目的
自作NASを構築するにあたりその設計方針をChatGPTを使用して決めた際の、質問の内容と回答を列挙していく。コードを質問する内容と置き換え、どのようなやりとりを行って設計方針を決めてきたかを示すことで、ChatGPTの具体的な活用例を示す。
ChatGPTのモデルはGPT-4oを使用している。
質問順はそのまま記載した。途中で何度か話題を変えたりしているが、それで回答が意図しないものに変わることがなく、蓄積されていくやりとりに沿った回答がなされていることがわかるかと思う。
なお、回答の正確さについては保証はできないため、今後、実践した結果を纏めた「実践編」を投稿する予定であり、そこで正確さについて確認したいと考えている。
自作NAS構築に至ったきっかけ
写真を中心としたファイルを格納する目的でNASキッドを導入したが、安価のエントリーモデルだったためかパフォーマンスが出ない問題に直面した。ファイルアクセスの速度が遅いとか、NASの設定を変更しようとすると設定画面の動作が重くて時間がかかるとか、といった具合。
パフォーマンスモニタを観察すると、CPU使用率が常に100%近くに張り付いていた。そのため、NASにインストールしているアプリケーションを必要最低限まで減らすことで、CPU使用率が大きく改善された。当然といえばそうなのだが、導入したNASキッドはNPUを搭載しており、画像解析といったAIを活用した処理に強いことをアピールしているのに、それを活用できないのはもったいない話である。
そこで、よりハイパフォーマンスなNASキッドの購入を考えていたが、だったら自分でNASを作ってみようということになり、自作NAS構築を検討するに至った。
自作NASの設計方針を生成AIを利用して決めるきっかけ
単純にRAIDに関する知識が古いままだった。一応RAID6があることは知っているが。そこで、RAID構築の最新事情を、生成AIに聞くというイマドキのやり方で知ることで、自作NASの設計方針を決める手助けになればと考えた。
ChatGPTとのやりとりの一部始終
以下、ChatGPTのやりとりの一部始終を示す。質問は原文のままだが、回答はある程度纏めた。
少し前だと、生成AIから期待通りの回答を得るためには、具体的な内容をきちんと纏めてプロンプトを書かないといけないという認識でいた。それは今も変わらないかと思うが、割とざっくりした質問文でもそれなりの回答はしてくれており、そこからだんだん詳細を詰めていくというやり方でも、十分期待通りの回答は得られるかと思った。
ざっくりとOSの種類を確認する
まず、ざっくりとNASで使用するOSのおすすめを確認したく、次の質問をした。
質問
自作でNASを作りたいが、おすすめのOSを教えてほしい。
回答
目的別におすすめのOSをいくつか示した。
- 初心者向け・GUIで簡単管理: TrueNAS SCALE、OpenMediaVault(OMV)
- パフォーマンス重視・ZFS特化: TrueNAS CORE
- 自分でカスタマイズ: Ubuntu Server、Debian
数十万のファイルを管理したいと伝える
回答の最後に、具体的な構成を示せばさらに細かくおすすめできるとあったので、次の質問をした。
質問
数十万のファイルを管理したいので、スペックはある程度性能の良いものを考えている。
ファイルは、主に写真が大半だが、そうでないものもある。
回答
高信頼性・高パフォーマンス・拡張性が求められるとして、推しポイントを交えておすすめOSを示した。
- TrueNAS SCALE: ZFS/Docker/GUI/企業向け対応も可
- TrueNAS CORE: 最も成熟したZFS NAS OS/高い安定性と実績/FreeBSD
- Ubuntu Server+ZFS: 上級者向け/自由度が高い
また、数十万枚の写真管理の観点として、以下を示した。
- ZFSのメタデータキャッシュ(ARC/L2ARC)
- データ自己修復、スナップショットによる巻き戻し
- アプリ拡張でタグ付け・重複チェックが可能に
- 外部NAS、クラウドへのレプリケーション
- RAIDZ、ミラー構成で後からストレージ拡張可
さらに、ハードウェア構成のおすすめも示した。
- CPU: Intel Core i5以上(Xeon含む)
- メモリ: 16GB以上、ZFS用途なら32GB以上
- ストレージ: データ用HDD+OS用SSD
- ネットワーク: 1GbE以上
- ECCメモリ: 推奨(必須ではない)
確かにこのぐらいのスペックが求められるなら現行のNASキッドでは全然足りないことがよくわかる。
具体的な運用方針を伝える
具体的な運用を教えてくれたらツールや構成を提案できるとあったため、次の質問をした。
質問
長く使う予定であり、また用途も変わる可能性があるため、柔軟に拡張できるようにしたい。
また、RAIDを組みたい。とりあえず多くのRAID構成を選択できるようにしたい。
回答
要件を整理し、それを元にTrueNAS SCALEをおすすめOSとして選定した。
- ZFSでRAID構成が豊富
- Docker/Kubernetes対応
- Web GUI
- 仮想VMも動作可
- 将来の容量拡張対応
補足として、ZFSのRAIDの種類を示した。ここで、自分が初めて目にするRAID構成が出てきた。
- RAIDZ1: RAID5相当
- RAIDZ2: RAID6相当
- RAIDZ3: RAIDZ2よりもさらに冗長性が高い
- ミラー: RAID1相当
- ストライプ: RAID0相当
運用方針をより具体化して伝える
HDD台数や構成イメージがあれば、それに応じて具体的なRAID構成例やパフォーマンスと冗長性のバランスを提案できるとあったため、次の質問をした。
質問
HDD台数は2台から初めて、まずはRAID1を組みたい。
後々、HDDを増やしてRAID5構成にしたい。
回答
まず、非常に重要な注意点としてZFSは後からRAID構成を変更できないことを示した。その上で以下のプランを示した。
- プラン1: 最初はミラー構成で運用し、その後別途RAIDZ1プールを作成しデータを移行
- プラン2: 最初からRAIDZ1構成で運用
現行のNASキッドはRAID構成を後から変更できる仕様なので、ZFS RAIDではそうではないことを確認できたのは有益。知らないと後で泣く羽目になっていた可能性がある。
プラン1だとHDDが合計6台必要なイメージ(ミラー構成2台+RAIDZ1構成3台+バックアップ用1台)なので、現実的にはミラー構成で運用→データバックアップ→ミラー構成を削除してRAIDZ1構成を作り直し→データの移行として、HDD4台(RAID構成用3台+バックアップ1台)というイメージか。ただ、それなら最初からRAIDZ1構成にした方が良さそうである。
でも自分はUbuntuを使いたいと伝える
TrueNASは実績もあり確かに魅力的なOSである。しかし、仕事で使っているUbuntuの勉強もしてみたい...その思いから、次の質問をした。
質問
TrueNASは魅力的に見えるが、汎用性の高いubuntuを使いたい。
回答
その考えは納得できると同意し、Ubuntuを使用したNAS構築に関する具体的な情報を示した。
- Ubuntu+ZFSで構築するメリット
- ミラー構成の設計例
- ミラー構成からRAIDZ1構成への移行プラン
- 補助ツール、UIの紹介
さらに
質問
具体的な構築手順書を作成してください。
をすると、具体的な構築手順書を提示した(詳細は割愛)。
質問
完全版構築ガイドを作成してください。
を追加ですると、より詳細な構築手順書を提示した(詳細は割愛)。
SSDのキャッシュにも対応したいと伝える
最近のNASキッドはSSDも搭載可能で、SSDをキャッシュとして利用することでファイルアクセスを高速化できる(...のだが、現行のNASキッドはSSDを載せられるのでさも対応できそうに見えて、実は対応していないことを後でメーカーのドキュメントで明示されていることを知るという悲しい目に遭っている)。そこで、自作NASでもSSDを載せて活用したく、次の質問をした。
質問
SSDを使用したキャッシュにも対応したい。
回答
ZFSでは以下の2種類のSSDキャッシュがあることを示し、その実装手順を示した。
- L2ARC: 読み取りキャッシュ → 読み込みが多い用途
- ZIL/SLOG: 書き込みログ → 書き込みが多い用途
なお、どちらも活用可だが、それぞれSSDを分けておくと理想的。
また、注意点として以下を示した。
- L2ARCは読み取りキャッシュなため電源断でキャッシュデータが失われる
- SLOG(ZIL)は信頼性の高いSSDを推奨
- 寿命の観点からどちらもエンタープライズ向けSSDを推奨
SMB以外でPCと連携する方法を確認する
少し話が逸れるが、現行のNASキッドはMacでSMB共有してファイルにアクセスすると遅いように感じる。そこで、自作NASを構築するにあたり、SMB以外でPCの連携ができるかを確認したく、以下の質問をした。
質問
windowsとMacの連携を考えているが、smbだとスピードが出ないと聞いた。
smb以外の方法はあるか?
回答
まず、SMB以外の連携方法をいくつか示した。
- NFS(v4)
- WebDAV
- SFTP
- Nextcloud
- rsync over SSH
- NFS+AutoFS
その上で、速度・汎用性の観点からおすすめの連携方法を示した。
- MacにはNFS(v4)
- WindowsにはNextCloudでWeb同期
- ファイル転送・同期用途ならrsync over SSH
AIを使用した写真解析をしたいと伝える。
これも少し話が逸れるが、NASの活用目的のひとつとして、NAS内の写真をAIで解析して活用することを考えている。そこで、次の質問をした。
質問
aiを利用した写真の解析をやりたい。
回答
まず、AIの写真分析の主な用途を示した。
- 顔認識・人物分類
- 物体認識
- シーン認識
- 重複写真検出
- OCR
- タイムライン・場所別整理
その上で、おすすめのAI写真解析ツールを示した。
- Photoprism: 最強候補
- LibrePhotos
また、自前でAI画像解析をする場合も示した。
- Python+OpenCV/TensorFlow/PyTorch
- 物体検出にはYOLO
- 顔クラスタリングにはface_recognition
- OCRにはTesseract
AIを活用するならGPUを載せることも検討した方がよさそう。
実際にUbuntu Serverをインストールする
話を戻して、自作NASの構築イメージを、MacのParalles Desktopを使用して試してみたい。そこで、次の質問をした。
質問
ubuntu serverのインストール手順を教えてください。
回答
NAS用途に最適したUbuntu Server 22.04 LTSのインストール手順を示した。ここでは詳細は割愛する(別途、実践編の投稿を予定しておりそこで示す)。また、その通りインストールした場合に、Netplanの設定でエラー対処したり、SMB共有の設定をしたりしているが、これも詳細は割愛する。
Photoprismをインストールする
前節でUbuntu ServerをインストールしNASの土台は出来たので、さらにPhotoprismをインストールするため、次の質問をした。
質問
Photoprismの導入
回答
Dockerを使用したのインストール手順を示した。これも詳細は割愛する。
RAIDZ1構成を維持したままディスク台数を増やすことが可能か確認する
前節で、ZFS RAID構成の仕様で、ミラー構成→RAIDZ1構成への変更は、いったん構成の作り直しが必要と確認した。では、今後ディスク容量を拡張する場合、RAIDZ1構成を維持したままディスクの台数を増やすことが可能か確認するため、次の質問をした。
質問
RAIDZ1を維持したままディスクの台数を増やす場合の手順はどうなります?
回答
RAIDZ1構成を維持したままディスクの台数を増して容量を増やすことはできない。容量を増やすには、以下のいずれかが必要であることを示した。
- 別のRAIDZ1構成を作成し、2つのRAIDZ1構成を組む
- 現状のRAIDZ1構成の破棄して作り直し(事前にデータのバックアップをとる)
今後の検討課題とする。
写真以外のファイルを管理するアプリケーションを確認する
前節で、試しにPhotoprismをインストールして、写真の管理イメージがつかめた。そこで、写真以外のファイルを管理するアプリケーションを確認するため、次の質問をした。
質問
写真はPhotoprism管理できそうだ。写真以外のファイルを管理するのに
おすすめのアプリケーションは何があります?
回答
おすすめのアプリケーションと、そのうちいくつかのアプリケーションについては導入例も示した。
- NextCloud: 同期・ファイル管理
- Paperless-ngx: 文書管理
- FileBrowser: ファイルマネージャ
- Logseq/Joplin Server: ナレッジ・メモ管理
- Rclone WebUI+FileBrowser: クラウドストレージ管理
Photoprismには写真重複検出機能があるか確認する
現在、写真はAdobe Lightroom Classicで管理しているが、ファイル数は25万以上あり全部を把握できていない。重複している写真が含まれている可能性もある。そこで、前節で一応触れているが、Photoprismには写真重複検出機能があるかを確認したく、次の質問をした。
質問
photoprismで重複している写真をチェックすることは可能?
回答
写真重複検出機能は搭載されている。さらに、重複検出は2種類あり、それぞれの対応状況について示した。
- 完全一致: ハッシュ値が一致する完全に同一のファイル → 対応可
- 類似画像: 内容が似ているが、連写・サイズ違いで全く同一ではない → 限定的な対応
NASの管理ソフトを確認する
CPU使用率などを確認するパフォーマンスモニタのようなNASの管理ソフトを確認したく、次の質問をした。
質問
photoprism以外で、nasを管理するソフトウェアを挙げてください。
回答
求めている内容が何か理解できなかったらしく、具体的に内容を教えてほしいことと、用途を教えてほしいということだった。
そこで、もう少し質問を具体化した。NASを管理できるツールとして、OpenMediaVault(OMV)とCockpitがあるが、両方の詳細を確認したく、次の質問をした。
質問
まずは管理ソフトが気になる。openmediavaultとcockpitでは
機能としてどのような違いがあるか?
回答
OpenMediaVault(OMV)とCockpitの両方について、以下の説明を示した。
- 両ツールの違い(タイプ、目的、インストール方法、主な用途、拡張性、操作感、自動構成機能を観点とした違いを示した)
- OpenMediaVaultの特徴、メリット、デメリット
- Cockpitの特徴、メリット、デメリット
そもそも、OMVはOS、CockpitはLinuxアプリケーションであり、NAS用途に特化して管理する場合はOMV、汎用的なLinuxサーバーとして管理する場合はCockpitの導入が適していると示した。
Cockpitの導入手順を確認する
OSはUbuntu Serverとしたいので、管理アプリケーションはCockpitを使用することにしたい。必要であれば「CockpitでZFSプール作成+Samba共有」まで手順化することもできるとのことなので、そのまま次の質問をした。
質問
「CockpitでZFSプール作成+Samba共有」まで手順化したい。
回答
Ubuntu Server上にCockpitをインストールし、CockpitからZFSプールを作成し、Sambaで共有するまでの手順を示した。詳細は割愛する。
CockpitはDockerで導入可能か確認する
Photoprismと同様、Dockerを使用してCockpitを導入することが可能か確認したい。ついでに自作NASとは関係ないが、現在使用しているNASキッドはDockerを使用することが可能(実際にPhotoprismが使用可能であることを確認した)なので、CockpitでNASを管理できるか興味本位で確認したい。そこで、次の質問をした。
質問
cockpitをdockerで運用することは可能か?
回答
可能だが推奨はされない。理由としてCockpitはホスト全体の管理ツールであり、以下のようなホストに依存する機能を使うのは難しいこと示した。
- systemd管理
- ZFSプール管理
- ネットワーク・ファイアウォール
- ストレージ管理
- Cockpitモジュール拡張
また、GUI付きの管理画面をDockerで動かすだけなら、以下の代替案があることを示した。
- FileBrowser: ファイル管理
- Portainer: Docker管理
- NextCloud: クラウド風のファイル管理
- Photoprism: 写真管理
- Netdata: モニタリング
FileBrowserを導入する手順を確認する
Cockpitは直接OSにインストールするアプリケーションで、Dockerで動かすべきではないことを理解した。また、GUIの管理画面を出すいくつかのアプリケーションがあることも理解した。では、その一例としてFileBrowserをDockerで動かす手順を確認すべく、以下の質問をした。
質問
では、filebrowserをdockerで運用したい。
回答
FileBrowserをDockerで動かす手順を示した。詳細は割愛する。
CPUでRyzenを使用する場合、AM5世代とAM4世代のどちらがおすすめか確認したい。
自作NASの運用イメージが大分掴めてきたので、ここからは話題をハードウェア寄りに変えて、自作NASを構築するハードウェアを検討していきたい。前節にて、CPUはIntel Core i5以上を推奨していたが、Intelは普通すぎて面白くないので、AMD Ryzenを使用したい。では、その場合、最新のAM5ソケットの世代と、1つ前のAM4ソケットの世代のどちらを使うのがおすすめかを確認したく、次の質問をした。
質問
ubuntu serverを入れたいが、PCのマザーボードをAMDのAM4にするか
AM5にするかで迷っている。おすすめはどちらか?
回答
まず、AM4とAM5の比較一覧を示した上で、それぞれ以下の特徴があることを示した。
AM4の場合: 安定稼働・高コスパ
- 旧世代だがそのために成熟済
- 対応マザーボードが豊富
- DDR4メモリが安価
- Ubuntu 22.04/24.04どちらも動作確認済の構成が多い
- 中古パーツ市場の充実ぶり
AM5の場合: 新しいことを試したい・将来性を見据えて
- 現行世代のため高性能
- DDR5メモリはZFSキャッシュ用途に適している
- 将来性あり
- 一部マザーボードは最新版のLinuxカーネルを要求
- 温度やファンを生後するセンサー類がCockpit/Netdataで取得できないケースあり
なお、さらに次の質問をすると、システム構成例を具体的に示した。
質問
両方の構成例を見てから決めたい!
ZFSプール設計を確認する
質問の最後に次のステップについて候補が示されたが、ZFSプール設計によって必要なハードウェアが変わるものかを確認したい。そこで、ZFSプール設計のついて確認したく、次の質問をした。
質問
ZFSプール設計(RAIDZ1/2, ミラー等)
回答
まず、ZFSプールの構成要素であるvdevの構成一覧が示された。一覧は、HDD必要台数、冗長性、読み取り速度、書き込み速度、拡張性が含まれている。
- ミラー: RAID1相当
- RAIDZ1: RAID5相当
- RAIDZ2: RAID6相当
- RAIDZ3: RAIDZ2以上の高冗長性
- ストライプ: RAID0相当
次に、目的別のおすすめ構成が示された。
- 性能重視: ミラー
- 効率と冗長性のバランス: RAIDZ1
- データ保護最優先: RAIDZ2
- 将来の拡張:ミラー
- 高速アクセス+冗長性: ミラーの複数vdev
さらに、各構成の使用可能容量の目安・拡張戦略・実機での構成例も示した。詳細は割愛する。
ソフトウェアRAIDとハードウェアRAIDのどちらがおすすめか確認する
これまでZFSでRAIDを構築する前提でやりとりをしているが、ここに来て、ZFS RAIDはソフトウェアRAIDであり、一方でRAIDを構築する手段としてハードウェアRAIDもあることに気づいた。そこで、現在では、ソフトウェアRAIDとハードウェアRAIDのどちらでRAIDを構築するのがおすすめかを確認したく、次の質問をした。
質問
ここにきて、ソフトウェアRAIDとハードウェアRAIDという2つの方法が
あることを聞いた。どちらがおすすめか?
回答
ソフトウェアRAIDとハードウェアRAIDの比較結果を一覧で示し、その上でZFSによるソフトウェアRAIDをおすすめとして示した。
- データの整合性を守る設計(チェックサムによるデータ破損の修復、書き込み中の停電にも強い
- 構成管理が柔軟に行える
- ハードウェアRAIDカードが不要
一方、ハードウェアRAIDが向いているケースは、
- ext4を使う
- エンタープライズ環境にハードウェアRAIDカード導入済・運用ノウハウあり
- UPS+BBU付きRAIDカード前提の高可用構成
- Windows ServerでRAIDを構築
しかし、ここで示された回答はハードウェアRAIDカードの場合であり、自分が意図した回答とは異なっていた。自分が意図していたのはマザーボードに搭載しているRAID機能(AMD RAID)を利用する話である。そこで、次の質問もした。
質問
ハードウェアRAIDは、マザーボードに搭載されているチップによるRAIDという方法も
あると聞いた。これとソフトウェアRAIDではどちらがおすすめ?
回答
まず、マザーボードに内蔵されたRAID機能は、BIOS RAIDまたはフェイクRAIDと呼ばれる、ハードウェアRAIDとは異なる機能であり、その特徴を示した。
- 提供元: マザーボード
- 通称: AMD RAIDXpert
- 構成方法: BIOS設定画面からRAID構成
- 実態: OSドライバで制御
- 注意点: 要専用ドライバ
その上で、やはりZFSによるソフトウェアRAIDをおすすめとして示した。フェイクRAIDを使うデメリットとして以下を示した。
- ZFSとの相性が悪い
- OS依存性の高さ
- 障害時の復旧が困難
- トラブルがブラックボックス化
- 構成変更の自由度が低い
性能面ではどうか?はどうしても気になるので、さらに質問をした。
性能面ではどちらがおすすめ?
回答
ソフトウェアRAIDとフェイクRAIDの性能一覧が示され、ソフトウェアRAIDが優勢であることを示した。ベンチマークの読み書き速度ならフェイクRAIDに分があるが、実運用ではソフトウェアRAIDの方が高速であるという結論を示した。ただし、ソフトウェアRAIDの高速化にあたっては、以下が必要であることも示した。
- RAMは多め(16GB以上)
- ZFS圧縮(lz4)の有効化
- ARC/L2ARCの活用
ソフトウェアRAIDによる構築を基本方針としてこれまでの議論を纏める
これまで議論してきた結果、ZFSによるソフトウェアRAIDを構築するのがベストプラクティスであると判断した。そこで、ソフトウェアRAIDの構築を基本方針とし、議論のポイントを取り纏めていただくべく、次の質問をした。
質問
では、ソフトウェアRAIDで構成する方向で進めたいと思います。
これまでのポイントをまとめてください。
回答
議論のポイントを纏めたものを示した。
インフラ設計
- OS: Ubuntu Server 22.04 LTS
- RAID: ZFSによるソフトウエアRAID
- ストレージ: OS用SSD+データ用HDD(複数台)
- キャッシュ: RAM+任意でNVMe SSD(L2ARC/SLOG)
- メモリ: 最低16GB以上
- その他: フェイクRAID無効化
ZFS構成の基本方針
- ミラー(RAID1相当): 2台単位で追加、性能重視
- RAIDZ1(RAID5相当): 3台以上、容量効率重視
- RAIDZ2(RAID6相当): 4台以上、データ保護重視
パフォーマンス強化ポイント
- ARC: RAMベースの読み込みキャッシュ
- L2ARC: SSDを読み込みキャッシュに追加
- SLOG: SSDをログ(ZIL)に利用し書き込み高速化
- lz4圧縮: データを高速圧縮しI/O軽減
管理ツール
- Cockpit: 管理ダッシュボード
- cockpit-zfs-manager: GUIでZFSプール作成・管理
- Samba: Windows/Mac/Linux向けファイル共有
- FileBrowser: Docker対応の軽量Webファイルマネージャ
- Photoprism: AI写真管理(画像分類、重複検出、タグ)
- Netdata: リアルタイム監視(温度、CPU、ストレージなど)
ファイル種別ごとの運用設計例
- 写真: Photoprism
- 写真以外のファイル: FileBrowser, Nextcloud
- スキャン書類・OCR: Paperless-ngx
非推奨事項
- フェイクRAID/RAIDカードとZFSの併用
- ZFS構成変更は不可(要再作成)
- RAIDZ1等はディスク追加時同台数でvdevを追加する
Ubuntu Serverのバージョンは22.04と24.04のどちらがおすすめか確認する
Ubuntu Serverを導入することを基本方針としたが、やりとりの場ではバージョンは常に22.04を提示していた。しかし、現在はより新しい24.04も公開されている。どちらもLTSである。そこで、Ubuntu Serverのバージョンは22.04と24.04のどちらがおすすめかを確認すべく、次の質問をした。
質問
ubuntu serverは22.04と24.04のどちらがおすすめ?
回答
両バージョンの比較一覧を示した上で、以下のように用途で異なることを示した。
- 安定性重視・枯れた環境で構築: Ubuntu 22.04
- 最新ハード対応・新機能を使う: Ubuntu 24.04
Ubuntu 22.04の場合
- コンテナ環境との相性が抜群
- センサ類・ドライバも枯れており安定動作しやすい
- 最新ハード(AM5等)についてはHWEカーネルで対応可能
Ubuntu 24.04の場合
- 最新カーネルと最新ハードの相性が抜群
- ZFS 2.2の新機能対応予定
- リリース後すぐは不安定要素あり
- GUIツールが24.04正式対応するまでタイムラグあり
また、現実的なアプローチとして、22.04で構築して数年後に24.04にアップグレードする案も示した(Ubuntu 22.04の標準サポート期限は2027年4月なので2年後と想定)。
もしハードウェアをAM5世代にする場合は、Ubuntu 22.04をインストールする場合、HWEカーネルが必要であり、その手順も提示できるようなので、追加で次の質問をした。
質問
Ubuntu 22.04のインストールISO・HWEカーネルの導入手順
回答
Ubuntu 22.04のインストールとHWEカーネル導入手順が示された。詳細は割愛する。
さらに、現実なアプローチとして示した22.04で構築してから24.04へのアップグレード手順を確認する必要があるため、それを確認したく次の質問をした。
質問
ubuntu22.04から24.04に移行する手順をあらかじめ確認しておきたい。
回答
Ubuntu 22.04からUbuntu 24.04への移行手順が示された。詳細は割愛する。
この移行フローを見ると、2024年8月以降に24.04.1がリリースされたタイミングで24.04のアップグレードを行うことが示されている。ということは、すでに24.04.1がリリースされており、かつ24.04リリース後から1年以上経過しているので、最初から24.04.1で運用してもよいものだが、それでも22.04を提示する理由を確認したく、追加で次の質問をした。
質問
今2025年なので、最初から24.04を導入できそうだが、それでも22.04の方がおすすめなのか?
回答
今からなら24.04を導入するのがベストであることを以下の理由とともに示した。
- 24.04はすでに十分に成熟(24.04リリース後1年以上経過)
- AM4だけでなくAM5のハードウェアにも対応済
- サポート期間が長い(通常サポートは2029年4月まで)
- ZFS機能の進化を享受できる(ZFS2.2)
一方で、22.04を導入する場合として以下のケースを示した。
- 法人業務(超安定を最重視)
- 既存環境とバージョンを合わせる
- 24.04の一部変更点対応が手間
以上より、結論としては最初から24.04を導入するのがベストと判断した。
セキュリティの設定を確認する
NASを自作するに当たり、セキュリティの設定は必須である。メーカー製のNASキッドでも同様。そこで、自作NASを構築するにあたり、セキュリティの設定項目を確認すべく、次の質問をした。
質問
セキュリティ設定について確認したい。必須の設定とツール、さらにおすすめのツールがあれば教えてほしい。
回答
以下、セキュリティの設定チェックリストを示した。
SSHセキュリティ強化
- パスワード認証無効化
- rootログイン禁止
- fail2banでブルートフォース対策
- SSHポート変更(任意)
UFW(ファイアウォール)の設定
- 基本は必要なポートだけを明示的に許可する
自動アップデート設定(セキュリティパッチ)
- セキュリティアップデートの自動適用
アプリ・ユーザ・サービスの最小構成
- 不要なユーザ・パッケージの削除
- 自動起動する不要なサービスの停止
- sudoグループ管理を限定する
ログ監視と通知
- Logwatch, Logrotate, fail2banを活用してログファイル監視
おすすめセキュリティ系ツール
おすすめセキュリティ系ツールとして以下を示した。
- fail2ban: SSHなどの不正アクセス対策
- ufw: ファイアウォール
- lynis: セキュリティ監査
- rkhunter: ルートキット検出
- clamav: ウイルススキャン
- auditd: ファイルアクセス監査
NASならではのセキュリティ運用
さらに、NAS構成ならではのセキュリティ運用として以下を示した。
- Samba共有はパーミッション管理を明確に
- 写真・ドキュメント用WebUI認証をかける
- WebサービスにはHTTPS導入を検討
- 定期スナップショットでランサムウェア対策
- 外部公開するならVPN経由に限定
Cockpitを確認する
Linuxサーバ管理アプリケーションであるCockpitについて改めて知りたいので、次の質問をした。
質問
cockpitとはどんな機能を持っているか詳しく知りたい。画面の例があればそれも示してほしい。
回答
まず、主な特徴として以下を示した。
- Web UI
- サービス管理
- リアルタイムモニタリング
- ユーザ管理
- アップデート管理
- ターミナル統合
- ストレージ管理
- ネットワーク設定
- 拡張モジュール
次にCockpitの画面イメージを示した。
- ダッシュボード画面
- サービス管理画面
- メトリクス画面
- ターミナル
- ZFS Manager
拡張モジュール例も示した。
- cockpit-zfs-manager: GUIでZFSプールを管理
- cockpiit-networkmanager: NIC,VLAN,ブリッジ管理
- cockpit-podman: コンテナ管理
- cockpit-packagekit: GUIでアップデート/パッケージ管理
- cockpit-storaged: ストレージ管理
導入手順も示されたが、これについては割愛する。
おすすめ用途として以下を示した。
- ZFSの状態確認
- サービス管理
- アップデート確認
- ログ確認
- システム負荷確認
- CLI不要の簡単動作
Cockpitを使用してGUIでZFSを管理する方法を確認する
NASを構築するにあたり、可能な限りGUI化したいと考えている。その一例として、Cockpit
を使用してGUIでZFSを管理する方法を確認したく、次の質問をした。
質問
GUIでZFSプール作成・スナップショット作成
回答
Cockpitを使用してGUIでZFSを管理する手順を示した。
- 導入手順
- ブラウザからのアクセス方法
- ZFSプールを作成する手順
- スナップショットを作成する手順
- スナップショットをロールバックする手順
- 定期的なスナップショットの運用方法
詳細は割愛する。
AM4世代のハードウェアとUbuntu24.04で運用する際の注意点を確認する
これまでのやりとりを踏まえ、基本方針を以下に固めた。
- コスト面を考慮しハードウェアはAM4世代とする
- Ubuntu Server 24.04.1を導入する
- ZFSプールはRAIDZ1で構成する
- GUIでの運用を基本とする(ただしすべてではない)
以上を踏まえて、上記構成とする際の注意点を確認すべく、次の質問をした。
質問
コスト面を考慮してAM4世代のハードウェアを導入してUbuntu24.04で運用することに
しました。注意点がありましたら教えてください。
回答
以下を注意点として示した。
BIOS設定
- SATA ModeをAHCIに設定
- 必要に応じてSecure Bootを無効化
- 初回トラブル回避のためFast Bootを無効化
マザーボードのファームウェアを最新版に更新する
- 24.04の新しいカーネルでセンサーが一部未対応のケースがあるためBIOSを最新にしておく
ハードウェアセンサーの確認
- 必要に応じて設定変更する
ドライバ周り(特にNIC)
- 追加のドライバが必要になるケースがある
デバイスの電力管理
- TLPを導入して電力を管理する
ZFSプール作成時はashift=12を明示
- ほとんどのHDDは物理4Kセクタのため、ashift=12で作るのが推奨される。ashitfは後から変更できない
起動ディスク用SSDとZFS用HDDは物理的に分離
- 当然だが、OSとZFSプールは別に分ける(同居すると障害復旧が難しくなる)
その他
- UFWファイアウォールの設定
- SSH鍵認証+root禁止
- Cockpit+ZFS Manager
- スナップショット
あとがき
メーカー製NASキッドの性能不足を発端に始まった自作NAS構造。ひと昔前だったら、その構築方法を自分から調べなければならず、調査に莫大な時間がかかっていた。しかし、生成AIの登場により、調査にかかる時間が格段に減りその分検討すべき項目が何かを考える時間が生まれ、結果的に大量の調査資料をベースに、基本方針(=結論ではない。生成AIが必ず正解を教えてくれるとは限らない)を導き出せることができるようになったのは有益だと感じた。
生成AIの進歩も早いもので、大量のプロンプトを書かないと期待通りの回答がもらえないということも少なくつつある。ざっくりと質問を始めてだんだん調査を詰めていくというやり方の方が合っていると感じる。このあたりは、生成AIを使用する人次第な気がする。
さて、必要なハードウェアをそろえて、実際にNASを作ってみることにしよう。本当はAM5世代のハードで作りたかったが、いかんせん最近のPCパーツは高額なのよね・・・