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音声生成AI「OpenVoice」と音声データセット「moe-speech」を使って好きなキャラクター音声を合成する

Last updated at Posted at 2024-03-02

OpenVoiceとは

OpenVoiceは、リファレンススピーカーの短い音声だけで、その声を複製し、多言語の音声を生成することができる、音声クローニングツールです。

OpenVoiceは、リファレンススピーカーの声色を再現するだけでなく、感情、アクセント、リズム、ポーズ、イントネーションなどの音声スタイルをきめ細かく制御することができます。

また、OpenVoiceは、トレーニングセットに含まれていない言語に対しても、ゼロショットのクロスリンガル音声クローニングを実現します。

(引用元:https://research.myshell.ai/open-voice)

中国語と英語であれば、こちらから気軽に試すことができます。

また、ソースコードはこちらにあります。

Hugging FaceのUI上では、日本語の音声合成が出来ないため、この記事では上のGithubリポジトリ内にあるノートブックを使って、クロスリンガル音声クローニングを行います。

OpenVoiceの仕組みとしては、以下の図解のようになっているようです。

image.png

  1. アクセントや感情、イントーネーションをコントロールしたベーススピーカーの音声を合成
  2. ベーススピーカーのトーンカラー(声色)を抽出
  3. リファレンススピーカーのトーンカラー(声色)を抽出
  4. ベーススピーカーの音声からベーススピーカーの声色のみを消去し、リファレンススピーカーの声色を当てはめる

このようなことを行っていると筆者は解釈しました。

なお、クロスリンガルの音声クローニング(demo_part2.ipynb)では、少し異なります。
1.の部分で、感情等をコントロールすることができません。ベーススピーカーの合成にOpenAIのTTS(Text-to-Speech)を用いているためです。場合によっては自ら録音した音声を用いても良いかもしれません。

moe-speechとは

  • 日本人プロ声優による高音質でノイズ・BGM等無しのキャラクター音声データセット(男性・女性キャラクター両方含む)
  • 1音声は2-15秒のモノラル44.1kHz 16bit wavファイル
  • キャラクターごとにフォルダ分けされている(各キャラクターは匿名化され、ランダムな8文字の英数字による識別子を持つ)
  • 現在は合計473キャラクター、約39万の音声ファイル、合計約623時間、184GBの音声が含まれる
  • TTS等のタスクに使える質になるよう、機械的に音声の質によりフィルタリング済み

(引用元:https://huggingface.co/datasets/litagin/moe-speech?not-for-all-audiences=true)

今回やること

ざっくり言うと、OpenVoiceのリファレンススピーカーとして、moe-speechの好きな音声を使おうということです。

Amazon PollyやOpenAI TTSは、なかなか流暢な日本語を生成してくれますが、キャラクター(声質)が限られているため、ボイスコミックやオーディオブックを作るには不十分という感じでした。

moe-speechの豊富なデータセットがあれば、狙い通りのキャラクター音声を生成できる可能性が高まります。

こちらの、Obtain Tone Color Embeddingのところを、以下のように書き換えましょう。

base_speaker = f"{output_dir}/openai_source_output.mp3"
source_se, audio_name = se_extractor.get_se(base_speaker, tone_color_converter, vad=True)

#reference_speaker = 'resources/example_reference.mp3' ←元のコード
reference_speaker="../moe-speech/data/1ba0d17b/wav/1ba0d17b_010.wav"
target_se, audio_name = se_extractor.get_se(reference_speaker, tone_color_converter, vad=True)

reference_speakerのパスを、ダウンロードしてきたmoe-speechデータセットの任意の音声ファイルのパスに書き換えます。

そして、その下のtext=[]の中に、生成したい日本語を入れましょう。リストですが、一つだけ入れれば良いです。

以下の文章を入れてみました。桃太郎の冒頭です。

むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。  
おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。

以下にいくつか、リファレンスとクローニングの結果を挙げます。

1)男性

2)女性

ちなみに、同じリファレンスでも試行ごとにクローニングの結果は少し異なります。声質というよりアクセントや速度が変わっています。

いかがでしょうか?多少変わってしまってはいますが、同じ系統であることは確かなようです。

リファレンススピーカーを変えればいくらでも違うキャラクターの音声を生成できるので、オーディオドラマやボイスコミックへの応用が期待出来ます。

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