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独りぼっちで社内AWSコミュニティを作って、AWSブログに取り上げられるまでに成長した話

Last updated at Posted at 2024-12-01

はじめに

この度、私が現在所属する三菱電機にて立ち上げたボトムアップでの社内AWSコミュニティ"Mitsubishi Electric AWS User Group(通称MAWS-UG)"が、AWSブログにて取り上げていただきました。

執筆者のAWS・稲田さんには、関係者の好き勝手に書いたコメントを1つのストーリーとして綺麗にまとめ上げていただき、感謝しかありません。
改めて、御礼申し上げます。

本記事はこちらのブログに書ききれなかった部分について、特に私視点でブログに載せきれなかった所感などを残しておきます。
ポエム要素が強く、コミュニティ作りの再現性という点では高くないかもしれませんが、ご覧いただいてコメントなどを頂戴いただけると大変ありがたいです。

re:Invent2025やアドベントカレンダー執筆でお疲れの時に、暇つぶしにお読みいただければと思います。

あなた、誰?

最近よく使う自己紹介スライドです。
もしかしたら、JAWS-UGに参加されている方の中にはLTなどで拝見されているかもしれません。

自己紹介.png

スライドには書いていませんが、三度の飯よりAWSとビールが好きです。
なお、一日三食食べることはほとんどありません。

黎明期 ~社内コミュニティがない時代~

他の会社で働いたことがないので他社の内情は分かりませんが、それなりの従業員数がいる会社では技術コミュニティがあると思います。
当社でも電子回路設計、空調冷熱などのコミュニティが昭和時代からあり、私が入社した平成の時代ではソフトウェア設計やネットワーク制御などに関連したコミュニティが存在していました。

ただしこれらはトップダウンで組織されたコミュニティであり、部会長というトップがいて、それなりの地位と名誉のある大学教授や団体所属の方をお呼びして定期的に講演会を開催するというのがお決まりでした。
もちろん、これらの講演会には私も何度か足を運んだことがありますが、登壇者によってはとても面白く、意味のある会だと思っています。

ですが、このような講演会がその後の仕事に直接的に(知識、ノウハウなど)、間接的に(モチベーションなど)影響を及ぼすことは少ないと感じていました。

かといって、私自身は生物系の出身であり、入社後からあまりプログラミングやサーバーなどの知識はほとんどありませんでした。
また配属先も研究所であり、業務内容としてもゴリゴリにコードを書くとか言うわけではなく、1つ1つ試験結果を積み上げるような実証試験をしたり、WordやPowerPointで仕様書を書いたりと、言うようなふわふわとしたような仕事をしていました。

この時は、まさか自分が何かのコミュニティを立ち上げたり、その運営をやっているなんて、思ってもいませんでした。

入社当時の雰囲気として、プログラミングやサーバーなどについて積極的に勉強したいと思いつつも、効率重視の考え方が蔓延っていました。
なので、社員であっても製品/サービスに実装するコードを書くような人はあまりおらず、基本的には単価の安い会社にアウトソーシングしていました。

この時代にはプログラミングスクールやレクチャー動画はほとんどなく、実践的に学習するには環境構築なども高いハードルになっていました。
また、上の世代には自分でコードを書いていた人も多かったのですが、丁寧に教えてくれるという文化はあまり無かったです。おそらくみんな疲れていたんだと思います。

創成期 ~コミュニティを作ってみた~

入社からいつの間にか10年が経ち、その間に結婚して子供が生まれたり、アメリカで1年間家族と離れて暮らしたり、神奈川から京都に異動したり、と様々なライフイベントがありました。

アメリカに暮らしていたのが2019年7月~2020年7月で、この間にコロナ禍を経験しました。
私の住んでいた地域ではソーシャルディスタンスを守るために美容院がクローズとなり、結果として1年間髪を切ることなく帰国しました。
そして現在の容姿につながっています。

この時は既に業務としてAWSをかなり触っており、他のAWSエンジニアが異動などで去ってしまったこともあり、同じ組織の中ではそこそこ知識がある方になっていました。
そうした中で、自分で触りながら陥ってしまった失敗、こうやったらうまく行った良好事例、こうすればよかったという後悔についてシェアしていきたいという想いが強くなりました。

ちょうど社内でもMicrosoftのYammer(現Viva Engate)が整備されていたので、「折角なので所属部門だけでなく社内全体でTipsを共有しよう!」ということでコミュニティを作りました。
これが2022年9月の出来事なので、意外と最近だなーという印象です。

コミュニティを作って同じ部門内のメンバーには(半ば強制的に)入ってもらいましたが、当初は全く投稿がありませんでした。
AWSブログにある通り、一人でもくもくとTipsを投稿し続けるという寂しい日々を過ごしていました。

それでもたまに「いいね!」が付くととても嬉しく、自分やっていることに意味を感じられたことが、今日までつながっています。
皆様も頑張ってTipsつぶやいている人がいたら、「いいね!」しましょう。

モチベーションも少しずつ高まっていく中で、部門内で勉強会をやりたいという気持ちになりました。
自分の経験や学んだ知識をアウトプットしたいという欲望が出てきました。
「アウトプットしないのは知的な便秘」という格言の通り、アウトプットしたくなるのは人間の社会的欲求に基づいているはずです。

勉強会もTips投稿と同じく、しばらくは私一人が講師となって発表していました。
ただ、それなりの年次にもなっていたので若手メンバーにも登壇していただいたので、無理なく今日まで続けられているのだと思います。

登壇の敷居は限りなく低くすることが大事です。
あまり、豪華絢爛・重厚長大な資料は作らない方がプレッシャーはかかりません。

  • 資料は作らなくてもよい。マネコン上で操作をやって見せるだけでもよい。
  • イベント行ってみた、週刊AWSを読んだ、みたいなライトな感じでもよい。
  • 5分で終わってもいいし、60分近く話してもよい。

登壇された方には、本当に感謝!

またこの頃には、記事中にも登場する朝日宣雄さん(当時の大上司)とも多くお話しする機会がありました。
朝日さんは当時も今もお忙しい方ですが、「若手飲み会をやりましょう!」とお誘いすればいらっしゃってくださり、私もなぜか居酒屋でPC開いて「2030年にうちの部門はこうなる!」みたいなプレゼンをやって騒いでいました。

この時のプレゼン資料に書いていたことはいくつか実現しています。
末端の社員でも会社と自分のストーリーを作って、上司と共有していくのは大切なことだと感じました。

当社は現在社員ひとりひとりがパーパスを考えて共有しています1が、これの礎のような感じです。

飛翔期 ~コミュニティが認知される~

同じ部門内のメンバーしか入っていなかったコミュニティが社内に拡散したきっかけは、2022年の年末に社内GameDayで優勝したことです。
「主催する部門が優勝するんじゃないの?」というムードを一蹴して優勝してしまったのは、嬉しいを通り越して「これはKYかも?」とすら感じました。

当初私の所属していた部門は知名度もなかったので、「優勝したのは、どこのどいつだ?」感がかなりありました。
会社は特定の技能に優れた人材を特定の部門において管理したがりますが、こうした社内横通しのイベントは優れた人材を発掘する(思ってもいなかったところにいたりする)、スポットライトを当てる(思わぬ速度で成長する)のに有効だと感じました。

GameDay優勝チームという称号を社内で大いにひけらかし2、そしてだいたい一度会ったら忘れない見た目のインパクトもあり、会社生活で交わることもない他部門の人とも多く知り合うことができました。
当社も連結では10万人を超える社員がいる3ので、色々な個性の方が多く、開発戦略の取り方、アーキテクチャの手段の幅、キャリアの歩み方などの様々な視点で多くの刺激をいただくことができています。

人とのネットワーキングの最大の効果は、自分へのモチベーションだと思っています。
エンジニアや管理職としてのロールモデルを見つける最適の場です。
特に目指すべきロールモデルは、①直近(3年以内になりたい姿)、②将来(5-10年以内になりたい姿)、③伝説(崇め奉る存在)を分けて、それぞれ名前で言えるくらいにしておくとキャリア設計がしやすいです。

また2024年2月に対面でのMAWS-UG初開催をしてからは、「スタンド使いは引かれ合う」かのように、AWSに想いを持つ人々が集まる場になってきています。
意外とAWS12冠のスタンド使いは当社内にもそこそこいる4ようなので、私自身もまずはそこを目指し、さらに他のスタンド使いを繋いでいければ、誇り高い組織になるのではと思います。

成長期 ~俺たちの戦いは続く~

こうしてAWSからも取り上げられたり、当社役員本部長にも注目いただいている組織にまで成長しましたが、コミュニティ活動もまだまだこれが終わりではありません。
ブログで取り上げられた運営メンバーが第1期であり、その精神を次世代のメンバーにバトンを繋ぎ、個人に依存しないコミュニティへなったときこそ新・MAWS-UGとなると信じています。

コミュニティに最も大事なのは、つよつよエンジニアでもなく、ビールとお酒でもなく、オリジナルのTシャツでもなく、参加者の熱量だと思っています。

熱量のある人から別の個人へ熱量を伝搬させていくことは、時に非常に難しく、かなり再現性は低いと思います。
であれば、最初から熱量の高い人、あるいは熱伝導率が高い人を探すと、コミュニティ全体の熱量が大きくなり、うまくスケールしていくかもしれません。

もしかしたら、数十年後にはCCoEのような独立した組織になっているかもしれないですし、単にトップダウンで組織された講演会を企画/発信するだけの傀儡組織になっているかもしれません。

それでもChanges for the Better5のマインドセットが受け継がれれば、きっとより良い形で当社やお客様に貢献している姿になっていることを願うばかりです。

終わりに

コミュニティ作りというのは際限がなく、特に継続していくことが最も困難であると思います。
いまあるJAWS-UGも多くのAWS Hero/Community Buildersが尽力されて立ち上げたものですが、設立から10年以上経ってきて、変化を求められるコミュニティも出てきていると聞いています。

私自身も今後のキャリアやライフステージの中で、会社・コミュニティ・AWSへの関わり方は必ず変化すると思いますが、何ら中の形でコミュニティに継続して貢献できればと思います。

  1. https://www.mitsubishielectric.co.jp/our-stories/articles/focus-3/

  2. もちろん、ひけらかす場を作っていただいた社内の皆様にも感謝!

  3. 連結の数字はないが、単独ではこちらを参照。https://www.mitsubishielectric.co.jp/corporate/sustainability/social/social_data/index.html

  4. https://aws.amazon.com/jp/blogs/psa/2024-japan-aws-all-certifications-engineers/

  5. https://www.mitsubishielectric.co.jp/corporate/gaiyo/rinen/

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