプレミスのプライベートクラウドとハイブリッドクラウドが続きます。
Container Use Grows, Powers Production(コンテナの使用が増加し、生産を支える)
驚くことではありませんが、2024年もコンテナは生産ツールとしての選択肢として引き続き人気です。
組織が使用するコンテナの平均数も2024年に増加し(27%増)、2,341に達しました。これは2023年の1,140からの増加です。Cloud Nativeと同様に、コンテナの成長の大部分は、コンテナが生産アプリで使用されるセグメントで発生しています。
コンテナ利用に関する課題
コンテナ利用に関する課題の種類は変化しています。2023年の調査では、セキュリティと複雑さが問題領域でした。しかし、2024年では、ほぼ半数が開発チームとの文化的な課題がコンテナ使用の最大の問題であると述べ、次いでCI/CDとトレーニング不足が続きました。セキュリティはその次に位置していますが、2023年よりも課題としては軽減されています。
以前は、セキュリティ、ネットワーキング、ストレージ、可観測性といった技術的な問題が主要な痛点でした。しかし、現在では、より成熟したCloud Nativeの実践が技術的な課題をより管理しやすくしており、組織は文化やプロセスの変革に焦点を当てることができるようになっています。
Platform EngineeringやGitOpsへの移行、あるいはモノリシックアーキテクチャからマイクロサービスアーキテクチャへの移行など、これらの文化変革の取り組みは、クラウドネイティブの進化における論理的でありながら難しい次のステップであると、調査結果が示しています。
さらに言えば、中程度の経験を持つ調査回答者は、他のグループよりもコンテナの使用やデプロイに関する文化的な課題を指摘する傾向が圧倒的に高いです。
Kubernetes Reach Continues to Expand(Kubernetesの普及が続く)
今やKubernetesの時代であると報告書はのべています。その根拠として、Kubernetesの生産利用率を上げています。さらに印象的なのは、生産利用率に加えてKubernetesを試験運用中または積極的に評価している組織を含めると、回答者の93%がKubernetesを何らかの形で使用しているということです。
また、今年はNamespacesとHelmが主導しています。Namespacesは、2024年にクラウドネイティブおよびコンテナ化された環境内でアプリケーションを分離するための好ましいアプローチとして、特にKubernetesにおいてクラスターやラベルを上回って急速に普及しました。
一方、HelmはKubernetesの好ましいパッケージマネージャーとしての地位を確立し、利用率の成長を示しました。
AI on Kubernetes: Still Getting Started(Kubernetes上のAI: まだ始まったばかり)
調査対象者のほぼ半数が現在Kubernetes上でAI/MLワークロードを実行していませんが、早期採用者はさまざまなタスクに取り組んでいます。
CNCF Project Snapshots
KubernetesはGraduate Project Listのトップに位置して最も多く利用されています。
他のGraduate Projectのうち、5つはKubernetesに強く関連しています。これにはHelm、etcd、CoreDNS、Cert Manager、Argoが含まれます。
リストの上位にある他のプロジェクトは、監視とアラート(Prometheus)、コンテナランタイム(containerd)、ログ記録(Fluentd)、および汎用サービスメッシュ(Istio)に関連しています。