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PHPの型について

Last updated at Posted at 2022-06-25

自己紹介

はじめまして、日本システム開発株式会社の藤井といいます。
業務でPHPを触ることが多く、勉強してみようと思ってドキュメントを読み、役立ちそうな内容を記事にまとめています。
記事の内容は大体php.netに書いてありますが、ドキュメントを読むのが面倒くさいと思った方は、
ぜひこの記事を役立ててください。

概要

  • 各型の特徴、型の相互変換についてまとめています。
  • この記事のコードはPHP8.0で実行しています。
  • どのOSでもPHPをインストールすれば実行できる内容になっています。

基本の型

4つのスカラー型(一つの値を格納する)

名前 表記 概要
論理値型 bool 真、偽(true、false)を格納する
整数型 int 整数を格納する
浮動小数点型 float(double) 小数を格納する
文字列型 string 文字列を格納する

4つの複合型(スカラー型、複合型の値を一つ以上格納する)

名前 表記 概要
配列 array 各値を特定の情報(文字列など)に紐づけて格納する
オブジェクト object 各値と動作を格納する
呼び出し可能 callable 呼び出し可能であることを表す
繰り返し可能 iterable 繰り返し可能であることを表す

2つの特殊型

名前 表記 概要
リソース resource php外部のデータを管理する
ヌル NULL(null) 値が存在しないことを表す

各型の説明

各型ごとに説明と、コードサンプルを記載します。
コードサンプルはphp -aのインタラクティブモードで実行しています。
コードサンプルは先頭がphp >の行がphpの実行コード、
そうでない行が1行前の実行結果になります。(二重引用符で囲っています)

変数は先頭に$を付けますが、定数は付けません。

bool

説明

真、偽どちらかを格納する。
真はtrue(TRUE)で表し、偽はfalse(FALSE)で表します。
大文字小文字の区別はしません。

コード


php > $trueData = true;
php > echo gettype($trueData);
"boolean"

php > $falseData = false;
php > echo gettype($falseData);
"boolean"

int

説明

10進数、2進数、8進数、16進数の表記で格納することができる。
符号(-または+)を付けることも可能。
2進数は0b、8進数は0(php8.1.0以降は0oも可)、16真数は0xを先頭につけ表記する。

phpは符号なし整数をサポートしておらず、整数のサイズ(バイト数)は定数PHP_INT_SIZEで、
整数の最大値は定数PHP_INI_MAXで、整数の最小値は定数PHP_INI_MINに格納されている。

最大値、最小値を超えた整数を格納した場合、浮動小数点型になる。

コード

整数の格納

php > $decimal = 50;
php > echo "型:".gettype($decimal), ", 値:".$decimal;
"型:integer, 値:50"

php > $binary = 0b110010;
php > echo "型:".gettype($binary), ", 値:".$binary;
"型:integer, 値:50"

php > $octal = 062;
php > echo "型:".gettype($octal), ", 値:".$octal;
"型:integer, 値:50"

php > $hexadecimal = 0x32;
php > echo "型:".gettype($hexadecimal), ", 値:".$hexadecimal;
"型:integer, 値:50"

整数のサイズ、最大値、最小値

php > echo "サイズ:". PHP_INT_SIZE ."バイト, ", "最大値:". PHP_INT_MAX .", ", "最小値:". PHP_INT_MIN;
"サイズ:8バイト, 最大値:9223372036854775807, 最小値:-9223372036854775808"

整数の最大値、最小値を超えた値の格納

php > $intBitSize = PHP_INT_SIZE * 8;

php > $intMax = 2 ** ($intBitSize - 2) + (2 ** ($intBitSize - 2) - 1);
php > echo "型:".gettype($intMax), ", 値:".$intMax;
"型:integer, 値:9223372036854775807" // PHP_INT_SIZEによって変わります
php > $intMax += 1;
php > echo "型:".gettype($intMax), ", 値:".$intMax;
"型:double, 値:9.2233720368548E+18" // PHP_INT_SIZEによって変わります

php > $intMin = (-2) ** ($intBitSize - 1); //-より**の優先順位が高いため()を使用
php > echo "型:".gettype($intMin), ", 値:".$intMin;
"型:integer, 値:-9223372036854775808" // PHP_INT_SIZEによって変わります
php > $intMin = $intMin - 1;
php > echo "型:".gettype($intMin), ", 値:".$intMin;
"型:double, 値:-9.2233720368548E+18" // PHP_INT_SIZEによって変わります

float(double)

説明

小数を格納します。
指数表記でも格納できます。指数表記の場合、eの後に符号を付けて指数を表現します。
gettypeの結果はdoubleになります。

コード

php > $floatData = 1.001;
php > echo "型:".gettype($floatData), ", 値:".$floatData;
"型:double, 値:1.001"

php > $exponentPlus = 1e2;
php > $exponentMinus = 1e-2;
php > echo "型:".gettype($exponentPlus), ", 値:".$exponentPlus;
"型:double, 値:100"
php > echo "型:".gettype($exponentMinus), ", 値:".$exponentMinus;
"型:double, 値:0.01"

string

説明

文字列は4つの方法で格納できます。

  • 引用符
  • 二重引用符
  • ヒアドキュメント構文
  • Nowdoc構文

引用符は'を意味し、'の始まりから終わりまでを文字列として格納します。
特殊な動作として、文字列に'を含めたい場合は\でエスケープします。(\')
同様に、文字列に\を含めたい場合は\でエスケープします。(\\)
\'\\以外の\はそのまま格納されます。

二重引用符は"を意味し、引用符とほぼ同じ解釈をします。
"\は同様にエスケープを必要とし、エスケープ以外の\はそのまま格納されます。
詳細はドキュメントを閲覧ください。
改行コード、水平タブなど特殊な解釈をする文字列も存在します。

引用符、二重引用符ともに複数行の文字列を格納できます。(引用符、二重引用符の始まりから終わりまでが格納されます)

ヒアドキュメント構文は、<<<IDの形式で記述します。
```<<<`以後の文字列が終端IDとなり、終端IDまでのすべての文字列を格納します。
文字列の解釈は二重引用符と同様です。

Nowdoc構文は、<<<'ID'の形式で記述します。
構文は終端IDを引用符で囲むこと以外同じですが、文字列を解釈しません。
つまり、\\はそのまま\\として格納されます。

二重引用符、ヒアドキュメント構文では、文字列内の変数を解釈できます。

コード

引用符

php > $aiueo = 'aiueo';
php > echo $aiueo;
"aiueo"

php > $escSinglequote = 'I\'m human.';
php > echo $escSinglequote;
"I'm human."
php > $escBackslash = 'C:\\Program Files';
php > echo $escBackslash;
"C:\Program Files"
php > $notEscBackslash = 'C:\Program Files';
php > echo $notEscBackslash;
"C:\Program Files"

php > $multiLine = 'aiueo
php > kakikukeko';
php > echo $multiLine;
"aiueo
kakikukeko"

二重引用符

php > $aiueo = "aiueo";
php > echo $aiueo;
"aiueo"

php > $escDoublequote = "\" is double quotation mark.";
php > echo $escDoublequote;
'" is double quotation mark.'

ヒアドキュメント構文

php > $heredoc = <<<EOF
php > a  i  u  e  o
php > ka ki ku ke ko
php > EOF;
php > echo $heredoc;
"a  i  u  e  o
ka ki ku ke ko"

Newdoc構文

php > $newdoc = <<<'EOF'
php > 1 2 3 4 5
php > a b c d e
php > EOF;
php > echo $newdoc;
"1 2 3 4 5
a b c d e"

変数の解釈

php > $dayOfWeek = '水曜日';
php > $parseVariable = "今日は${dayOfWeek}です。";
php > echo $parseVariable;
"今日は水曜日です。"

array

説明

複数の値を格納できる型です。
各値に対して、数字もしくは文字列に紐づけて格納します。

配列は[]で作成できます。
各データを数字に紐づけて格納する場合は、['data']もしくは[0 => 'data']
文字列に紐づけて格納する場合は、['sample' => 'data']で作成します。
配列を値のみで作成した場合(['data'])、値は先頭から0,1,2...の数字で紐づけられます。

各データへの取得は、数字もしくは文字列を指定して行います。

※Arrayを出力するためにprint_r関数を利用しています。
詳細はドキュメントを参照ください。第二引数にtrueを渡すと文字列が返されます。

コード

数字に紐づけて格納

php > $fruit = ['apple', 'blueberry', 'cherry'];
php > echo "型:".gettype($fruit), ", 値:". print_r($fruit, true);
"型:array, 値:Array
(
    [0] => apple
    [1] => blueberry
    [2] => cherry
)"

php > $fruitNum = [0 => 'apple', 1 => 'blueberry', 2 => 'cherry'];
php > echo "型:".gettype($fruitNum), ", 値:". print_r($fruitNum, true);
"型:array, 値:Array
(
    [0] => apple
    [1] => blueberry
    [2] => cherry
)"

php > echo $fruit[0];
"apple"
php > echo $fruitNum[0];
"apple"

文字列に紐づけて格納

php > $monthJa = ['january' => '1月', 'february' => '2月', 'march' => '3月'];
php > echo "型:".gettype($monthJa), ", 値:". print_r($monthJa, true);
"型:array, 値:Array
(
    [january] => 1月
    [february] => 2月
    [march] => 3月
)"
php > echo $monthJa['january'];
"1月"

object

説明

配列が複数の値を格納できることに対し、オブジェクトは複数の値と動作を格納できます。
今回はオブジェクトの基本となるstdClassを使用します。

オブジェクトはnewで作成します。
値を格納するためには->を使用します。取得する際も->を使用します。

コード

php > $stdobject = new stdClass();
php > $stdobject->cpu = 'intel i7';
php > $stdobject->memory = '8GB';
php > $stdobject->storage = '1TB';

php > echo 'CPU:' .$stdobject->cpu;
"CPU:intel i7"
php > echo 'MEMORY:' .$stdobject->memory;
"MEMORY:8GB"
php > echo 'STORAGE:' .$stdobject->storage;
"STORAGE:1TB"
php > echo "型:".gettype($stdobject), ", 値:". print_r($stdobject, true);
"型:object, 値:stdClass Object
(
    [cpu] => intel i7
    [memory] => 8GB
    [storage] => 1TB
)"

callable

説明

関数であることを表しています。
callableの変数を作成する方法はなく、型宣言で使用されます。

iterable

説明

繰り返し可能であることを表しています。
callableと同じく、iterableの変数を作成する方法はなく、型宣言で使用されます。

resource

説明

外部リソースを保持する型です。外部リソースとはファイルなどを指します。
リソース型は、特別な関数を使用して作成します。
リソースへの参照を閉じると、gettypeの返り値に(closed)が付与されます。

コード

php > $file = fopen('sample.txt', 'w+');
php > fwrite($file, "hello world". PHP_EOL);
php > fwrite($file, "Hello World!!". PHP_EOL);

php > rewind($file); //書き込み後、読み込むためにファイルポインタを先頭に戻します
php > echo fgets($file);
php > echo fgets($file);
php > echo "型:".gettype($file), ", 値:". print_r($file, true);
"型:resource, 値:Resource id #2"

php > fclose($file);
php > echo "型:".gettype($file), ", 値:". print_r($file, true);
"型:resource (closed), 値:Resource id #2"

null

説明

変数が値を持たないことを表します。
null型はnullしか値を持たず、nullは大文字小文字を区別しません。

変数は以下の3つの場合、nullとみなされます。

  • 定数nullが代入されている
  • まだ値が何も代入されていない
  • unset()されている

変数がnullとみなされるかは、is_null関数を使用して確認できます。
is_null関数は変数がnullとみなされる場合、trueをそれ以外はfalseを返します。

値が何も代入されていない変数、unset()された変数は存在しなくなり、アクセスできなくなります。
グローバルスコープで使用可能なすべての変数を保持する、$GLOBALSを使用し、挙動を確認します。

コード

php > $displayKeys = ['sample' => 0, 'none' => 1, 'nothing' => 2]; // 今回使用する変数名

php > $sample = 'sample';
php > var_export(is_null($sample));
"false"
php > print_r(array_intersect_key($GLOBALS, $displayKeys));
"Array
(
    [sample] => sample
)"

php > $none;
php > var_export(is_null($none)); // 変数が存在しないため、警告がでます。
"true"
php > print_r(array_intersect_key($GLOBALS, $displayKeys)); // noneは存在しません。
"Array
(
    [sample] => sample
)"

php > $nothing = null;
php > var_export(is_null($nothing));
"true"
php > print_r(array_intersect_key($GLOBALS, $displayKeys)); // nothingは値を代入しているため、存在します。
"Array
(
    [sample] => sample
    [nothing] =>
)"

php > unset($sample); // 変数の
php > var_export(is_null($sample)); // unsetで変数sampleが存在しなくなったため、警告がでます。
"true"
php > print_r(array_intersect_key($GLOBALS, $displayKeys)); // sampleはunsetで削除されています。
"Array
(
    [nothing] =>
)"

型の変換

型は(型の名前)を変数の先頭につけることで、相互に変換することができます。
(string) 0は文字列の0になります。
echoは渡した値を強制的に文字列に変換するため、今回は値の中身をそのまま出力するvar_dump関数を使用します。

スカラー型から複合型への変換

説明

スカラー型(bool, int, float, string)から複合型(array, object)への変換は、
同じ処理をします。

スカラー型をarrayに変換すると、スカラー型の値を先頭に格納した配列に変わります。
スカラー型をobjectに変換すると、スカラー型の値をscalarプロパティに格納したオブジェクト(stdClass)に変わります。

コード

php > $intOne = 1;
php > var_dump((array)$intOne);
'array(1) {
  [0]=>
  int(1)
}'

php > var_dump((object)$intOne);
'object(stdClass)#1 (1) {
  ["scalar"]=>
  int(1)
}'

bool

説明

bool→int
trueが1にfalseが0に変換されます。

bool→float
trueが1.0にfalseが0.0に変換されます。

bool→string
trueが文字列の1にfalseが空文字列に変換されます。

コード

php > $boolTrue = true;
php > $boolFalse = false;

php > var_dump((int)$boolTrue);
"int(1)"
php > var_dump((int)$boolFalse);
"int(0)"

php > var_dump((float)$boolTrue);
"float(1)"
php > var_dump((float)$boolFalse);
"float(0)"

php > var_dump((string)$boolTrue);
'string(1) "1"'
php > var_dump((string)$boolFalse);
'string(0) ""'

int

説明

int→bool
0はfalseに変換されます。
それ以外はtrueに変換されます。

int→float
浮動小数点表現に変換されます。(0 → 0.0)

int→string
文字列表現に変換されます。(10 → "10")

コード

php > $intBoolZero = 0;
php > $intBoolNonZero = 15;

php > var_dump((bool)$intBoolZero);
"bool(false)"
php > var_dump((bool)$intBoolNonZero);
"bool(true)"

php > $intFloat = 0;
php > var_dump((float)$intFloat);
"float(0)"

php > $intString = 10;
php > var_dump((string)$intString);
'string(2) "10"'

float(double)

説明

float→bool
0.0および-0.0はfalseに変換されます。
それ以外はtrueに変換されます。

float→int
小数点以下は切り捨てられます。

float→string
文字列表現に変換されます。(1.0 → "1.0")

コード

php > $floatBoolZero = 0.0;
php > $floatBoolNonZero = 2.0;

php > var_dump((bool)$floatBoolZero);
"bool(false)"
php > var_dump((bool)$floatBoolNonZero);
"bool(true)"

php > $floatInt = 1.5;
php > var_dump((int)$floatInt);
"int(1)"

php > $floatString = 3.5;
php > var_dump((string)$floatString);
'string(3) "3.5"'

string

説明

string→bool
空文字列および文字列の0がfalseに変換されます。(文字列の0がfalseに変換されるのはphpの特殊な挙動です。)
それ以外はtrueに変換されます。

string→int
値が数値形式の場合、対応する数値の整数表現に変換されます。(小数の場合、小数点以下は切り捨てられます)
それ以外の場合、0に変換されます。

string→float
intと同じく、値が数値形式の場合、対応する数値の浮動小数点表現に変換されます。(整数の場合、小数になります。)

コード

php > $stringBoolEmpty = "";
php > $stringBoolZero = "0";
php > $stringBoolTrue = "12";

php > var_dump((bool)$stringBoolEmpty);
"bool(false)"
php > var_dump((bool)$stringBoolZero);
"bool(false)"
php > var_dump((bool)$stringBoolTrue);
"bool(true)"

php > $stringIntNum = "10";
php > $stringIntFloat = "10.5";
php > $stringIntNotNum = "aiu";

php > var_dump((int)$stringIntNum);
"int(10)"
php > var_dump((int)$stringIntFloat);
"int(10)"
php > var_dump((int)$stringIntNotNum);
"int(0)"

php > $stringFloatDouble = "1.7";
php > $stringFloatNum = "1";
php > $stringFloatNotNum = "float";

php > var_dump((float)$stringFloatDouble);
"float(1.7)"
php > var_dump((float)$stringFloatNum);
"float(1)"
php > var_dump((float)$stringFloatNotNum);
"float(0)"

複合型同士の返還

説明

array→object
配列のキーと値それぞれがオブジェクト(stdClass)のプロパティとその値になります。

object→array
ドキュメントを参照ください。
基本、プロパティと値のそれぞれが配列のキーとその値になるようです。
例外として、プロパティのアクセス権によりキーが変化すること、未初期化の型付きプロパティは削除されることがあるようです。

コード

php > $game = ['darts', 'bowling', 'table-tennis' => '卓球'];
php > var_dump((object)$game);
'object(stdClass)#1 (3) {
  ["0"]=>
  string(5) "darts"
  ["1"]=>
  string(7) "bowling"
  ["table-tennis"]=>
  string(6) "卓球"
}'

php > $sportObj = new stdClass();
php > $sportObj->soccer = 'サッカー';
php > $sportObj->baseball = '野球';
php > $sportObj->basketball = 'バスケットボール';
php > var_dump((array)$sportObj);
'array(3) {
  ["soccer"]=>
  string(12) "サッカー"
  ["baseball"]=>
  string(6) "野球"
  ["basketball"]=>
  string(24) "バスケットボール"
}'

参考/引用

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