0. 前書き
様々な理由で入手はしたものの、消化できずに積んでいるものありますよね?
長期休暇は消化のチャンスということで、私は左右分割型の無線キーボードを組み立てました。
とはいってもこのキーボードは数日置いただけなのですが…。
すこし苦労した点もありましたので記事を書こうと思いました。
1. 対象のキーボード
こちらのroBaになります。
Twitterで見かけて気になっていたものの入手方法が不明でしたが、BOOTHで頒布されるという情報を見て待ち構えて購入しました。
2024年12月以降の頒布はv2ということでBuildGuideはこちら
2. 作業開始
年末の買い出しや掃除が終わって、12月30日夜、「趣味のことをやりたいな」という気分になって、気になりつつ手が動いていなかったキーボードの組み立てを始める。
夜型のため、作業を開始したのが20時48分。
部品にぬけもれがないかのチェックからスタート。(不足や誤ったパーツの場合、販売者へご相談の必要もあるので、これは本来届いたらすぐにすべき作業です)
ありがたいことにケースまでついているが、これが自宅の3Dプリンターで作成しているようです。すごい時代になった。品質はとても高いわけでないがパット見て不満がないレベルです(印刷の手間などを考えるとこの価格は安すぎるのでは…)
なお、かさねてスーパーありがたいことに、ケースのモデルデータも公開されており、違う色や少し形状を変えたい人は自分で印刷をすればよいかと思います。
3. ダイオード&ソケットのはんだ付け
自作キーボードではほぼ確実にはんだ付けが必要となるダイオードとソケット。
キーの数だけ実施する必要があり、時間のかかる工程です。
デフォルトでは親指キーはchokですが、使ってみた結果今一つしっくりこなかったため最終的には私はMXスイッチを使いました。
3.1. すべてのダイオードを付け終わった状態(21時45分)
表面実装のダイオードは印刷の極性が見にくいため、携帯のライトを当てるなどして印字をよくみえるようにして、最初に向きをすべてそろえておきます。
そのうえでピンセットではさみながらひとつずつはんだ付けしていきます。私はこういうマメな作業が好きなので丁寧にじっくりやっています。
3.2. すべてのキーソケットもつけ終わった状態(22時11分)
ダイオードがつけ終わったら次はキーソケットです。
こちらは方向を間違えようがないので、かなり楽に進みます。
4. 最難関 Seeed XIAO BLE
このキーボード組み立ての最難関がこの工程になります。
4.1. Seeed XIAO BLEをピンで仮留めする(22時58分)
あくまでも仮留めです。(間違って半田付けしないように!)
この後、裏側にあるパッドのはんだ付けを行うためには正確な位置にマイコンを固定する必要があります。そのために付属のピンを用いて位置合わせをするのですが、ボードの穴が小さく相当力を入れないと入りません。
後から気が付きましたが、かなりきついのでピンが2本もあれば十分な気がします。
なので、両端のピンのみをのこし、他はぬいて固定するのも一つの手だと思います。(自己責任でお願いします)私は次の作業の背面のパッドの半田付け後、どうしても外せないのでラジオペンチで一本ずつピンの金具を引っこ抜きました。
マイコンは表面に配置します。
私のように間違って裏面に配置すると、地獄のピン抜きが待っています。お気を付けください。
4.2. マイコン背面のパッドをはんだ付け(22時52分)
Seeed XIAO BLE、バッテリーへの接続端子などが背面のパッドとして配置されているので、自分のキーボードでもどう設計するかなぁと思っていましたが、まさかこんな方法があるんですね。
VIAをぶった切ったような形。はぁーなるほどー。穴をあけてそこにはんだを流し込んで固定する。
素晴らしいアイディアですが、めちゃくちゃショートしやすそうなうえに、バッテリーなので即アウトになります。
はんだ後、ルーペでショートしていないか確認します。これ、ショート確認用のパッド作ってもよさそう。
このあと、さきほどのかりどめのピンをぬきますが、無理な力がかからないように気をつけましょう。パッドの半田付け部分んは小さいので、はんだ付けが外れるかもしれません。
4.3. Seeed XIAO BLEをはんだ付け(23時06分)
半田の流し込みに比べたら超楽勝です。(フラグ)
まわりの切り欠き部分をはんだ付けします。
5. トラックボールセンサ組み立て(23時20分)
熱に弱いという注意書きがあるので、ささっとはんだ付けしてしまいます。
楽勝です。
6. ロータリーエンコーダ 組み立て(23時25分)
このパーツ認識していなかったのですが、roBaを特徴づけるものかも。
ひとむかしまえに流行ったロータリーエンコーダと類似のものを作ってしまっています!
若干細かい半田付けはありますが、ここまでがエクストリームすぎて全く気になりません。
外側をちょちょっと半田付けして固定さえしてしまえば、あとは楽勝です。
7. 組み立て(00時01分)
さて、ここまでくると後はパーツを組み立てるだけです。
ここまで半田付けしたパーツと、提供されているケースなどをすべてくみあわせます。
おすすめとしては、バッテリー接続部は事前に導通チェック(ショートしていない事の確認)しておきましょう。うっかりショートすると煙や火が出ますよ!
キースイッチを付け、キーキャプを付け、バッテリーを組み込み、ファームウェアをやきこみます。
このあたり経験があるので楽勝ですね!
最後まで組み立てて、ドキドキのスイッチオン!!
Windowsからも認識され、正常動作しているように思えましたが…喜びもつかの間いくつかのキーが反応しません。
すべてのキーを試したところ、マスキングテープを張っている4つのキーが動作しません。
が、夜も遅いのでタイムアップ(00時47分)
夜おそくなったので、当日作業はここまでとしました。
8. トラブルシューティング
あけて翌日、すっきりした頭でトラブルシューティングを行います。
8.1. 縦一列が動作しない
これは、マイコンからの信号が伝わっていないときに発生する事象で、接点がひとつうまくはんだづけされていない、断線していることが想定されます。
配線を追いかけるも、はんだ付けしたSeeed XIAO BLEでわからないので、一つ一つ端子をルーペで再確認します。
あ…、どうやらそれっぽいのを見つけました。明らかにはんだ量がたりていません。
また、よく見るとパッドへのはんだの広がりが悪いところも見受けられます。
初めてだった切り込みの半田付けで基板側の過熱が不足していたためうまくぬれなかったようですね。
8.2. 一つだけ動作しない
これは、スイッチがおかしいか、またはマイコン足がすくないので左の1列と同じCOL線でつながっている可能性の二つを想像しました。
まずは、単純な接触不良などを想定して、スイッチを確認すると…ありゃ足が折れてる。
昨晩は夜も遅かったのでピンの状態を確認せずバスバス挿したため、曲がっていたピンが折れてしまったようです。
再利用は怖いので別のキースイッチに取り換えることにより正常動作するようになりました。
キースイッチはある程度消耗品なので、少し余裕をもって購入しておきましょう。
8.3. ロータリーエンコーダがうまく動作しない
しばらく使っていて、ロータリエンコーダを回しても反応しないときがあることに気が付きました。
100均のやすりでわずかに削りました。リスクを考えると4つ全部削らずに、2つだけ削るのが良いかと思いますm
軸受け(細い方)にロータリーエンコーダーがあって、スイッチっぽいの関係ないのかなと思っていましたが、一応この対策で改善しました。(なぞ)
8.3. 誤認識
タイピングの速度が遅いせいか、Holdとタップが誤認識されることがあった。
それを避けるために、tapping-term-ms時間を長めに変更した。この時間より長ければHoldと認識される設定ですね。
ZMK tapping-term-ms マニュアル
これはキースイッチとの組み合わせもあるので、必要に応じて変更したほうがよさそう。
8.4. はんだ漏れ
まれに”k”キーの入力だけ失敗することがあった。
これ、昔に経験があったのですべてのダイオードの半田付け確認を再チェックしたところ…。
やっぱりありました、はんだ漏れ。
8.5. bluetooth切断
なぜか、たびたびbluetoothが切断される。
同時にマウスも切断されるため、どうやらマシン側の問題のように思える。
キーボード側の電源を再投入しても、リセットしてもダメ。なぜか、USBを接続するとキーボードもマウスも動き出す。
本当の原因は不明だが、Bluetoothの電源管理をOFFとした。個別の電源管理設定ができないため、マシン側の該当機能をOffにした。
9. フラックスの掃除
最後に、基板上に残ったフラックスの掃除をしました。
左がビフォアーで右がアフターです。
フラックスクリーナーで撫でた後に綿棒できれいにします。
10. 完成!
むりやり 1.25Uのコンベックスキーキャップを使っていますが、接触しながらもギリ使えます。
無刻印のキーキャップともあっていてなかなか可愛いですね。
なお、本記事はroBaで執筆しました!
11. 追加チャレンジ
11.1. 【失敗】トラックボールをラピスラズリで
しばらくはデバッグも兼ね、keyballも並行で使うかなと考えると、唯一不足しているパーツがトラックボール。
良さそうなものを探していると、オークションで直径約34mmのラピスラズリが!
最悪サイズが少し違っていても気に入ったらケースを印刷すればよいよね、と購入したが結果的にはうまくいかなかった。
理由の一つ目は、玉の精度。見た目は大丈夫そうだが、実際にはかなり真球から遠いようで、回らない。手で表面を触っても平たんなところがあったりと回転させるには厳しい精度でした。自分で研磨してってわけにもいかなそうだし。
もう一つは重量。上記の精度に加えて、重量があるためトラックボールケースの強度が厳しい。